ダーナ氷の女王 第二部 第4話 1
尽きぬ欲望3
アンデッドはずかずかと入ってくる。
いつもふらふらと歩いているのを見慣れたダーナには奇異に映った。
「なんですか!ここは婦人専用の・・・・」
そこまで言いかけたとき、ダーナの頭に聞き慣れた声が帰ってきた。
いや、聞きたくもない声なのだが。
「・・・・こうして素っ裸を拝ませてもらうのは久々だな。お姫様」
それはダーナを攫ったあの悪党ドモンの声だった。
「ド、ドモン・・・・・?」
ダーナは耳を疑った。そこにいるのはたしかにアンデッドだ。
だが、聞こえてくるのはドモンの声。
侍女のアンデッドが風呂から出てアンデッドを制止する。
だが、あっさりと押しのけられてしまう。
全身の皮膚はただれ、顔さえも判らないほどだ。だらんと垂れた腕、曲がった腰。
そこにいるのはアンデッドに違いないのだが。
「姫さんおいらもここにいるぜ・・・・」
「・・・・そ、その声」
それはノーズだった、いやノーズの声だった。
アンデッド達が声を出しているようには見えない。
しゃべっていると言うより直接頭に声が響いてくる。
そのおぞましい化け物達は湯の中のダーナに迫ってくる。
ダーナは後ずさりするが、狭い湯の中である。いくらも進まない内に壁に突き当たる。
ダーナは頭が混乱して何を考えたらよいかも判らない。