魔戦姫伝説(ミスティーア・炎の魔戦姫)第2話.伏魔殿の陰謀1
魔道博士と悪夢の城
ムーンライズ
大陸のほぼ中央、数多くの属国を従えた強大な国家バーゼクス。
バーゼクス国は、歴代の国王が属国から搾取した資金で潤っている裕福な国家で、世間
から(成金国)(暴食国家)とあだ名されている。
だが、裕福というぬるま湯に浸かっているバーゼクスの現国王は、お世辞にも良君とは
言い難い存在で、国政は全て配下の者に任せ、自分は贅沢三昧の生活を送っており、その
放蕩ぶりは目に余るほどであった。
だが、配下の者も豊富な恩恵に預かりたいため、放蕩生活を送る国王の行いに目を伏せ
ており、国家そのものが著しく腐敗している状況となっている。
そんな腐敗したバーゼクスに、1人の男が現れた。
自称、魔道博士を名乗るその男は、国王の前で様々な(奇跡)を起こし、君主を言葉巧
みに操った。
魔道博士に洗脳された君主は、魔道博士の傀儡となり果て、君主の恩恵に預かっていた
大臣や官僚も全て魔道博士の言い成りになってしまった。
悪魔的天才頭脳を誇る魔道博士によって伏魔殿と化したバーゼクス城。
その腐敗したバーゼクス国内で複数の若い娘が拉致される事件が起きたのは、魔道博士
が出現してから3ヶ月ほど後のことであった・・・
裕福な財源に恵まれる国家バーゼクス。
そのバーゼクスの豊かさを誇示するかのような美しい城が、国の中央に建設されていた。
優美な造りもさる事ながら、周辺諸国との戦闘にそなえて造られた城壁は、何者をも寄
せ付けぬ堅牢さを誇っている。
外から見れば白亜に輝く美しい巨城だが、城を囲んでいる堅牢な城壁が、城の内部での
全てを隠蔽しており、城から響く悲鳴が外に漏れる事は無かった。そして、その中で行わ
れているおぞましい饗宴に気がつく者は皆無であった。
その悲鳴は、城の地下室から響いていた。
「い、いやああーっ!!たすけて・・・」
絹を裂くような女の悲鳴が響く地下室は、外部からの光に閉ざされた場所にあった。
石造りの壁に囲まれた場所で、複数の若い娘が全裸のまま並ばされている。
その周囲には屈強な男達がおり、娘達を地下室の奥へとひき立てている。
地下室の奥には椅子に座った1人の男がおり、泣き叫ぶ娘達を凶悪な目で見ていた。
椅子に座っているその男は、60か70代の男で、白髪混じりの髪にガイコツのように
薄気味悪い顔をした老人だ。
襟のついた黒マントをまとい、白を主体としたスーツに身を固めたその姿は死神のよう
な風貌で、狡猾で老獪な表情からは悪魔的な英知が漂っている。
「よし、次だ。」
男の命令に、手下が1人の娘を引きずって来た。
地下室の奥には不気味な魔方陣が描かれており、その周囲にはヌメヌメした触手が蠢い
ていた。
その魔方陣の中央に、娘は転がされる。
「や、やめて・・・ひいっ!?」
魔方陣の周囲に蠢く触手が娘の手足を捕らえ、魔方陣の上に大の字で拘束した。
触手は身動きの取れない娘の体を弄り、乳房や腹部、そして秘部を舐めまわす。
「あひいっ、いや・・・いやーっ!!」
絶叫する娘の秘部に触手が迫り、まだ男を知らぬその場所に先端をねじ込ませた。
「ひいいーっ!!」
絶叫が地下室を揺るがし、並ばされている他の娘達が恐怖に慄いている。
その様子を気味悪い笑いを浮べて見ていた黒マントの男は、片手を魔方陣に向けて何か
呪文のような言葉を呟いた。
すると、魔方陣からぼんやりとした光が浮かび、中央に寝かされている娘が喘ぎ声を上
げて悶え始める。
「あう、あがあ・・・あああっ・・・」
魔方陣から淫靡な魔術がもたらされ、娘は絶え難い快楽の虜になってのた打ち回った。
その声に呼応するかのように、触手は更に娘を責め立てる。
「お、おおお・・・あうおおお・・・」
白目をむいて悶える娘を、黒マントの男が笑いながら鑑賞していた。
「ククク・・・いい声で鳴きおるわ・・・」
悶える娘を見ている鋭い目は獲物を貪る捕食者の目であった。その周囲にいる手下も邪
悪な目で娘を見ている。
やがて、触手と魔方陣の責めでイキ果てた娘が、全身を痙攣させて気絶した。
体を痙攣させて横たわる娘から触手が離れ、手下が彼女を運んでいく。そして、次の娘
を魔方陣の前に引きずると、同様に触手の餌食にした。
絶叫が響く地下室に、バーゼクスの国王が姿を見せたのはその時であった。
地下室の横にある階段から下りてきた国王は、どこか落ち着かない表情で地下室をキョ
ロキョロと見回した。
国王の後ろには軍服を着た片目のチョビヒゲ男が控えており、国王の警護にあたってい
る。
「ムフフ、中々いい眺めじゃないか。」
悲鳴を上げている娘を見る国王は、年齢にして30代中盤といった所で、運動不足のだ
らしなく太った体に色白の頼り無い顔をしており、おおよそ(国王)という肩書きを持つ
には相応しくない男であった。
国王はおぼつかない足取りで黒マントの男に近寄ると、ヘラヘラしながら声をかけた。
「やあドクター・デスガッド、首尾はどうだい?」
国王の声に椅子から立ちあがって一礼する黒マントの男。
「おお、これはモルレム陛下。こんなむさ苦しい所にわざわざおいでくださるとは。」
「い、いやあ、あんたがどうやって娘達を可愛がってるか見たくてね・・・うまくいき
そうか?」
「ご安心ください、娘の生気を媒体にし魔人を製造する段取りは順調に進んでおります。
最強の魔人達を使役すれば、陛下の夢である世界征服も容易に成されます。すべてこのデ
スガッドにお任せあれ、世界は間も無くあなた様の物となりましょうぞ。」
甘言を述べながら国王に言い寄る黒マントの男、ドクター・デスガッド。
この男こそ、バーゼクス国王モルレムを丸め込んで悪事を働いている張本人だ。
デスガッドは魔術研究を極めた魔道博士を名乗り、モルレム国王に自身の研究成果であ
る魔道の奥義を披露して見せた。
彼の見せた魔道はまさに奇跡と呼ぶに相応しく、愚公のモルレムは何の疑いも無く、デ
スガッドと、その弟子達を城に迎え入れた。
当初はモルレムの取り巻き連中に疎まれていたデスガッドだが、彼は言葉巧みな話術と
自慢の魔道を駆使して取り巻き連中も懐柔し、城内での絶大な信頼を得た。
そんなデスガッドがモルレムや大臣達に進言した恐るべき計画・・・それは、魔道をも
って世界征服を成し得る事だった。
バーゼクスが大陸全土を制圧すれば、巨万の富がバーゼクスにもたらされる事になる。
富も権力も全て思いのままであるとの甘言に心を動かされたモルレムと大臣達は、デス
ガッドの言うがまま世界征服の野望に奔走したのである。
「エヘへ・・・世界は全て僕の物になるのか・・・最高だな。」
世界を手中に収める妄想にふけりながら、モルレムはだらしなく笑っている。
そんなモルレムに、彼を警護している片目の軍服男が声をかけてきた。
「国王様、今宵も良質の若い娘を多数用意しております。存分にお楽しみの程を。」
軍服男の指差す方向に、飛び切り上玉の娘が数人並んでいる。いずれも簡素な服を着せ
られ、恐怖と寒さにガタガタ震えている。
「おおう、気が利くじゃないかゲルグ。さっそくお楽しみといこうっ。今夜もオールナ
イトでギンギンだあ〜っ!!」
歓声を上げるモルレムは、怯える娘達に飛びかかると手当たり次第に強姦し始める。
「おらおら〜、この僕は世界の支配者様だぞ〜っ。大人しくしろーっ!!」
「きゃああーっ、お、おゆるしをーっ!!」
泣き叫ぶ娘達は抵抗する事も出来ず、モルレムの餌食にされた。
薄気味悪い地下室である事も構わず、娘達を陵辱しているモルレムに窘めの言葉をかけ
る軍服男。
「こ、国王様、こんな所でのお戯れはいけませんぞ。どうか寝室にお戻りを・・・」
だが、軍服男の言葉もモルレムには聞こえなかった。下半身丸出しのモルレムは、汚い
尻を振りながら娘を責めたてているのだ。
その余りにも品の無い愚公の有様に、軍服男は忌々しそうに呟いた。
「チッ、あのバカ国王が・・・」
軍服男の顔にはモルレムに対する敬意など微塵も無く、その横では、同じ様な目でバカ
国王を見ているデスガッドの姿があった。
「やれやれ、君もあんな奴の下で苦労をさせられて大変だな。」
「まったくだ、バカ国王には付き合いきれんよ。」
文句を言っているこの軍服男は、バーゼクスの軍司令官で名前はゲルグと言う。
歴戦の戦いで負傷した左目には黒いアイパッチが付けられており、屈強な体躯と精悍な
顔付きから、かなり優秀な軍人である事が伺える。
事実、彼は周辺諸国の軍隊でその名を知らぬ者はいないほどの男で、優秀さもさる事な
がら、失態をした部下を容赦無く処罰する冷徹な人格から、味方からも恐怖の対象となっ
ている。
そんな彼が愚公に見切りをつけたいと考えるのは、ごく自然な成り行きであった。デス
ガッドがバーゼクスに現れた時に一番助力を注いでいたのがゲルグだったのだ。
「ドクター・デスガッドがバーゼクスに来てくれて助かったぜ。あんたが来なかったら、
俺は一生あいつの下で苦労する羽目になっていたからな。それに・・・あんたに改造して
もらったこの体、中々具合がいいぜ、気に入ったよ。」
ゲルグはそう言いながら足元の小石を拾い、右手でギュッと握った。すると・・・固い
小石が角砂糖のように砕け散ったのである。
その常人ならざるパワーの訳は、彼がデスガッドに(あんたに改造してもらったこの体・
・・)と言っていた事に関係していた。
「気に入ってもらえて何よりだ。それに君には色々と手伝ってもらったからな。バーゼ
クスの未来の王になる君には、これからも世話になるだろうしね。」
「フフ、そうだな。あのバカ国王を蹴落としたら、この俺がバーゼクスの王だ。そして・
・・あんたは闇の王になる。俺達は持ちつ持たれつって訳だ。」
策略渦巻く言葉を交わす2人。
ドクター・デスガッドの真の企みは、バーゼクスを足掛かりにして強大な闇の組織を設
立することだった。そしてゲルグはデスガッドの助力でバーゼクスそのものを乗っ取る算
段なのだ。
陰謀を抱く彼等にとって、バーゼクスの巨城は格好の隠れ蓑であった。
愚公のモルレムは彼等に利用されているなど全く知らず、娘達の陵辱に余念が無い。
「へへ〜、王者のモルレム様もっと責めてくださいって言えっ、オラオラ〜。」
下品な事を口にしながら娘を責めているモルレムに、デスガッドとゲルグは侮蔑の視線
を向けた。
「バカ国王様には、もう少しの間、良い夢を見て頂こう。世界の支配者になる夢を見れ
るんだから、あの男にとっては本望であろう。」
デスガッドの言葉に賛同するゲルグ。
「ああ、夢だけならタップリ見させてやろうじゃないか。最高の夢をね。」
ニヤリと笑う2人。彼等の真の目的を知る者はいない。いや、1人だけその陰謀を知る
者がいた。
それは・・・モルレムの后であるエリーゼ姫である。
彼女は、ふとした事からデスガッドとゲルグの陰謀を知ってしまい、陰謀の漏洩を恐れ
たデスガッド達によって城の牢獄に幽閉されている。
デスガッドとゲルグは、モルレムにエリーゼ姫は肺病を患ったので隔離療養してもらっ
ていると説明していた。
普通なら自分の后が急に病を患ったとなれば心配の一つもするのが当然であろう。だが、
デスガッド達に言い包められたモルレムは何の疑いも抱かず、それどころか、ゲルグの連
れてくる若い娘との情事に勤しむ毎日であった。
エリーゼ姫は、もう2ヶ月ほど人前に出ていない。
その間、服従を強いるゲルグによって、苛烈な拷問を受けていたのである。
デスガッドは、幽閉生活を強いられているエリーゼ姫の様子を尋ねた。
「ところでゲルグ君、エリーゼ姫はどんな様子かね、降参しそうか?」
その問いに、ゲルグは頭を横に振った。
「いいや、エリーゼ姫は可愛い顔に似合わず強情な娘でね。牢獄に幽閉して拷問してる
のに関わらず、我々に従おうとしない。まあ、俺はそこが気に入ってるんだが。」
「そんな無駄な事をせんでも、魔力で洗脳すれば小娘の1人や2人、簡単に従わせられ
るのだぞ。」
ゲルグが回りくどい方法でエリーゼ姫に服従を強いている事を懸念するデスガッド。ゲ
ルグは平然とした口調で返答した。
「そうもいかないさ。あいつは俺の力で屈服させたいんだ。これは男の意地ってやつで
ね、どうか理解してもらえないだろうか。」
「そうか・・・君らしいやり方だ。では好きにすればいい。」
「ああ、そうするよ。」
徹底した封建主義者のゲルグは、魔力でエリーゼ姫を懐柔しようなどと思っていなかっ
た。あくまで自身の力で屈服させたいのであった。力こそ全てと考える彼の信念が、そう
させているのだ。
声を潜めて話し合っている2人に、デスガッドの弟子が声をかけてきた。
「ドクター、次の女の準備が出来ました。」
「うむ、すぐに行く。」
頷いたデスガッドは、再びゲルグに向き直る。
「では私は忙しいのでね、これで失礼するよ。」
そう言ってゲルグから離れたデスガッドは、再び椅子に座って弟子達に指示を下す。
デスガッドの指示に従って、生贄の娘達を魔方陣に運び込む弟子達。
そして地下室には再度絶叫が響いた。
絶叫が響く地下室の奥には、高さ2m程のガラスで出来た容器が並べられており、その
中には・・・何か異様な生物が封じ込められている。
その異様な生物は、一見人間のような形態をしてはいるが、明らかに人間ではなかった。
それらは人間の体に多種多様な動物や昆虫などの肉体が組み込まれており、ある者はク
モのような姿で、またある者は背中にコウモリの羽根を生やし、別の者は両腕にカニの爪
を有している。その姿は怪物以外何者でもなかった・・・
ガラス容器の中で眠るその怪物達に、魔方陣から搾取した娘の生気が触手を通して送ら
れて来ている。
さながらそれは、怪物の製造工場といった様相だ。
その奇怪な怪物達を、薄気味悪い笑いを浮べて見ているゲルグ。
「奴等は、まさに地獄の魔人だな。まあ、俺もその1人だが・・・」
意味ありげな言葉を呟き、ゲルグは地下室を後にした。
彼が向かった先は、エリーゼ姫が幽閉されている城の牢獄だった。
エリーゼ姫が囚われている牢獄は、表向き犯罪者を投獄する場所となっていたが、実際
にはバーゼクスに逆らった者を拘束する場所であった。
場所的には、城郭の最も端にある古びた建物に牢獄があり、煌びやかな城とは対照的に、
カビ臭さが漂う陰気な場所である。
暗い牢獄にゲルグの足音が響き、牢獄に閉じ込められている囚人達を苛んだ。
処刑の執行を告げるかのようなその靴音は、エリーゼ姫の幽閉されている特別室の前で
止まった。
その前では1人の監視役の看守が居眠をしている。
「おい、起きろっ!!」
ゲルグの声に、看守は冷水を浴びせられた様に飛び起きた。
「あ・・・こ、これはゲルグ司令・・・」
口から垂れているヨダレを拭きながら、看守は慌てて敬礼をする。その看守に、ゲルグ
の鋭い視線が向けられた。
「呑気に居眠などしている奴があるかっ、貴様、少し弛んでいるようだな、目を覚まさ
せてやろうか?」
ゲルグの言葉に、看守の目は恐怖と緊張を伴って大きく開かれる。
「あ、あの・・・目は覚めましたですっ、ど、どうかご勘弁を・・・」
怯えながらヘコヘコ頭を下げる看守に、ゲルグはフンと鼻息をついた。
「とりあえず何事もなさそうだな。ところで貴様、エリーゼ姫に手を出してないだろう
な?」
威圧的な声に、愛想笑いをしながら返答する看守。
「そ、そんな事はしてねぇです・・・へへ。」
「それならいい。これからエリーゼ姫を尋問する、お前は下がっていろ。」
「へ、へい。」
看守を下がらせたゲルグは、エリーゼ姫の捕らわれている牢獄に足を踏み入れた。
石造りの牢獄には、1人の若く美しい姫君・・・エリーゼ姫が、手錠で両手を拘束され
て座っている。
長い金髪に気品ある細面の顔をしたエリーゼ姫は、半年前までバーゼクスの属国ライレ
ルの民達から愛される純真無垢な姫君であった。
だが、バーゼクスの属国として重圧を強いられていたライレルの領主は、我が国を守ら
んが為、娘であるエリーゼ姫を愚公モルレムの后として差し出していた。
表向きは玉の輿として人々の賞賛を受けてはいたが、実際には人身御供以外のなにもの
でもなかった。
父親の政策に利用され、モルレムの慰み者にされたエリーゼ姫の心情は余りにも悲痛で
あったが、それで民達を守れるなら仕方のない事と諦めていた・・・
しかし、エリーゼ姫の悲劇はそれだけに止まらなかった。
突如として現れたドクター・デスガッドの陰謀を知ってしまった彼女は、デスガッドの
協力者となったゲルグによって牢獄に幽閉され、凄惨な目に遭わされる事となっていたの
だ。
彼女は牢獄に閉じ込められてから以来、1枚の服も与えられずに過ごしていた。
粗末なベッドの上でシーツに包まって座っているエリーゼ姫は、2ヶ月近くこの牢獄に
全裸で幽閉されていたのだ。惨い仕打ちにもにも関わらず、その美しい紺碧の瞳には姫君
としての気高さが保たれている。
そんなエリーゼ姫に、卑劣な薄笑いを浮べたゲルグが言い寄って来た
「エリーゼ姫、ご機嫌は如何ですかな?」
「良い訳がないでしょう・・・あなたの顔なんか見たくもないわっ、さっさと出ていき
なさい裏切り者っ!!」
エリーゼ姫の叱咤に、ゲルグは怪訝な顔をする。
「裏切り者とは心外ですな、私はバーゼクスの未来を考えてドクター・デスガッドに協
力したのですよ。モルレムのアホに、この国を任せて置けない事ぐらいご承知でしょうが。
」
「なにがバーゼクスの未来ですかっ!?私は知っているんですよ・・・あのデスガッド
の正体が悪魔だという事をっ。悪魔に魂を売ったあなたはモルレム以下ですっ!!」
「なんだと・・・甘い顔をしていれば付けあがりやがってっ。」
ゲルグの右目がカッと開き、エリーゼ姫の頬に平手打ちが飛んだ。
「あうっ。」
苦悶の声を上げるエリーゼ姫の眼前に、怒りに歪んだ顔が迫る。
「強がるのもいい加減にしたらどうだ?もうすぐこの国は俺が仕切る事になる、そうす
ればお前にも良い目を見させてやるぞ。富、権力・・・何でも思いのままだ。さあ、俺に
従え・・・この俺の女になるんだっ。」
「・・・そ、そんな事・・・出来ませんっ。」
「そうかい・・・じゃあタップリと思い知らせてやるっ!!」
叫んだゲルグの表情が一変した。その顔は人間の顔ではなかった。見る見るうちにおぞ
ましい獣の顔に変貌したのだ。
顔だけではない、体が筋肉で隆起し軍服がバリバリと音を立てて引き裂かれ、その下か
ら剛毛で覆われた肉体が出現した。その姿は・・・狼であった。
ゲルグは口から2本の牙を生やした凶悪な狼男に変貌を遂げたのだ。
ゲルグは、デスガッドから肉体改造を施され、凶悪な獣人に生まれ変わっていたのであ
る。
恐ろしいゲルグの姿に、エリーゼ姫は驚愕した。
「ひっ、ひいいいっ!?い、いや・・・来ないでーっ!!」
怯えるエリーゼ姫に、ゲルグ・・・否、狼男はニタニタと笑いながら近寄った。
「ククク・・・この俺が怖いか?醜いか?だが直に判るさ。モルレムなんぞより、この
俺の方がずっと素晴らしいって事がなあ。」
邪悪な狼の口から、ハアア〜と臭気を放つ息がもれる。その口には、赤き炎の如き舌が
蠢いていた。
「ムフフ、スベスベした肌だ・・・この体、全て俺の物だ〜。」
狼男の舌がエリーゼ姫の背中を這った。そのおぞましい感触に、全身を硬直させるエリ
ーゼ姫。
「あひいっ、いや・・・やめて・・・」
「嫌だとぉ〜?何言ってやがる、ここはこんなに濡れてるぜ。さあ、犬の様に這いつく
ばれっ。」
エリーゼ姫を四つん這い常態にした狼男は、腰を掴んで引き寄せ、両手でエリーゼ姫の
白いお尻を広げた。
赤い舌が広げられた股間を弄る。ダラダラと大量の唾液が流れ、秘部を濡らした。
愛液と唾液塗れの秘部を、ジュルジュルと音を立てて責める狼男。
「さすがは姫君のアソコだ、最高に美味いぜ。他の小娘なんぞ比べ物にならん。」
白い乳房を、鋭い爪が生えた狼男の手が揉みあげる。
逃げようとするエリーゼ姫だが、両腕の自由を奪われているため、抵抗する事すらまま
ならない。
「あうあっ、だ、だれか、たすけて・・・」
「諦めろ、誰も助けになんかこないぞ。そうとも・・・お前を助けられるのは俺だけだ。
俺に従えば苦しみから解放してやるぞ。さあ・・・俺の女になると言えっ。」
狼男の卑劣な問いに、エリーゼ姫は激しく首を振って拒否した。
「嫌ですっ!!誰が怪物の言いなりになんかなるものですかっ!!」
「フン、どこまでも楯突くつもりか・・・だが、こいつを食らえば幾ら強情なお前でも
泣きをいれるさ。」
邪悪に笑う狼男の股間に、剛毛に覆われた巨大なイチモツがそそり立っている。そのお
ぞましいイチモツが、秘部に突き付けられた。
「いいい、やあああーっ!!やめて、やめてーっ!!」
「グハハッ、今更遅いわっ。お前に本当の男の悦びを教えてやるぜぇっ!!」
凶悪な毛むくじゃらのイチモツがエリーゼ姫を襲った。
巨大なイチモツをピンク色の秘部に容赦なく捻じ込み、激しく腰を振って狼男は吠えた。
「うおおおーっ!!気持いいだろうがあーっ!!さあ、もっと悶えろっ、いい声で鳴く
ンだぁーっ!!」
「あひいっ、ひっ!!ひいいいっ!!」
四つん這い状態で狼男に獣姦されるエリーゼ姫の姿は、余りにも凄惨であった。その哀
れな姿を、狼男は嬉々とした目で見据えている。
「いいぞ・・・最高の気分だあっ、獣の姿で美しい姫君を犯す・・・これ以上の快楽は
ないぞっ、イクぜっ、うお、ウオオオーンッ!!」
牢獄に狼男の咆哮が響き、エリーゼ姫の膣内に大量の精液がドバッとぶちまけられた。
「あうああ・・・ああ。」
全身を痙攣させ、エリーゼ姫は白目を向いてベッドに倒れこんだ。
「フッ、気絶したか。」
イチモツから大量の精液と愛液を滴らせた狼男は、体をヒクヒクと振るわせて気を失っ
ているエリーゼ姫を嘲笑うような目で見据えた。
快楽の余韻が冷め、狼男の姿は元のゲルグの姿へと戻って行った。
ゲルグはエリーゼ姫の長い金髪を鷲掴みにすると、気絶している彼女を強引に起こした。
「さあ、さっさと目を覚ませっ。」
「うう・・・く・・・」
弱々しく開けられた紺碧の瞳にゲルグの顔が映る。その顔は人間に戻っているが、彼女
には先程の狼男の凶悪な面構えと何ら変わらない印象を抱かせていた。
「どうだ?俺様の女になる決心はついたかい、お姫様よ。」
「ハアハア・・・ゲルグ・・・」
凄絶な責め苦を受けて気力を削ぎ落とされているエリーゼ姫だったが、その心には今だ
服従の意志は無かった。
「・・・わたしのき、気持は・・・変わりません・・・じ、地獄に落ちなさいゲルグッ。
」
「ぬあにぃ〜、強情な奴めっ、まだそんな事言ってやがるのかっ。」
金髪を掴んだ手に力を込めて睨むゲルグ。
「あうっ・・・」
「生意気な事をほざいていられるのも今のうちだぞエリーゼ。これから毎晩お前を犯し
てやる。お前が降参するまで徹底的に調教してやるからな、覚悟しておけ。」
邪悪な声でそう告げたゲルグは、横たわるエリーゼに背中を向けると、表の看守に声を
かけた。
「おい、新しい軍服持って来い。アイパッチもだ。」
ゲルグの命令に、看守は裏声を上げて返答する。
「は、はいっ。今すぐお持ちいたしやす。」
ゲルグの元へ速やかに軍服が手渡される。恐る恐る牢獄を空けて軍服を手渡す看守の手
はガタガタ振るえていた。
「ど、どうぞ・・・お召し物です・・・新しい軍服です・・・」
「いちいち言わんでもわかっているっ。」
手渡された軍服を着ながら、ゲルグは片目で看守を睨んだ。
「しっかり見張っていろ、今度居眠なんぞしたら承知せんからな。」
「へ、へい・・・心得ておりやす・・・」
酷く怯えた顔で頭を下げる看守。
ゲルグが牢獄内で何をしていたかを知る事は出来ないが、頭の鈍い看守にもゲルグの行
為が尋常ならざる事であるのは理解できた。
でもゲルグの冷酷さを知っている彼は、何も聞こうとはしない。余計な事を聞いたら何
をされるか判ったものではないからだ。
軍服を着終えたゲルグは、エリーゼ姫を見てニヤリと笑った。
「お前は俺に従う意外に道はないのさ。どこまで強気でいられるか楽しみだぜ、ワハハ
ッ!!」
侮蔑の笑いをあげて去って行くゲルグ。彼の足跡が聞こえなくなった後、牢獄に残され
たエリーゼ姫はベッドに顔を埋めて泣いた。
「うっ、うっ・・・なぜこんな目に・・・お父様・・・どうして、どうして私を見捨て
たんです・・・どうして私を悪魔に売ったんですか・・・」
声を潜めて泣いているエリーゼ姫は、父親であるライレルの領主に見捨てられた事を恨
んだ。
無論、父親も断腸の思いだったろうが、それでもこの仕打ちは余りにも酷すぎた。
威厳ある姫君が、凶悪な獣人に獣姦され調教される・・・
これ以上の辱めがあろうか。こんな目に遭わされるぐらいなら、愚公の慰み者にされる
方がどれだけマシな事か。
純真に生きてきた姫君であるからこそ、汚される苦痛は尋常ではない。
だが、今の彼女には抵抗も逃亡も出来ない。ただ自身の不幸を呪う事しか出来なかった。
静寂な夜に、エリーゼ姫の泣き声だけが響いた。それは、彼女が泣き疲れて眠るまで途
絶える事は無かった。
NEXT
BACK
TOP