ローザ姫の悲運第二部:白百合美少女親衛隊

第五話:
神光寺雅

手下どもはロゼット達を取り囲んでいる。
今にも襲いかかろうとうずうずしている。

『気をつけて・・・』

ロゼットがユーリアとリヒテに目配せをする。
まだ猿ぐつわをされたまま、縛られたままではあるが、まだ正気を失ったわけではない。
ロゼットが先頭になって、手下どもをにらめつける。
手下といっても年齢は様々で、まだはすっぱの若いやつが5人ほど。あとは特殊な能力を持った【遠目】のような比較的高齢が3人。あとは流れ者や身体に異常のあるものといったのが5人。種々雑多だ。
全員には至らぬ物の、大量の獲物。しかもいずれも美形ときている。配分でけんかでもしたらつまらない。
若い5人は奥の部屋に連れ込んだ親衛隊に興味津々だ。見たこともない短いスカートの女に興奮が収まらないようだ。黙っていても今夜中に手込めにするに違いない。
5人の配分はすでに決まったような物だ。
問題はここにいる3人だ。長身で巨乳のリヒテにはどの男も目をつけている。
小柄なユーリアも美形で、人目をひく。
なにより、親方が独占しているローザ姫に似ているロゼットには全員の目が集中している。
なにしろローザ姫に至っては、触れることすらできず。今はお目にかかることもできない。

「それに・・」

【遠目】が呟いた。

「これだけの美形だもし親方にしれたら・・」
「それにだ・・こいつらを捕まえたことを親方に知らせれば、俺たちの立場もよくなるかもしれない」
年寄り三人の打算的な考えに、目の前の獲物に飢えた男達がいらだっている。
「ここは・・俺たち三人でいただくというのもどうだ?」

年寄りが三人でひそひそ話を始める。

ロゼット達は猿ぐつわをかまされているので言葉が出せない。
なにを話しているのかわからないがどうせろくなことではないだろうと無視することにした。
だが、男達の視線がだんだんと自分たちにそそがれ、その目的が見えてきたときには
三人で身をあわせて恐怖に震えることしかできない。
男達の目がドレスの上から胸をそして全身を見つめているのが分かる。

年寄りの説教など無駄とばかりに流れ者がロゼット達に迫っていく。

「やめなさい!なにするの!」

猿ぐつわが戒めが解かれ、ロゼットの威嚇する声が響いた。
3人の男がロゼットを取り囲んだ、ローザ姫のドレスを着たロゼットをお姫様と思いこんでいる。
ローザ姫には触れることもできなかったせいもあるのだろう。
いずれも強面の輩だ、身体中に古傷のある禿げた筋肉質の男。
同じようにごつい体つきの髭もじゃ。目の前には一番背の高い隻眼の流れ者がいる。
だがロゼットはひるまない。ぴしっと胸を張って三人をにらみつける。
だがそれが男達を刺激する。
ロゼットのドレスはローザ姫の物だが、胸の羽根飾りが無く、大きく胸の開いたタイプ。
コルセットで持ち上がった胸が男の目をひいた。
いきなり左の胸をわしづかみする

「やだ・・・やめて!」

ぱしん
反射的に手を振り払い、おかえしとばかりに流れ者に平手打ちを食わす。

「ひっひひぃ〜〜元気のいいお姫様だあ・・」

山賊達が一斉に盛り上がった。ローザ姫とは違う生きのいい獲物に湧いていた。


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