クレール光の伝説(第3話)1
「姫様!無理なことはおやめ下さい!」
「いいか!お前は城へと戻ってここの場所を 知らせるんだ。ボクはソレまでに必ず姉様を 助け出す!」
持ってきたたいまつを侍女に持たせて、ク レールは単身洞窟へと進入した。
発見されることなど無いと安心しきってい るのだろう。入り口には歩哨も立ってはいな い。クレールはやすやすと、洞窟にはいるこ とができた。
「これは奥が深いぞ・・」
洞窟の通路は案外広い、途中にぽつりぽつ りと、たいまつがともっていて迷うようなこ とはないが、通路は途中幾度も枝分かれにな っている。
「・・・だれかくる!」
人の足音がした。クレールは慌てて岩影へ と隠れる。自然のままの洞窟を使っているの で、あちこちにくぼみがあり、隠れ場所には 事欠かない。
「・・・やっとお楽しみの時間だぜ」
「こんどの女達はどいつも肉付きがいいとさ、 たまらねえぜ」
「たっぷりとかわいがってやろうじゃねえ か」
オークが3人、卑わいな言葉を吐きながら とおり過ぎた。クレールは始めてみるその姿 に驚愕した。大きな体。まるで豚のような風 体。
「あいつらが姉様を連れ去ったのか! こん な忌まわしい化け物に姉様が・・・」
クレールは怒りに、思わず剣を抜いて飛び かかろうとするが、思いとどまった。
「・・・あいつら・・・女達のところに行く らしい・・・よし!つけてみよう」
クレールは自分に言い聞かせるようにうな ずくと、巧みに岩影を伝いながら、オーク達 の後を追う。音を立てないように、腰の剣は 既に手に握ったままだ。
やがて、オーク達は岩穴を彫って作った部 屋のようなとことに入っていく、交代に中か らこれも3人のオーク達が出てきて、さって いった。
「この中に女達がいるのか?」
クレールはまわりに注意を払いながら、入 り口へと向かう。
中にはいると嗅いだこともない強烈な匂い が鼻をつく。中は思ったより暗い。クレール は入り口左側の物陰に身を隠した。
「な、なんなんだ・・・ここは・・・」
だんだんと目が慣れてきた。そこはまるで 馬小屋のようだった。木の柱が幾本も立ち、 中が幾つにも区切られている。地面には干し 草が引かれている。
「あ!・・・」
クレールは思わず声を上げそうになって、 あわてて手で押さえた。そこに繋がれている のは馬などではなく、人間だった。