王女戴姦 第8話

隠者


   最初に、拷問を開始したのはリャンカフロイだった。マデボウ、ジュスト、
ゲルスタッドの3人は持ち込んだ椅子に掛け煙草を吸っている。
  リャンカフロイの手には長さ30センチほどの金属棒が握られていた。棒
の先端は、鉤状に曲がっており、先端は針のように尖っている。シュレイの
装束を縦方向に切り裂いたのは、この鉤を襟ぐりにひっかけたのだ。切り裂
かれた衣装の間から、はちきれそうなシュレイの白い胸のふくらみにリャン
カフロイは注目していた。眼が獲物を狙うトカゲのようだ。シュレイは無言
で睨み返す。
「いい。その眼。負けないって感じ」
そういいながら、リャンカフロイは両手に持った鉤棒の先で、シュレイの乳
首のわきをかりかりと掻き始めた。シュレイの乳首はまだ黒い装束に隠れた
ままである。絶対に乳首には触れない鉤棒の先に、シュレイは蟲が這いずる
ようなむず痒さを覚えた。
「あら、乳首立ってきちゃった」
リャンカフロイの紅色の唇がにぃと笑った。乳首は装束の上からはっきりと
わかるぐらいふくらみ、弾力を帯び始めていた。屈辱的な肉体の反応にシュ
レイは身を捩りながら悔しがった。下唇をきつく噛み締めたシュレイの表情
にリャンカフロイは鉤棒の動きはさらにいやらしい。
「触ってちょうだいっていってるみたい」
ぷっくりと膨らんだ胸の突起に話し掛けるようにリャンカフロイは顔を近づ
けた。そして次の瞬間、鉤棒の最先端で、両乳首の頂点を引っ掻いた。装束
はびりびりという音を立てて裂け、同時に張り詰めたように大きくなった薄
桃色の乳首が露出した。
「ひぅンっ」
シュレイの口から情けない声が漏れた。シュレイの気持ちとは裏腹に、周辺
部を刺激され、快感を与えられることを期待してに膨らんだ乳首に、刺さる
ような激痛が与えられたのだ。思惑とは違う「痛み」にシュレイの身体は敏
感に反応したのである。
「痛いのかな?間者さん」
ずるく、酷い問いだった。シュレイの喉からは今にも「痛い」「やめて」と
いう言葉が出てきそうだった。その言葉をリャンカフロイは「間者」という
言葉で封じ込めた。シュレイに対し、あくまでも「間者と拷問者」として接
するという意志の表われともとれた。
「今更、許さないよ」
そういいがなら、リャンカフロイはほんの少し血がにじんでいるシュレイの
乳首を口に含んだ。ねっとりとした唾液にからみとられるような感覚がシュ
レイの身体をさらに捩らせる。リャンカフロイの唾液はやがて、乳首にぴり
ぴりとした痛みを呼んだ。リャンカフロイが鉤棒で乳首の先端に付けた傷は
ほんの小さなものだ。痛みはたいしたものではない。だがその小さな痛みは
舌先でころころと転がされる乳首にとって、逆に「ほどよい刺激」となる。
  リャンカフロイの舌は巧みだった。ヘビが獲物の身体をその細長い身体で
ぐるぐると巻き付けていくようだ。彼の舌先はシュレイの脇の下から垂直に
降りた後、平坦な脇腹から胸が膨らみ始める辺りの微妙な場所で水平に移る。
それから両乳房のちょうど真ん中の辺りで、こんどは垂直に上り始め、丁度
乳首を中心とした同心円を描くようだ。しかも、その円の半径は徐々に狭め
られ、「乳首に向かってくる」という感覚を否応にもシュレイに植え付けた。
そう、リャンカフロイの舌は乳首を目指してとぐろを巻いているのだった。
「ぞくぞくするでしょう?」
リャンカフロイが言う。この男は女を知っている。期待と不安。エロスとタ
ナトスが交差する時、女の身体はとてつもない快感を生み出す。シュレイの
頭の中では「耐える」ことの苦痛と「投げ出す」ことへの苦悩の間で激しい
綱引きが行われていた。
  舌はあと2、3周もすれば、乳首に到達する。シュレイの右の乳房はリャ
ンカフロイの濃厚な唾液でオイルを塗られたように輝いていた。舌は乳輪に
入った。シュレイの背中にぞくぞくという形容しがたい感覚が走り、下腹部
が熱くなり始めてるのが分った。舌はもう目前だ。
──くる!
そうシュレイが確信し、歯を食いしばった時だった。リャンカフロイが凄ま
じい速さで、鉤棒を持ち直し、再び、乳首を棒の最も尖った部分で引っ掻い
た。敏感になっていた乳首はぶるぶると震え、生々しい動きを見せた。
「ひぁぅうっっ!」
また裏切られた。今度は期待も大きい分、その衝撃も大きかった。酷いのは
リャンカフロイの鉤棒は決して皮膚を傷つけることなく、刺さるような痛み
を瞬間的に乳首に与えることだった。皮膚が破れ、血が噴き出すような傷の
付け方であれば、苦痛と快感のバランズが崩れ、シュレイは現実へと引き戻
される。「連続性のある痛みを与えず、一過性の刺激として鉤棒を用いる」
これがリャンカフロイの狙いなのだ。シュレイの下腹部内で、どくどくと熱
い何かが動いている。
「おぉぉ?なんだこの女、漏らしたのか?」
それまで水棲ワームを愛しそうに撫ででいたマデボウが、シュレイの股間に
注目した。シュレイの太股の付け根は、黒い装束にくっきりと染みを描いて
いた。
「こっちもそろそろ苛める?」
リャンカフロイの鉤棒がシュレイの秘裂にぴたりとあてがわれる。ひやりと
する鉄の鉤棒が心地よいと思えるほど、シュレイの股間は熱かった。
「そうだな。俺のワームがそろそろ『潜り』たがっている」
  にゅあぁぁぁ。マデボウの手の中で水棲ワームが鎌首をもたげた。赤紫色
をした皮膚と、パイプ状の姿を持つ軟体動物「ワーム」は人間の体液を好物
とする不思議な生き物だ。40センチほどの体長を持ちながら、骨はない。
身体への危険性や攻撃性もまったくないものの、催淫効果がある独特の体液
を汗のように体外に噴出させ、さらなる体液を求める。ランデバルド大陸で
も希少な種類だったが、「その手」の小道具として貴族間では高値で取り引
きされていた。
「じゃぁ」
そういいがなら、リャンカフロイは鉤棒でシュレイの股間を覆っていた装束
を破った。黒い布から現れたシュレイの陰部に一堂は「ほぉ」とため息を吐
いた。シュレイの陰部にはまったく毛が無かったのだ。割れ目はまるで少女
のそれのようにぴったりと閉じられており、大人の美貌を持ったシュレイに
は似つかわしくないほど、幼く無垢な性器だった。
「これはまたかわいらしい」
「ほんと、このままかぶりつきたいくらい」
マデボウとリャンカフロイは喉の奥でククと笑った。
「…みないで…」
顔を真っ赤しながら、シュレイは太股を擦りあわせるようにして陰部を隠そ
うとした。だがリャンカフロイは、淡い桃色をたたえたシュレイの秘裂を鉤
棒を使って機械的にこじ開けた。シュレイの、無毛で薄紅色の割れ目が、冷
たく、銀色をした金属棒で強引に抉じ開けられる。
  くちゅ。
粘り気を帯びた液体音に、リャンカフロイは意外そうな顔を浮かべた。彼は
シュレイの股間が濡れたのは「失禁」のためだと思っていた。しかし、失禁
したのであれば、今、性器を濡らす液体に「粘り気」があるはずはない。
「こいつ…濡れて!?」
「ぎゃははっ」
マデボウは突然、下品な笑いを浮かべた。
「面白しれぇ。ガキみたいなお●んこのくせに濡れるのは人並み以上ってか」
どうやらシュレイが持つ大人と子供のアンバランスにマデボウの性欲が激し
く刺激されたようだった。さっきまでの紳士的な応対は消えた。マデボウの
本性が表われ始めたのだ。彼は水棲ワームを手にすると、シュレイの太股を
肩に担ぎ、性器と対峙した。
「それ、腹一杯食べてきな。この女の愛液を」
シュレイの陰部はまだぴったりと閉じられたままだった。ワームはくんくん
と匂いを嗅ぐように頭を左右に振りながら、匂いの発生源である膣口に向か
って、もぞもぞと潜り込み始めた。ワームはその胴体をぬらぬらと輝かせな
がら、陰唇をこじ開け、中へ中へと侵入していく。
「あぁぁ…いあぁやや…は、入ってくるぅぅ」
シュレイは股間を襲う蠢きに体をくねらせた。マデボウの眼はしっかりと見
ている。幼い性器に水棲ワームという淫獣がその体をねじ込んでいく、その
卑猥な光景を。口元に残酷な笑みを浮かべながら。      


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