ダーナ氷の女王 第二部 第2話 1
尽きぬ欲望1
「見たこと無いヤツがいた?」
マナが帰ってくると、ものもいわずに朝飯をぱくついた
ひと心地ついたとき、呟くようにガインに高台であった男のことを言った。
「へんなやつ!背ばっかり高くて。へんな耳の形をしていた!」
ぶっきらぼうな物言い。
それも仕方がない、猫族は人間に比べ来ると成長が早い。
当然寿命も短いが。生まれて一年も過ぎないうちに、一応一人前になる。
だが、まだ片言の言葉なのは仕方のないことだ。
「背が高いって?おいらよりもか?」
「おとうより少し高い!」
ガインは背の低い猫族の中でも特別に背が高い。
多分混血が故なのだろうが。
それにしても・・。
砂漠の魔女が永い眠りから覚め、豊かだったこの国が、全体を砂漠で被われようとしていた。
僅かに、魚釣りの技能のある猫族のみが僅かな海岸沿いに暮らしているだけで、他の種族などとうにこの地を見限ってでていったはずである。
「狼族・・・・」
ガインはぽつりと呟いた。
狼族。
それはかってこの国の大部分を占めた内陸の森林にすんでいた狩猟の民だ。
なぜ狼族がまたこの地に・・・。
ガインは不吉な予感に襲われていた。