魔戦姫伝説異聞〜白兎之章〜


 白い少女 第30話 
Simon


「――そんな馬鹿な話があるか! ありゃあ、作り話だ!」
「でも――こうして」
「あ……あのバケモノだって、もしかしたら――」

――聖地の

「――うるせぇ!!」
「――キャァァァァァァァァ!!」

ラムズはリンスの兎耳を、片手で鷲掴みにした

細かな毛が掌を擽り、体温よりも僅かに高い温もりが震えとともに伝わってくる
相当に敏感なのだろう――目を見開き、全身を硬直させて耐えている
ほんの少し力を込めれば、肩を戦慄かせ――親指で裏側を擦ってやると、目をぎ
ゅっと閉じて息を震わせる

「――へっ 聖地だ? ばかばかしい」


    ――そうよ 冗談じゃないわ こいつなんか――


「コイツはただの半獣だよ ケダモノなんだ!」

欺かれたようで、無性に腹が立つ

「ケダモノ……って ラムズさん」
「ケダモノのくせに、変な目晦ましなんか掛けやがって――騙されたんだよ! 
俺らは」

――おかしいな 何で俺はこんなに高ぶってるんだ?

「それによ、聖地ってのが本当だったとしても、巫女姫サマがペニスのことしか
頭にないような牝奴隷になっちまうとは思わねえだろうよ」

――これじゃまるで……あの侍女をやったときと、同じじゃねえか

「半獣――ケダモノ……か」
「巫女って言ったら、処女だもんな――だったら」
「ヤっちまえば……術とかも使えなくなんじゃないか?」

――ゴキュッ

男たちの喉が鳴る――霧散しかけた淫気が、再び膨れ上がる



――クイッ
「――きゃ」

顎を摘まれ、上を向かされた――すぐ目の前に、大きなおじさんの顔
手首が一まとめに後ろで――何かがぐるぐると巻きつけられた
痛くないけど――ほどけない

「今度はしくじったりしねぇ――骨の髄までしゃぶりつくしてやるよ」

「なに…するの?」


          ――作り変えてあげるわ


「生まれ変わらせてやるよ――最高の肉人形にな」

――べちゃり…

「――んんっ!?――むぐぅ!」

ムアッと、生臭い息が吐きかけられて――ぶよぶよした唇が押し付けられた

――やだっ きもちわるい!――こんなの……ユウナとぜんぜんちがう!

逃げようとしたら、大きな手が頭の後ろに回されて――

「――む…む――むあぁ!」

――やっ くちが……あけないで

無理やり頭を上に向けさせられて――おじさんの唇が、あたしの口をこじ開け―
―

――ドロ…ロロロ…

「――!! んんんーーーっ!!」

口の中一杯に、臭い涎が――気持ち悪い!

「――おっと」

おじさんの大きな手が、あたしの口を塞いじゃった

「いい娘だから、さっさと飲むんだよ」

――きたない きもちわるい――ユウナのとちがう!

目に涙を浮かべながら、いやいやと首を振るリンス
だが――

――トンッ

ラムズが軽くリンスの胸を打つ

――ぐっ!?――ゴクッ!

「――う!…うっ」

少女の必死の抵抗をあっさりと排し、自分の唾を飲み込ませる――あまりにも手
馴れていた

――のんじゃった…!…あたしのなかに、はいっちゃった

喉の奥がべったりと――内側から汚されていく――錯覚


――あたし……ユウナを、うらぎっちゃったの…か…な

「な、なあ――俺のも飲んでくれよ」

伸し掛かってくる男の影

リンスの目の前が、スウ――と暗くなっていった


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