魔戦姫伝説(ミスティーア・炎の魔戦姫)第2話.伏魔殿の陰謀8


   狂おしき餓鬼地獄
ムーンライズ

 ミスティーア達が潜入を図っている同じ頃、冷酷な司令官ゲルグ
は、囚われの身になっているエリーゼ姫を陵辱するべく、牢獄に向
かっていた。
 エリーゼ姫のいる牢獄まで歩いて来たゲルグは、この前、居眠を
していた看守が、何やら落ち着きのない表情をして牢獄の前でウロ
ウロしているのを見た。
 「おい、何してるんだ!?」
 ゲルグに声をかけられて驚いた表情をした看守が、囚人に与える
食事用の皿を手にしてゲルグに歩み寄って来た。
 「ゲルグ指令、実は・・・エリーゼ姫が昨日から全く食事を食べ
なくなっちまったんです。何を持って行っても跳ねつけてくるので
困ってるンですが・・・」
 訴えるような口調の看守を見て、ゲルグは呆れた顔で口を開いた。
 「まったく、あの小娘は手間かけさせやがって・・・仕方ない。」
 呟いたゲルグは、看守に命令する。
 「今すぐ飯を持って来い、召使いどもの残した残飯で飛びっきり
マズイ奴を作るんだ、いいな。」
 「は、はい・・・」
 ゲルグに言われ、いそいそと皿を持って調理場に向かった看守は、
しばらくして残飯をつめ合せて作った食事を手に戻ってきた。
 「持ってきやした。では今すぐ与えますので。」
 看守の言葉に、ゲルグはフンと鼻息をつく。
 「あいつは昨日から何も食おうとはしないんだろうが。直接マズ
イ飯を持っていっても無駄だ、貴様はそんな事もわからんのか?」
 「は、はあ・・・すンません。」
 頭を下げる看守から皿を取ったゲルグは、牢獄の扉を開ける。
 「まあいい、俺が直接飯を食べさせる。そこで待っていろ。」
 「わかりやした。」
 ゲルグが入って行った後、看守は扉を閉めた。
 薄暗い牢獄の中では、美しいエリーゼ姫が相変わらず全裸で囚わ
れになっている。
 彼女は入って来たゲルグを見るなり、傍らにあった皿を掴んで投
げつけて来た。
 「近寄らないでバケモノッ!!」
 飛んで来た皿が顔面に当たる瞬間、ゲルグは軽く頭を逸らして皿
を避けた。
 「おっと、危ない危ない・・・カワイイくせに相変わらずのジャ
ジャ馬ぶりだな、エリーゼ。」
 壁に当たって砕けた皿を見ながら、手にした食事を机の上に置く
ゲルグ。
 「また来たのね・・・言っているでしょうっ!?私はあなたにな
ど屈しないとっ!!あなたの言い成りになるぐらいなら・・・潔く
死を選びますっ!!」
 叫ぶエリーゼ姫に、ゲルグはニヤニヤ笑いながら近寄った。
 「ほ〜う、潔くねえ・・・だから飯を食わずに耐えてるってワケ
か。だが潔くしたいんだったら、舌を噛んで自決したらどうだ?ど
うせそんな度胸がお前にあるわけが無い、せいぜい喚くがいいさ。」
 その侮蔑の言葉に、エリーゼ姫は悔しそうに顔を背けた。
 「くっ・・・覚えてなさいっ、必ず思い知らせてあげますわっ。」
 「フッ、思い知らせるとはこう言う事か!?」
 ゲルグは、そう言うなり、エリーゼ姫をベッドに押し倒して彼女
を後ろ手にロープで縛り、さらにエリーゼ姫の首に犬用の首輪を嵌
めた。 
 「う、あ・・・な、何を・・・」
 さらに、苦悶の声を上げるエリーゼ姫の首輪を掴んで引き上げ、
陰湿な声で質問をする。
 「フフフ、この首輪がどー言う物かわかるか?」
 エリーゼ姫は、首を掴み上げられて思わず声を上げた。
 「あううっ、う・・・これって、犬用の首輪でしょうが・・・私
を犬におとしめて何が面白いんですか・・・」
 「ああ面白いとも、気品ある美しい姫君を犬のように這いつくば
らせ、蹂躙するのが俺の最高の楽しみでね。それにこれは只の首輪
じゃない、ドクター・デスガッドからもらった餓鬼の首輪だ。コイ
ツを付けられた者は、激しい飢えと乾きに苛まれて悶え苦しむよう
魔法が施されているのさ。その効果は自分自身の身体で確かめるん
だな。」
 ゲルグがそう言った途端、エリーゼ姫の身体を異常な感覚が襲っ
た。
 「はうっ!?あああ・・・お、お腹が・・・喉が焼ける・・・」
 目を大きく開けて苦悶の声を上げるエリーゼ姫。
 ハラワタを搾り取られるような感覚が彼女を苛み、さらに焼け付
くような激痛が喉を刺激する。凄まじい飢えと渇きがエリーゼ姫を
苦しめているのだ。水と食事を渇望する彼女の口から、苦しみの呻
き声がもれた。
 「うあ、ううあああ・・・た、助けて・・・み、水を・・・た、
食べ物を・・・」
 悶え苦しむエリーゼ姫を、ゲルグは邪悪な目で閲覧している。
 「喉が乾くだろう、腹が減るだろう。それが餓鬼の首輪の威力な
のさ。その首輪を外せばすぐに苦痛からオサラバできるが、今のお
前にそれが出来るか?んん。」
 その言葉に、エリーゼ姫は身体を捩って首輪を外そうともがいた。
だが、腕を縛られている彼女には苦痛をもたらしている首輪を外す
ことが出来ないのだ。
 「く、首輪を、は、外してええっ、はズしなさアアアイっ!!」
 七転八倒するエリーゼ姫を見ていたゲルグは、残飯の入った食事
を手に持ってエリーゼ姫に近寄った。
 「飯ならあるぜ、ほれ。」
 残飯の入った皿が差し出され、それを見たエリーゼ姫は、余りの
空腹に耐えかね、恥も階分も忘れてマズイ残飯を口にしようとする。
 「お、おねがいいいっ、それを食べさせて・・・一口でいいから・
・・」
 だが、彼女が残飯に辿りつく1歩手前で皿を取り上げたゲルグは、
軍靴で彼女の顔を蹴りつけた。
 「誰が食っていいと言ったっ!?」
 「あひっ。」
 悲鳴を上げて転げるエリーゼ姫に、嘲笑うゲルグの声が浴びせら
れる。
 「ハハッ、お預けだっ、飯が欲しけりゃ俺の靴を舐めろっ。」
 床に転がったエリーゼ姫の眼前に、ゲルグの軍靴が突き付けられ
る。
 眼前の軍靴に、エリーゼ姫は声を失った。
 「あ・・・うあ・・・く、靴を舐めろですって・・・」
 余りの屈辱的な行為を受ける彼女の目に、激しい憤りが宿ってい
る。その目でゲルグを睨みすえるエリーゼ姫。
 そんな彼女を、ゲルグは嘲笑した。
 「なぁんだ、その目は〜。そんな反抗的な態度をして良いと思っ
てんのかぁ?あぁ〜ん。」
 つま先で顔を突付かれたエリーゼ姫が、苦悶の声を上げる。
 激しい飢えと渇きが容赦無く彼女を責め、ゲルグに対する憤りす
ら、空しくかき消されてしまう。
 胃袋を捩じ上げる空腹感は、エリーゼ姫のプライドも誇りも全て
押し潰し、精神を狂わせた。
 「あう・・・い、いやっ!!」
 軍靴を前にして、エリーゼ姫は激しく頭を振る。だが・・・狂お
しい空腹には逆らえなかった。
 「あう、ううう・・・」
 泣きじゃくりながら靴を舐めるエリーゼ姫に、ゲルグは彼女にと
って最も屈辱的なセリフを吐いた。
 「ククク・・・いいザマだ。ライエルのクソどもが、お前の姿を
見ればどんなツラするかなぁ〜。」
 「くっ・・・あうう・・・」
 今の自分の惨めな姿をライエル領民や両親に見られたら・・・悔
し涙にくれるエリーゼ姫の髪を鷲掴みにして、ゲルグは邪悪に笑う。
 「よーし、前菜に俺様の精液をタップリご馳走してやろう。」
 ズボンのチャックを下ろしたゲルグが、怒張したイチモツをエリ
ーゼ姫の口に捻じ込んだ。
 「あぐっ!?ううう・・・うっ。」
 ゲルグのイチモツが倍に増長し、ケダモノの如き剛毛が生える。
そしてゲルグ自身も欲望に飢えたケダモノ・・・狼男に変貌した。
 「グフフ・・・さあ〜もっと舐めろ・・・心を込めて舐めるんだ
ぁ〜。」
 毛むくじゃらのイチモツをエリーゼ姫の口に捻じ込み、強引にピ
ストン運動する。喉の奥に巨大なイチモツの先端が激しく突き当た
り、激しい嘔吐がこみ上げる。
 「あうう・・・ううう・・・」
 「ムフフッ、いいぞぉ〜最高だぁ・・・さあっ、俺の精液を飲み
干すがいイっ、おオうっ〜!!」
 獣の咆哮と共に、エリーゼ姫の口に大量の精液がブチまかれた。
 「むぶっ!?うぶぶぶっ・・・うぐっ・・・・」
 溢れる精液がエリーゼ姫の口元から吹き出る。そして喉の奥に饐
えた液体が流し込まれた。
 「あうう・・・ぐふっ、げほげほ・・・」
 白目を向いて堰きこんでいるエリーゼ姫の眼前に、腐った臭いの
する残飯が無造作に置かれた。
 「ホレ食え、遠慮はいらんぞ。」
 ゲルグの嘲笑う声が、腐った残飯が、彼女にさらなる屈辱をもた
らす。
 でも、餓鬼の首輪からもたらされる無尽蔵の飢えと渇きは、全て
の感情を狂わせた。
 「ううう・・・はぐっ、はふ・・・はふはふ・・・」
 エリーゼ姫は、顔を皿に突っ込んで残飯をむしゃぶり食らう。狂
おしい恥辱と共に、彼女は全てを貪り食った。
 余りにも無残な・・・そして余りにも悲惨なエリーゼ姫の姿・・・
 彼女を心身ともに陵辱した邪悪なケダモノは、その姿を快感の伴
った目で見据えている。
 「フッ、全部食ったな。」
 皿が空になったのを見届けたゲルグは、餓鬼の首輪を緩め、手を
縛っていた縄を外した。それによって、エリーゼ姫はようやく苦痛
から解放されたのであった。
 「あっ・・・はう・・・うううっ・・・」
 ベッドに横たわったエリーゼ姫は、怒りや憎しみを思う余裕すら
失って動かなくなった。
 エリーゼ姫の首に依然巻かれている首輪にはカギが施されており、
彼女が抵抗しようものなら強烈な餓鬼地獄に苛まれるように仕込ま
れている。
 そんなエリーゼ姫に背を向けたゲルグは、ケダモノの姿から元に
戻り、嘲笑いながらドアを開けた。
 「いいかメス犬姫よ、これに懲りたら2度とハンガーストライキ
なんざ起こすんじゃないぞ、わかったな?」
 吐き捨てる様なセリフを残して、ゲルグは牢獄から出ていった。
 バタンと扉の締まる音が牢獄に響き、その音が収まると同時に廊
下の向こうからバタバタと足音が聞こえてきた。
 足音は、ゲルグの手下のものであった。慌しく現れた手下は、看
守を押し退けて敬礼をした。
 「司令、ゲルグ司令。まもなく女スパイを監視してたペドロが報
告に戻ってきます。」
 手下に向き直ったゲルグは、襟元を正しながら口を開いた。
 「よし、すぐ戻る。ドクター・デスガッドは部屋にいるのか?」
 「ええ、女スパイどもの処分について検討なされております。」
 手下の言葉に、ゲルグは口元をニヤリと歪めた。残忍で冷酷な彼
が何を考えているかは用意に推測できる。
 「処分か・・・ドクターの話では女スパイどもは中々の手だれだ
と言っていたからな、尋問が楽しみだ。」
 ゲルグがそう言うと、手下も賛同してニヤニヤ笑った。
 「へへっ、娘達と一緒に地下室に閉じ込めてお楽しみですか。ド
クターはどんな方法で奴等を尋問するんでしょうね。あンなコトや、
こンなコトして・・・ゲルグ司令も尋問なされるんでしょう?うら
やましいなぁ〜自分も参加させて欲しいですよ。」
 「フン、少し口を閉じてろ。軍人に余計な御喋りは無用だ。」
 「えへへ・・・それはどうも・・・」
 ゲルグと手下が廊下を歩いて行き、後にはヘコヘコ頭を下げる看
守が残った。
 ゲルグ達を見送った看守が恨めしそうに呟く。
 「ケッ、なぁにが尋問だよ・・・てめえ等だけで良い思いしやが
って・・・どうせ、お姫様歌劇団とかの連中を女スパイに仕立て上
げて楽しむってコトだろうがよ・・・」
 ブツブツ文句を言っている看守の声が、ベッドで横たわっている
エリーゼ姫にも聞こえた。
 朦朧とした意識の中、エリーゼ姫はゲルグ達の言っていた言葉を
口にした。
 「・・・女スパイ・・・尋問・・・お姫様歌劇団・・・?」
 囚われのエリーゼ姫には、外で何が起きているのか全く知る事は
出来ない。
 でも・・・女スパイとお姫様歌劇団の名が、何故か彼女の心に引
っ掛かった。
 それが彼女を、そして囚われの娘達を助けに来た者達であること
に気付かぬまま、エリーゼ姫は睡魔に誘われて意識を失った。



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