ネイロスの3戦姫


第10話その.5  黒獣兵団の最後  

 ズドォーンッ!!凄まじい爆音が屋上から響き、宮殿の外で黒獣兵団と戦っていた兵士
達が驚愕の表情を見せた。
 いや、連合軍兵士だけではない。宮殿から逃げ出していた民間人も、降伏した黒獣兵団
の兵達も、一様に宮殿の屋上を見上げている。
 「エリアス姫っ!!」
 連合軍兵士の指揮をとっていたネルソンが、爆音を聞いて我を失った様に宮殿へと走り
出した。
 「ネルソンさんっ、今のは・・・」
 同じ様に爆音を聞いて走り出していたライオネットがネルソンに駆け寄った。
 「屋上で・・・姫君達がブルーザーと戦っているんだ。もしかしたら・・・姫君が・・・
エリアス姫が・・・」
 ネルソンの声が震えている。
 「そんな・・・それじゃあ、エスメラルダ姫様やルナ姫様も・・・」
 ネルソンの言葉に、ライオネットは声を失った。彼等の脳裏に最悪の事態が浮かぶ。
 「こうしてはいられんっ。ライオネット君、一緒に来てくれっ。」
 「は、はいっ!!」
 ネルソンの声に、ライオネットは共に駆けて行った。
 
 「うう・・・る、ルナ・・・」
 その頃、気絶していたエリアスとエスメラルダが、爆音によって目を覚ました。
 彼女等の目に、もうもうと巻き上がる爆煙が映った。
 「あの子まさか・・・」
 爆煙を見た途端、エリアスの顔が真っ青になった。
 「ねえ姉様、確かルナは手投げ弾も持ってたよね。もしかして・・・」
 エスメラルダの声に、エリアスは顔を手で覆った。
 「そ、そうよ・・・あの子は手投げ弾も持ってた・・・ルナは・・・ルナは・・・ブル
ーザーを倒すために・・・相討ちで・・・」
 「姉様っ!!」
 姉の言葉に、エスメラルダは声を詰まらせた。
 間違いであって欲しかった。ルナが煙の向こうにいるなどと思いたくなかった。だが、
周囲にルナの姿は見えない。
 間違いは無かった。ルナは持っていた手投げ弾でブルーザーと戦ったのだ。
 「ルナーッ、返事をしてーっ、ルナーッ!!」
 エスメラルダの悲痛な声が屋上に響く。しかし返答は無い。しかも巻き上がる煙に視界
を遮られ、妹の安否を知る術が無い。
 「エリアス姫っ。大丈夫ですかっ!?」
 先程の爆音を聞きつけたダスティンとスミス、そして連合軍兵士達が屋上に駆け上がっ
てきた。
 「こ、これは・・・」
 屋上の有様を見た一同は、立ち上がる黒煙を見て思わず立ち止まった。そして声の限り
に妹を呼ぶエスメラルダと、顔を覆って泣くエリアスの姿を見た。
 「これは一体何があったんですかっ。」
 「うう・・・ルナが・・・ルナが・・・」
 「えっ、ルナ姫が・・・」
 泣いているエリアスと立ち上がる煙を見たダスティン達は、全てを悟った。ルナはブル
ーザーを倒すために相討ち覚悟で立ち向かっていったのだ。
 「そ、そんな・・・」
 「あの子は私達を守ろうとして、あんな無茶を・・・私が代わりになればよかった・・・
」
 エリアスは声を上げて床に突っ伏した。ダスティン達に、そんな彼女を慰める言葉が見
つからなかった。
 「ルナッ、待ってて今行くよっ。」
 突然、エスメラルダが煙の上がる方向に走り出した。
 「エスメラルダ姫っ、そっちに行ったらダメですよっ。」
 「離してっ、ルナを助けに行くんだーっ。ルナは生きてるんだーっ!!」
 泣き叫ぶエスメラルダは、半狂乱になってルナを呼びつづけた。
 「もう・・・諦めてください・・・ルナ姫は・・・もう・・・」
 掠れた声でエスメラルダをなだめるダスティンにそう言われ、エスメラルダは力なくそ
の場に膝をついた。
 「ああ、ルナのバカーッ!!」
 今だ立ち上がる煙に向かってそう叫んだ・・・と、その時である。
 「あねさまーっ!!」
 煙の中から、エリアスとエスメラルダを呼ぶ声が聞こえてきたのだ。
 「えっ。今のは・・・」
 その声に反応した一同は、思わず声のする方向に目を向ける。少し晴れた煙の中に、小
さな影が動いている。
 「姉様っ、あたしよーっ。」
 「る、ルナ・・・ルナーッ!!」
 煙の中から、顔中煤だらけになったルナが走り出してきた。彼女は生きていたのだ。
 「ルナ姫、姫様ーっ。よかったご無事だぞーっ!!」
 兵士達が、わあっと歓声を上げた。
 「ああ・・・よかった・・・」
 エリアスの顔が悲しみから喜びに変わった。それは他の皆も同じだった。皆の表情と心
境が、絶望のどん底から喜びの頂点へと変わった。
 「わーんっ、心配したんだよっ!!このバカッ!!」
 ルナに抱きついたエスメラルダは、喜びのあまり妹の頭をポカポカ叩いた。
 「ゴメン、ゴメン。」
 頭を叩かれながら、エスメラルダに心配をかけた事を謝るルナ。
 「もう・・・この子ったら・・・」
 エリアスの声に、ルナは振り向いた。そこには怒った顔と、悲しい顔、そして嬉しい顔
が一緒になっているエリアスが立っていた。その眼には大粒の涙が光っている。
 「許さないわよルナ・・・あんな真似して・・・今度あんな事したら絶対に許してあげ
ないから・・・ああ、ルナッ。」
 そう言うと、愛しい妹を力いっぱい抱きしめた。
 「エリアス姉様・・・」
 無事を喜ぶ3姉妹に、ダスティン達も安堵の表情を見せている。
 「ところで、ブルーザーはどうしたんですか?」
 スミスの問いに、ルナは顔をあげて答えた。
 「あいつ、手投げ弾で吹っ飛んだわよ。」
 ルナの言葉に、全員目を丸くした。あのブルーザーが吹っ飛んだと言うのだ。
 「ほ、本当?」
 「ほんとよ。ヒゲゴリラがあたしの投げた爆弾を手で受けた途端に大爆発したのよ。い
くらあいつが怪物でも絶対にオダブツよ。」
 一同は再度爆発のあった場所に目を向ける。風によって煙が全て払われ、手投げ弾によ
って破壊された屋上の一角が露になった。
 爆発のあった場所は衝撃で床が抜け落ちており、瓦礫が辺りに散乱していた。先程ホー
ルで使用した手投げ弾の威力とは比べ物にならない程の破壊力である。ルナの持っていた
手投げ弾の中でも最強の威力を持った物をブルーザーに使用したのだ。
 「すごいなこれは・・・」
 唖然とするダスティン達。
 「ルナはあの石像の後ろに隠れて爆発から身を守ったのね。」
 エリアスが傾いた石像を指差す。
 「そうなの、あれがなかったらあたしは助からなかったわ。」
 「間一髪だったんだね。」
 エリアスとエスメラルダは、改めてルナの危機的状況を思い知らされた。もしルナがあ
の爆発の直撃を受けていたら・・・考えただけでも背筋が凍りつく。
 「ダスティンさん、ブルーザーの姿がありませんね。木っ端微塵になったんでしょうか。
」
 「そうだろうな。」
 スミスの声に、ダスティンが頷く。床の上には瓦礫の山以外何もない。ブルーザーの姿
はおろか、肉片すら残っていないのだ。
 「私達が見てきます。」
 3人の兵士が床に開いた穴の傍に歩み寄り、中を覗いてみた。
 「暗くてわからんな。たぶん奴はここに落ちたんだよ。」
 「下に降りて確かめようか。」
 兵士がそう言った直後、穴の下から轟音と共に鎖が飛び出してきた。
 「うわっ!?」
 鎖は傍の石像に絡みつき、鎖を伝って穴の下から何者かがゆっくりと上がって来た。ま
るで地獄の底からバケモノが這い出してくるかのように。
 「ぐううう・・・おおっ!!」
 それは凄まじい咆哮を上げ、瓦礫を跳ね飛ばして屋上に飛び出してきた。
 「あ、ああ・・・ぶ、ブルーザーッ!!」
 驚愕し、あたふたと逃げ出す兵士達。そう、出現したこのバケモノは、超獣ブルーザー
だった。
 「ぬうう・・・こぉむすめぇ・・・やりやがったなぁ〜。」
 爆弾の直撃を浴びたブルーザーは顔と体の右半分が醜く焼け爛れていた。普通ならバラ
バラになるほどの衝撃であったろうが、常人ならざる肉体を誇るブルーザーに致命傷を与
える事は出来なかったのだ。
 焼け爛れた半身を引きずり、憎悪に燃える目を向けるその姿は、もはや人間と言うには
程遠い存在と化していた。
 「ひいいっ・・・い、生きてるうっ・・・」
 出現したブルーザーを見たルナが恐怖に顔を引きつらせて絶叫した。
 「このバケモノめっ!!」
 兵士達が、黒獣兵団から奪った銃でブルーザーを狙撃する。 何10発もの銃弾がブル
ーザーの体に命中した。だが、ブルーザーは微動だにもしない。
 「ぐうおおおっーっ!!」
 傍らの石像を持ち上げた超獣は、銃を兵士構えている兵士目掛けて投げ付けた。
 「わああっ。」
 逃げる兵士達のいた場所に石像が直撃し、大理石製の石像は粉々に粉砕された。
 「ぐうう・・・てめえら・・・これで俺に勝ったつもりかぁ・・・俺を倒せる奴はこの
世に存在しねえ・・・俺は不死身だぜっ。」
 唸るような声を上げ、ブルーザーが3姉妹に歩み寄ってくる。
 「ひい・・・」
 怯えるルナを庇いながらエリアスとエスメラルダがブルーザーの前に立ちはだかる。
 「あなたの負けよブルーザー。黒獣兵団は壊滅し、あなたは全てを失った・・・もうあ
きらめなさい、終わりなのよっ。」
 エリアスの声に、ブルーザーは地の底から響くような声で笑った。
 「グワハハッ!!負けだとぉ?終わりだとぉ?ほざけ・・・黒獣兵団は不滅だ。この俺
が倒れない限り、黒獣兵団は何度でも蘇るっ、何度でもなぁーっ!!」
 咆哮を上げ、突進してくる狂乱の超獣。
 「だったらボクが引導を渡してやるっ!!」
 迫り来るブルーザー目掛け、エスメラルダが真正面から飛びかかって行った。
 「なめんじゃねえっ!!」
 ブルーザーのカウンターパンチがエスメラルダに襲いかかる。
 「うあっ。」
 間一髪で交わすが、凄まじい拳圧で後ろに倒れこむエスメラルダ。
 「妹達には指一本触れさせないわっ!!」
 今度はエリアスがブルーザーに立ち向かう。太陽の牙を真っ直ぐ構え、ブルーザーの腹
部に刃を突き立てた。刃は腹を貫通し、ブルーザーの背中から鮮血がほとばしった。
 「グフフ・・・かゆいぜ・・・」
 ブルーザーの口がニタア・・・と歪む。
 「くっ・・・ぬ、抜けないっ!?」
 刃を引き抜こうとするが、硬直した腹筋によって刃が硬く締め付けられているため、ど
んなに力を入れてもビクともしなかった。
 「エリアスゥ〜犯ってやるぜ・・・てめえのアソコに俺様のモノをブチこんでやるう〜。
」
 ブルーザーの巨大な手がエリアスの首を掴んだ。
 「くうあっ・・・」
 豪腕が軽々と体を持ち上げる。宙吊りにされたエリアスが苦悶の声を上げた。
 「どうだあ〜苦しいか、もっと苦しめぇ〜。」
 両手が万力の様に首を締め上げていく。どんなに足掻こうとブルーザーの怪力から逃れ
る術がない。
 「くうっ・・・こ・・・の・・・」
 エリアスの右足がゆっくりと上がり、ブルーザーの腹に刺さっている太陽の牙の柄に乗
せられた。
 「ええーいっ。」
 エリアスは声を上げ、柄を力任せに踏みこんだ。それによって腹に刺さっている刃が腹
を縦に引き裂いた。
 「うおおーっ!!」
 腹を裂かれ、凄まじい声をあげるブルーザー。
 締め上げている両手が緩み、エリアスは地面に転がった。
 「エスメラルダ、今よっ。」
 太陽の牙を腹から抜き取ったエリアスが、エスメラルダに声をかける。
 「はい姉様っ。」
 ドラゴン・ツイスターを大回転させ、エスメラルダが突進してくる。そしてエリアスが
太陽の牙をブルーザーに向ける。
 「これで最後よっ、サウザンド・ファーングッ!!」
 「地獄に落ちろっ、トルネード・クラッシャーッ!!」
 2人の最強技が超獣に炸裂した。
 「があっ!?」
 巨体が宙に舞う。そして巨木が倒れる様に、ブルーザーは地響きをたてて倒れた。
 「や、やったあーっ。」
 兵士達から歓声が上がった。ついにやったのだ、無敵の浮沈艦ブルーザーがついに倒れ
たのだ。
 「はあはあ・・・やったよ・・・とうとう・・・」
 荒い息を吐きながら腕を下ろすエスメラルダ。
 「姉様ーっ。」
 「やりましたね姫様。」
 駆け寄ってくるルナと兵士達。そして動かなくなったブルーザーに目を向けた。
 「はは、くたばったなバケモンめが。」
 スミスがブルーザーに歩み寄り、足で蹴飛ばそうとした。だが、スミスが足を上げた途
端、ブルーザーの手がピクリと動いた。
 「う、動いた!?」
 驚愕するスミス。そしてブルーザーの目がカッと開かれ、鋭い眼光でスミスを射抜いた。
 「だれが・・・くたばっただとお・・・」
 超獣の口から唸り声が漏れ、巨体がゆっくりと起きあがった。
 「うわあっ。」
 腰を抜かし、後ろへ逃げて行くスミス。
 「なんて奴だ・・・」
 声を震わせるダスティンは、血塗れ状態で立っているブルーザーの姿に恐怖した。それ
は、その場にいる全員が同等の事を感じている。
 「あのバケモノをブッ倒せ!!銃でハチの巣にするんだ!!」
 「待って!!」
 慌てて銃を構える兵士達を、エリアスが制した。
 「もう止めなさい。ブルーザーは・・・もう戦えないわ。これ以上の無益な戦いはやめ
ましょう。」
 「エリアス姫・・・」
 兵士達は銃を下ろした。そしてエリアスが満身創痍で立っているブルーザーに目を向け
た。
 「ブルーザー、もう十分でしょう?あなたに罪を償う機会を与えるわ、大人しく降参し
なさい。」
 それはブルーザーに対するせめてもの情けだった。その言葉にピクリと反応するブルー
ザー。
 「罪をつぐなえだと?・・・ケッ、この俺に情けをかけるのかよ・・・とことんお人良
しの女神様だぜ・・・だがよ、罪を償うなんざクソくらえだっ!!」
 振りかざした両手には、数本のダイナマイトが握られていた。そして・・・その導火線
には火が点けられている。
 「あっ!?、みんな逃げてーっ!!」
 絶叫するエリアスに、一同血相を変えて逃げ出した。
 「さあ見やがれっ、これが俺様の・・・黒獣兵団の最後だーっ!!」
 ブルーザーの最後の声が響き渡る。そして閃光と衝撃が炸裂し、ブルーザーは邪悪な野
望もろとも吹っ飛んだ。
 
 「うわあーっ!!」
 宮殿全体に轟音と衝撃が響き渡り、中にいた全員、そして外にいた者達も恐怖に慄いた。
 ブルーザーの自爆により、宮殿の屋上は半壊状態となった。ブルーザーがいたであろう
場所は床が大きくえぐれ、その衝撃の大きさを物語っている。
 上空に舞った粉塵がパラパラと落ち、爆風から逃げていたエリアス達の頭の上に降り注
いだ。
 「うう・・・う・・・みんな大丈夫?」
 屋上の隅に身を伏せていたエリアスが辺りを伺った。全員無事の様子だ。
 身を屈めて座り込んでいた兵士やエスメラルダとルナも、辺りを伺いながら無事を確認
している。
 皆、放心状態になっており、半壊した屋上の有様に声も出ないまま立ち尽していた。
 「みんな・・・」
 ようやく立ちあがったエリアスは、ふらつく足を引きずり皆のいる場所へと場所へと歩
み寄ようとした。
 「姫様っ、危ないっ。」
 エリアスに目を向けていた兵士の1人が大声で叫んだ。エリアスのいる場所がミシミシ
と軋み始めたのだ。
 「えっ?きゃああっ!!」
 悲鳴を上げるエリアス。足元が崩れ、エリアスの体が宙に投げ出された。
 「いやあっ、あねさまーっ!!」
 妹達の絶叫が響く。そしてエリアスは皆の見ている前で下の階へと落ちて行った。
 「あああ・・・」
 絶望的な状況に、エリアスは自分の運命が尽きる事を感じていた。
 (エスメラルダ、ルナ、みんな・・・・ネルソン・・・・)
 彼女の脳裏に、愛すべき者達の顔が走馬灯の様に浮かんでは消えた。そして、悲痛な覚
悟で目を閉じた・・・その時である。
 「エリアス姫ーっ!!」
 下の階から、突如として飛び出してきた人物がいた。それは落下してくるエリアスの真
下に走りよった。
 「きゃあっ!?」
 エリアスが床に叩き付けられる正にその寸前、強く逞しい腕が彼女の体を受け止めた。
 「ふう・・・大丈夫ですか?」
 エリアスの眼に、ネルソンの笑顔が飛び込んできた。優しい笑顔、頼もしい笑顔、そし
て・・・愛しい笑顔・・・
 「あ、ああ・・・ね・・・ネルソーンッ!!」
 心を縛っていた戦いの緊張感という縛鎖から解き放たれ、エリアスは無我夢中で愛しい
ネルソンの胸に飛び込んだ。
 「来てくれたのね・・・もうダメかと思った・・・」
 「無事でよかった、あなたの身を案じておりました。」
 「ええ・・・私も・・・みんな無事よ、妹達も・・・みんな・・・」
 エリアスの眼から止めど無く涙が溢れる。そして涙に濡れた瞳をネルソンに向ける。
 「ネルソン・・・好きよ・・・愛してるわ・・・」
 全てから開放されたエリアスは、素直な心を打ち明けた。
 「私もです、エリアス姫。」
 「お願い・・・姫って言うのはやめて・・・エリアスって呼んで・・・」
 「ああ、愛してるよエリアス。」
 もう2人の心を隔てるものは何もない。抱き合った2人は全てを忘れ、唇を重ねあった。
 その2人の身体を、淡い朝焼けの光が包んだ。
 それはまるで、2人を祝福するかのように明るく、そして鮮やかに光り輝いた。



最終話に続く

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