『魔戦姫伝説』
魔戦姫伝説 ふぶき〜初陣編〜5.「谷江御寮人」
恋思川 幹
「お帰りなさいまし、頼基さま。表でのお勤めはよろしいのでございますか?」
奥に戻ってきた頼基を出迎えたのは側室の谷江御寮人である。
ふぶきと同じ歳で、頼基とは10歳以上も歳が離れているが、頼基の正妻はすでに他界
しており、今、北大路の奥の一切を取り仕切っているのは、この歳若い谷江御寮人である。
昨年には頼基待望の嫡男、雪千代を出産しており、その発言力は決して小さいものではな
い。
「谷江よ……ふぶきが……ふぶきがわしを殺しにくる! わしは……わしはどうすればよ
いのじゃ!?」
今にも泣き出しそうな顔をした頼基が、谷江御寮人にすがりつく。
家臣たちにふぶきの亡霊など成敗せよと命じたのと打って変わってである。
「まあまあ、こんな大きな形(なり)をして甘えていらっしゃること。まるで赤子のよう
ではありませぬか。雪千代に笑われますぞ」
そう言いながら、谷江御寮人は頼基を抱き寄せ、頭を撫でてやる。
「亡霊なぞ、なぜ恐れておりまする? 現に北大路の御当主は頼基さまでございます。頼
基さまに取って代わろうとしたふぶきさまは既に亡く、それを助けた譜代の家臣たちに変
わって頼基さま手飼いの家臣を手に入れ、雪千代という嫡子にも恵まれ、これ以上なく順
風満帆ではありませぬか」
「しかし……わしは……ふぶきを殺した……だから、その復讐に来たに相違ない……ふぶ
きを殺すように命じたあの寺が……ふぶきの亡霊に皆殺しにされたと報告が来た……わし
は……わしも殺される……」
頼基はただガタガタと震えている。
「しっかりなさいませ。亡霊に寺の者を皆殺しにすることなぞできませぬ。恐らくは、未
だに頼基さまに臣従せぬ譜代の輩の仕業、頼基さまへの面当てにございましょう」
「……ふ、譜代の?」
谷江御寮人はそう言うと、頼基を引き起こし、まっすぐにその目を見据える。
「そうでございます。さて、そのような面従腹背の輩ども、いかがいたしまする?」
「……そ、それは……」
頼基が言い淀み、言葉が続かない。
「……失礼いたしまする」
そっと谷江御寮人の手が動く。
「はぅっ!?」
谷江御寮人の手に股間の一物を掴み上げられて、頼基が声を上げた。
「重大な決定をしようという時にこのように縮こまっておりますのは、当主の沽券に関わ
りますぞ」
「あぅ……おぅ……」
谷江御寮人が頼基の一物をもみながら、頼基の袴の帯を解き、下帯の紐を解いていく。
「御当主たる者、どんな時であっても隆々とそそり立っているくらいの度量を見せてくだ
され……はむ……うむ……んむ……んんむ……」
そうして顕わになった頼基の一物に、谷江御寮人がむしゃぶりつく。
「うぉあ! おあ!」
一物を包み込む谷江御寮人の暖かで柔らかな口中の感触と絡みつく舌とでもたらされる
快感に頼基は声をあげる。
「ん……んむぅ……んんむ……うふふ、大きくなってまいりました……さあ、頼基さま、
ご決断を……はむ……」
谷江御寮人が一物を咥えたまま、頼基を決断を促す。
「……ああ……か、かような……面従腹背の輩は……おあぁ……」
「かような輩は? ……ん……んむぅ……んんむ……」
谷江御寮人がより激しく一物にむしゃぶりつき、舐めまわし、吸い上げる。
「……しゅ……粛清する! うおおおああぁぁぁ!!!」
頼基は決断を下すのと同時に、谷江御寮人の口中で達してしまった。
「んく……んく……ゴクン……。……はぁ……はぁ……さすがは頼基さま……ご英断でご
ざいます」
谷江御寮人は頼基の吐き出した精液をすべて飲み下すと、そう言って笑った。
頼基の一物と谷江御寮人の口元を繋いだ一筋の糸がキラキラと輝いていた。
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