ダーナ氷の女王 第二部 第7話 2
「う・・ううん・・・うああああ・・・」
ダーナのうめき声は悲鳴に変わっていく。
かなりの苦痛が襲っているのだろう。
全身から冷や汗が吹き出し、ベッドの上で苦しそうにもがいている。
「姫!ダーナ姫!・・・どうしたと言うんだ!」
キラはらしくなく取り乱している。
さっきまでなにもなく、安らかな寝息を立てていた姫のあまりの変わりように、真っ青になっている。
ガインがおいぼれた医師を連れてきた。
老いぼれてはいても、この村では唯一の医師なのだ。
「姫を姫を助けてやってくれ!」
キラのあわて振りをよそに、医師は落ち着いてダーナの診察を始めた。
だが、その表情も曇っていく。
「これは・・・?」
キラがのぞき込んだ。
さっきまでは気づかなかった、ダーナ姫の腹部が異常に膨らんでいる。
「まるで臨月の妊婦のようだが?・・旦那はあんたかい?」
「臨月?・・妊婦なにを言ってるんだ?」
キラはきょとんとした表情で立ちつくした。
だが、それは突然やってきた。
「いやっ!・・あ・・あうう・・・!・・いやあああ・・・・!」
ダーナの悲痛な叫びがあがった。
ダーナの下腹部がいように膨らみ、動き始めた。
「なんだ!・・なんなんだこれは?・・・腹部が動いている?」
医者が叫んだ。
「ひぎいいいっ!・・・ひ!・・きゃあああっ!」
ダーナが、まるで断末魔のような叫び声を上げた。
「姫!・・ダーナ姫!」
キラが叫んだ。
ぶりゅ・・ぐりゅ・・う・・・ぎゅう・・・・うう・・
奇怪な音を上げて、ダーナの下腹部から・・白い物体が生み出されてきた。
卵と言ったらいいのだろうか?異様な物体だ。
「なんとおそろしいことだ・・魔女のせいなのか?」
医師が、あまりの出来事に唖然として、つぶやいた。
びゅりゅう・・・ぐりゅう・・・ぐるう・・・・・
「きゃあっ!・・あっ!・・・・きゃあああああっ!」
ダーナは一声叫ぶと、そのまま気を失った。
ダーナが産んだ奇怪な物体・・。
それは、生み出されると、不気味に動きをはじめた。