監獄島の巫女姫 第3話
裏切り、脅迫、屈辱〜このようなことになるなんて〜
ヘルマスター
アリシア姫はベッドから起き上がろうとしてふと妙なことに気がついた。体が重くて起 き上がれないのだ、それにさっきから変な話し声がきこえるのだ。 (そろそろ目を覚ますんじゃないのか) (ああ、見ろよあの銀髪、真っ白い肌、たまんねえぜ) (お頭、俺達にもつっこませてくれないかな) (ば〜か、お頭がつっこんだ後じゃ、ガバガバになっちまってるよ、他にもすげー美人が たっぷりといるんだ、がっつく必要はね〜よ。) (それもそ〜だな、へへ。) (なんなのかしらいったい。) ようやく目を覚ましたアリシア姫はしばらく何が起こってるのか気づかなかった。ようや く頭がはっきりすると姫は悲鳴をあげた。 「いやぁ〜あなた達はなんなのですか」 アリシア姫が驚くのは無理が無かった姫が出会った男といえば自分の父親である国王と年 をとった家庭教師ぐらいのものだった。それが突然、半裸のそれも顔や体が傷だらけのい かつい男達に取り囲まれたのだ。 「ひひひ、こりゃ聞いてた以上じゃねえか」 「ひ、何を」 男達のなかからひときわ大きくて胸にサソリの刺青をいれた男がアリシア姫の前に現れ たのだ。 「監獄島へようこそアリシア姫様」 「監獄島、ここは監獄島なのですか」 監獄島、それは凶悪な犯罪者を永久に閉じ込めるため作られた脱獄不可能の永久刑務所 である。エクセレント王国は海外との交易によって諸国の富が集まっており、それを狙っ て盗賊や海賊が出没していた。もちろん王国側も取締りを強化し、盗賊たちを捕らえてき たのだが、エクセレント王国には宗教上の理由により死刑制度は無かった。そのため離れ 小島をひとつ丸ごと監獄にしたのだ。 「でもどうして監獄島に、たしか神殿の島に向かっているはずだったのに」 「それは私が御連れしたのですよ、姫様」 「船長、これはどうしたことなのですか……」 あわてて立ちあがろうとしたが、どういうわけだか足がもつれて立ちあがることができ なかった。 「あまり動かないほうがいいですよ、まだ薬が効いているはずですから」 「船長、まさかあなたが、……」 「そのとおりですよアリシア姫様、最近は戦も無く、軍船の船長じゃ小遣いにも不自由 するほどでしてね、そこでこのアッガスの旦那と手を組んで一儲けさせてもらっているん ですよ」 「そんな、でも監獄島は流行り病で囚人が全滅したはずでは……」 「それは、私達の仲間が嘘の報告をしたからですよ」 「そんな……」 アリシア姫はそこで何故じぶんがさらわれたのか、さらに他の皆がどうなったのか気に なった。 「他のみんなはどうしたんですか、それに私をさらってどうしようというのですか」 「へへ、姫様よ、あんたをさらったのは、あんたを俺の花嫁にするためだよ」 「そんな、そのようなことはできません。私は海神様の巫女となる身、殿方の花嫁にな るわけにはいけません。そんなことをしたら、海神様のお怒りが王国に降りかかってしま います」 「へっ、そんなら他の奴の安全は保障しないぜ、なにせ俺の手下にゃ女をいたぶるのが 好きな連中が大勢いるんだ、その連中が姫様に何をするかわかんねえぜ」 「そうだぜ、俺たちなにをするのかわかんねえぜ、こいつなんか押し入った先の女を犯 して、そのあとは証拠がのこらねえように皆殺しにしちまいやがったんだぜ」 「そういうおまえだって犯した女の耳を削ぎとって集めてたんじゃねえか」 「へへまあな」 アリシア姫はそこで交わされている会話の恐ろしさにすっかりおびえてしまっていた。 「お願いします、どうか他のみんなに手をださないでください」 「そいつは姫様の返事しだいぜ、姫様が俺の花嫁になるんなら友達には手をださねぇ、 けど、もし断るんなら友達の安全は保障できねえよ。」 「そんな……」 アリシア姫はどうしたらよいのか途方にくれてしまった。それを見たアッガスは決断を 促すためにこういった。 「おい、姫様が迷っているぞ、ここへ二、三人連れてきて、指や耳をちょん切っちまい な」 「へい」 「へへ、楽しみだぜ」 「やめてくださいそんなことは、わかりましたなります、なればよろしいのでしょう」 「ほう、なんに御成りになるんですか姫様よ」 「あなたの花嫁になります」 「へぇー、ようやく御決心なさったんですね、エクセレント王国の姫様が俺のような盗 賊の花嫁に御成りになってくださるんですかい、わかりやした、せいぜい幸せにしますよ 姫様」 「うぅっ、こんなことになるなんて」 そのとき、とうとう耐え切れなくなってしまったアリシア姫は真珠のような涙を流した。
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