ダーナ氷の女王 第二部 第2話 2

 ダーナ姫は魔女の城の中で最も高い塔に幽閉されていた。
 小さな窓が一つあるだけの薄暗い部屋だ。
 そこから見える風景は砂漠ばかり、せめて海でも見えれば救いもあろうと言う物だが。
 いや、むしろそれは幸いだったかもしれない。
 海を見れば懐かしい故国のことが思い出され、泣き暮らす毎日だろう。

 国から攫われ、地獄のような陵辱にあい、突然の妊娠、そして出産。
 産まれた子供さえどこへ行ったのか判らない。

 あの日以来、砂漠の魔女がダーナの前に姿を現すことはなかった。
 何かを企んでいるのか、いや、すでに用無しになったダーナにはなんの興味も示さないのか全く判らなかった。

 無為に過ごさねばならない日々。

 だが、ダーナには新たな恐怖が待ちかまえていた。
 魔女の策略にはまり、アンデッドと化したあの男達である。
 すでに人ではない身となった今でも、飽きぬ欲望を満たせずダーナの身体を再び狙っているという。
 そのためもあって、塔の警備は厳重なモノだ。
 だが、それをしているのもアンデッドに過ぎない。

 かってドモンとノーズだった化け物達は、有りもしない考えを巡らしていたのだ。

 そして、そのチャンスはやってきた。

 ダーナは地下の温泉に入りに来る。
 その時ばかりは、女従姉達が伴うだけにすぎない。

 化け物達は、温泉の入り口の守にすり替わり、ダーナを待っていた。
 何も知らぬ、ダーナは地下の温泉へと入っていった。
 そのあとをドモン達が忍び込んでいった。

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