ローザ姫の悲運第二部:白百合美少女親衛隊

第三話:謎の女
神光寺雅

山賊達は親方に気づかれないように白百合親衛隊の8人を洞窟の奥の部屋に連れ込んだ。
ぐずぐずしていると水くみをしてないのがバレ、親方達にこっぴどい目に遭わされる。
奥の部屋は鍵のかかる部屋で、親衛隊の5人はここに連れ込まれた。
ロゼット、ユーリア、リヒテの三人は、手下どもに与えられた小汚い食堂に連れ込まれた。

手下どもは、そのあと、親方の洞窟に行き、くんできた水を運び込んだ。
反対にわずかばかりの食料を分けてもらう。まるで奴隷と同じだった。

親方の洞窟には、ローザ姫だけでなく。アンやミンがいるはずだった。
だが、手下共の前には出てこない。
姫をさらった男達がアンやミンを独占しているに違いなかった。
侍女とはいえ二人ともかなりの美形。手下共の得物にするのはもったいないと思ったのだろう。
手下共の不満が溜まりきっているのもそのせいだった。


妙に従順な態度にも男達は何の疑いももたなかった。相手にもされていなかったというべきか。
いつもは腹立たしいばかりだが今日ばかりは好都合だった。
手下共は用事を済ませるとさっさと自分たちのねぐらに戻っ
っていった。
今度得物を独占するのは自分たちなのだから。


牢屋のような部屋に連れ込まれた、シンシア達白百合親衛隊。
シンシアはそれでも気丈に当たりの様子に目を凝らした。
部屋にはあかりが無く、ドアの窓から溢れるたいまつの明かりが唯一の照明だ。
そして部屋の臭いに眉をしかめた。鼻が曲がってしまうくらい。
やがて・・目が成れてくる
「誰かいる」
先客がいることに気づいた。女だった。
その女は部屋の片隅に座っていたが、立ち上がってシンシアに近付いた。
どうやら縛られてはいないようだ。
髪が長く整った顔立ち、美人といった方が良い。
侍女のような服を着ているが、目つきは鋭い。
女は紙巻き煙草をくわえている。部屋の臭いの元はこれのようだ。
「あんたたちも攫われてきたのか?みたところ普通の娘ではないようだが」
そういって隠し持ったナイフで縄を解いていく。
シンシアはすぐに体を起こし女に礼を言う。

「ありがとうございます、私はシンシア。私どもは白百合親衛隊です」
そこまで言うと煙草の臭いに咽せてしまった。
「アンリエッタだ・・親衛隊?・・・」
「すまんな・・・この部屋にいるとこういう臭い消しが必要なのでな・・」
「いえ・・そのようなことは・・こほこほ・・」
やはり、シンシアには煙草の臭いがきついようだ。
アンリエッタは煙草を部屋の端にある灰皿に移した。
「これで話ができるだろう。それで・・・攫われたのか?」
シンシアは首を振ると健気に答える。
「いえ、これも作戦のうちです・・・」
「作戦だと?なんのだ・・?」
アンリエッタはシンシアの真面目な顔に相づちを打った。
「もちろんローザ姫様救出の作戦です。私たち親衛隊で懸命に考えた作戦です」
「たしかに・・多少狂いはありましたけど」
アンリエッタは頭を抱えた。
「どうされたのですか?」
シンシアが女の顔をのぞき込む
「あのね・・あんた達みたいなお嬢さんがこんなところに連れ込まれてどうなるのか分かってるの」
シンシアや親衛隊と娘達の制服に目をやった。特に短すぎるスカートに。
「その衣裳は・ちょっと・・いや・・かなり・・まずくないか?」
シンシアは顔を染めて、スカートの裾を押さえる。
「それは・・・・・か、覚悟はできています。と、殿方のされることはよくわかりませんが・・書物でよく研究して参りました・・」
「おいおい・・」
アンリエッタはまた頭を抱え込んだ

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