王女戴姦 第7話

隠者


  鉄扉が重そうな響きを上げて開く音で、シュレイは目を覚ました。気を失いな
がら予想していた通り、身体の自由はまったく効かない。天井から吊られたまま
の女間者は彼女自身にとって屈辱的であると同時に、拷問者に刺激的である。
「さぁて。さぁて」
扉から入ってきたのは、黒衣を纏った男4人。いずれも屈強な男たちで、彼らが
、ルデロ・メルビレン率いる私設傭兵隊「ウロボロス」の人間であることは明ら
かだ。
「んん?確かに上玉だな」
男の一人はシュレイの顔をのぞき込みながら、ごくりと生唾を飲み込んだ。男の
顔には右の目の辺りから頬まで達する醜い傷痕があった。
「別な楽しみもありそう」
別な男がシュレイの足首から太股にかけて、触れるか触れないかの微妙な距離を
保ちながら、ゆっくりとなで上げていく。シュレイの背中にぞぞと寒気が走る。
なで上げた男の皮膚は病的なまでに青白く、爬虫類を思わせた。紅い唇が不気味
である。
「あたしは何も喋らない」
そういいがならも、シュレイはそんな言葉がまったく意味が無いことに気が付い
ている。
強情を張れば張るほど、この連中はいっそう苛烈な責めをシュレイに加えるだろ
う。そして連中は徐々に激しい責めを加えていくその過程こそが快楽なのである。
簡単に口を割ることなど、端から期待していない。むしろ抗い、歯を食いしばって
苦痛や羞恥に耐える強情で、気の強い者を少しずつ堕としていく方を好む。間者を
拷問する者は大抵の場合がそういうタイプの拷問をするとシュレイは聞いていた。
「いいぜ。喋らなくても。ただ、死ぬよりつらい目に遭うだけさ」
3人目の男の顔がようやく見えた。美形だが、薄い唇が残忍そうな印象を与える
。最後に影の中から現れた4人目の男は無骨そうな軍人だった。寡黙なのか
なにも言わずに、ただ3人の後ろに立っている。
「ようし。まず自己紹介からいこう。俺はジュスト」
薄い唇から剃刀のような、冷たい言葉が発せられる。
「俺はマデボウ」と顔に傷を持つ男。
「私はリャンカフロイ」と名乗ったのは爬虫類男。
そして最後に、軍人が重そうに「ゲルスタッド」とだけ名乗った。

「お前は?」
ジュストが右手でいきなりシュレイの喉を締め付けながら尋ねた。無言で睨み返
すシュレイの顔に、ジュストの左手は容赦なく、平手打ちを見舞った。
「お前の名は?」
ジュストは繰り返した。眼が早くも拷問者になっている。それでも答えないシュ
レイに、は頬をぴくぴくと引き攣らせ、いきなり左手でシュレイの口をこじ開け
た。そして、左手の指先で、シュレイの舌を引きずりだす。
「この舌。使い方忘れたか?ん?」
そういいながら、ジュストは薄い唇をシュレイに近づけ、彼女の舌を挟み込むと
、ずるずるという卑猥な音を立てて吸った。
「こんな使い方ばっかりしてたんだろ?」
拷問は始まっているのだ。その後ろで、リャンカフロイが釣り針を巨大化させた
ような、奇妙な鉄棒を何本も並べ出したり、マデボウが腰にぶら提げた皮袋の中
から水棲ワームを取り出すのを見て、シュレイは恐怖を感じ始めていた。
「我々はプロだ」
何も準備が必要ないといった風にただ立っている軍人ゲルスタッドは表情も変え
ずに、シュレイに通告した。一番無骨な人間の一言はシュレイに恐怖を与えた。
そしてこの軍人だけが何も用意をしないのも、また別な恐怖といえる。
「脱がしちゃう」
リャンカフロイの鉤棒がシュレイの装束の胸元を引き裂いた。ふっくらとした白
い胸の谷間が拷問者たちに晒される。胸を完全に露出させず、わざと乳首を残し
たような引き裂き方は、リャンカフロイが手慣れていることを意味した。


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