王女戴姦 第2話・3

隠者


 「隊長。顔色がすぐれないようですが」
謁見の間を辞した親衛隊長ファーレンハイトは、元々の白い顔をさらに蒼白くさせながら、
王宮外の兵士寮に戻ってきた。額には脂汗すら浮いている。部下たちはこんな姿のファー
レンハイトを見たことがなく、心配そうな顔を浮かべている。
「あぁ。大丈夫だ…ちょっと休ませてくれ」
部下の言葉に対する返答もそこそこに、ファーレンハイトは自室に篭った。
 ふらふらとベッドに座った彼は右腕の袖をそっめくってみる。指先が完全にしびれ、手
首から肘にかけての皮膚がどす黒い。完全に炎症を起こしていた。彼の右腕はさきほど、
ルデロ・メルビレンの斬撃を受け止めた腕である。
「なんてことだ…。ルデロという男…。一体どんな修練を積んだら、これほどまでになる
のだ…」
自らの苛酷な修練を思い出すように、彼は遠くを見詰めたまま、呆然とした。


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