*A week・第1日目(4)

T.MIYAKAWA


 路地裏から大通りに戻った時、プラムは王子の手を握ったままだった。
 「王子様、次からは声を掛けられてもむやみについて行かないでね。
 さっきみたいに人気のない所へ連れていかれるから。」
 プラムは王子の方を振り向くと、さっきの事について説教を始めた。
 その光景はまるで母親が小さい子供に対してしているのとよく似ていた。
 「今回は私が運良く見つけられたけど、一歩間違えたら殺されていた
かもしれないのよ。」
 プラムはこの言葉を付け加えて話を終えた。
 (自分の知らない事があるんだな…)
 王子はプラムの話を聞いて、外の世界の表と裏がある事を知った。
 同時にさっきの自分の行動があまりに軽率だったことに反省した。
「反省してるでしょ?」
 「えっ?」
 突然の一言にさっきまで黙っていた王子は驚いた。
 その時のプラムの顔はさっきまでとは違い、いつもの明るい笑顔に戻っていた。
 「それじゃあ、気を取り直してもうちょっと楽しんでいこうよ。
 時間はまだあるんだから。」
 プラムは王子に元気をつけようと話し掛けてきた。
 「う、うん。」
 「じゃあ行きましょう。
 今度ははぐれないようにしっかりと手をつなぎましょう。
 君はとても大切な人なんだから。」
 王子がうなずくと、プラムは王子の方に飛びついてきた。
 しかし、王子はプラムの「大切な人」という言葉を聞いた時、表情は曇っていた。
 (この人は僕によくしているようだけど、結局はうわべだけなんだろうな…)
 王子はプラムの顔を見ながら、こんな事を考えていた。
 王子がこんな事を考えている時、プラムは彼がまたはぐれないように手を
しっかりと握っていた。
 「今度は絶対に離さないよ。」
 プラムが王子の耳元でこうつぶやいた時、腕をからませる形でしがみついた。
 王子は腕をしがみつかれた時に感じるプラムの大きな胸の感触に気を取られていた。

 日が暮れて城に戻る時、二人は寄り添う形で帰っていった。


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