淫曝 第2話
隠者
月明かりに照らされた草原を、夜風が薙いでいく。銀仮面を付けた全裸の王女
はただ独り素足で草を踏みしめながら歩いた。満月に近いとはいえ、薄暗き蒼闇
の世界で、月光を照り返す王女の白肌は、燐光のようにぼうと浮かんでいるよう
に見える。女神の神々しいさ?いや月光はいま、女を、妖しくも美しき淫魔のよ
うに映し出していた。
「何をしていらっしゃるの?」
女が初めて声を掛けたのは二人の墓堀りだった。この王国では、昼に墓穴を掘
ることは不吉なため許されていない。墓堀りの活動時間は夜だ。彼らの足元には
ちょうど人間がすっぽり入るほどの皮袋が膨らみを持って転がっている。穴の主
はこの皮袋の中身だろう。
「な、何って…死体を入れる穴を掘ってるんだよ。なぁ」
「あ、あぁ…そうさ」
彼らは墓標が並ぶ墓地の真ん中で、突然掛けられた声に何気に答えた。だが次
の瞬間こんな夜中に彼らに話し掛ける人間がいる不可解さに気がつく。彼らは、
びくびくと身体を震わせ、恐々としながら声の方を振り向いた。
「な!」
仮面を付けた全裸の女に、墓掘りたちがぎょっと目玉を引ん剥く。こんな夜中
に女が独りで何をしているのか。しかも顔には銀色の仮面が鈍く輝いている。
「出た」のか?
「そんなに驚いた顔なさらないで。私は化け物じゃないわ。ほら」
女はそういって、墓掘りの一人の手を取ると、見事な形をした乳房に墓掘りの
掌を押し付けた。土だらけの掌で、柔らかい乳房は押しつぶされるように変形し、
男の掌には吸い付くような肌の感触と同時に、その奥でどくんどくんと脈打つ女の
鼓動が伝わった。
「どきどきいってるでしょう?」
「だ、だけどよっ!」
いぶかしむ墓掘りはさっと手を引っ込めた。もう一人、背が小さく小太りな墓
掘りは地面にひざまずき、聖書とロザリオを手に、一心に神に祈っている。
「これならどう?」
女は傍らにあった墓標に、片足を上げた。しなやかな動きだった。閉じられて
いた秘裂がぱっくりと開花し、墓掘りたちの前に、薄紅色のヴァギナが晒される。
女はさらに尻の方から手を回すと細く綺麗な指先で、ラビアをさらに広げた。女神
の美しき肉体に咲く、淫靡な花─。墓掘りたちの四つの眼が、ヴァギナに釘付けに
なるのが分る。女の心臓も鼓動を早めていた。
「ねっ?」
無言が流れた。だが、女に墓掘りたちがつばを飲み込むのが、喉仏の上下で分
かった。
ひゅうっと夜風が女の股間を撫で上げ、女の唇から「ん」という甘い声が流れる
。
「ば、化け物でも構わねぇっっ!!」
背の高い方の墓掘りが猛然と立ち上がり、女を地面に押し倒した。墓掘りは土
だらけの手で、女の乳房を鷲掴みにすると、ちゅるちゅるという音を立てながら
乳首を吸う。
「…あぁンンっ…」
女の身体は敏感だった。乳首はすぐにこりこりとした弾力を帯び、男の舌を楽
しませる。弾力のある乳房は、男の手によってぐにゃぐにゃと卑猥な形に揉み解
され、その肌はどんどんと土で汚れていく。墓掘りは仮面の女の、白い美肌を自
分の手で汚していくことに息を荒くさせて興奮していった。女の身体は、墓掘り
に組み伏せられながら、うねうねと艶めかしい痴態を描く。
「……うぅン…」
甘く切ない声を上げる女を、墓掘りは仰向けにしたまま、両脚を女の頭の方へ
と持ち上げた。なめらかな曲線を描く女の内股の真ん中で、いびつでありながら
麗しさをたたえた、ラビアという淫花が咲いていた。淫花の向こうで両脚に挟ま
れる格好となっている銀仮面などは、墓掘りにはもはや関係なかった。
─ペッ!!
墓掘りは、ヴァギナに向かって、大量の唾液を吹き掛けると、ざらついた舌先
で、ヴァギナを責め始める。これほどまでの美体を、力で押さえながらもてあそ
ぶなど墓掘りの人生にとって、生涯一度のことだろう。舌先は女を焦らすように、
左右の小陰唇に沿って何度も上下し、ゆっくりとその造形美を楽しむ。小陰唇の
上でぴくぴくと蠢いているクリトリスを見付けると、つん、と舌先で突付いてみ
る。
「はぁっうンンン!!」
女の仮面がイヤイヤをするように左右に揺れる。身体の芯に電流が流れるよう
だ。仮面の奥で、悶える女は「私の肉体が求められている」ことに酔い、官能に
溺れ始めていた。ヴァギナいや、身体全体がどんどんと火照っていく。
「へへへ、濡れてきたぜ」
膣口の奥からとろとろと流れ出した蜜を、墓掘りはわざとじゅるじゅるという
猥褻な音を立てて吸い込んだ。奥からこんこんと沸き始めた蜜は、とどまること
を知らないかのように、墓掘りの喉へと流れていく。
「見えるか?お前さんのアソコ、ぐちょぐちょだよ」
墓掘りはそういいながら、薄汚れたズボンを下げ、どす黒く、グロテスクなペ
ニスを、淫花のど真ん中に一気に突き立てた。
「ひゃぁあぁぁっ!!」
ぺニスは膣口から産道を通り越し、子宮の入り口まで犯していた。興奮し、力
任せに前後する墓掘りの腰のせいで、ペニスは膣壁を逆撫でるように責め立てる。
女の目は仮面の下から、自分のヴァギナにペニスが突っ込まれる様子をとらえて
いた。赤黒いペニスはくいを打ち込むように無道な動きで、薄紅色の可憐な淫花
を蹂躪している。だが残酷なまでに辛い仕打ちなのにもかからわず、花びらはい
よいよ咲き誇ろうとしていた。
「…あっ…うンっ…くぅっっ!!」
「おい。おめえも犯れよ。勿体無え、すげえ上玉なんだぜ」
墓掘りは、いまだに祈りつづける小太りの墓掘りにも参加を促した。だが、小
太りはぶるぶると首を左右に振り、なかなか承諾しない。
「しょうがねぇなぁ。ほれ」
墓掘りは女を犯しながら、体を入れ替え、今度は自分が仰向けになった。女を
自分の体の上にまたがらせる騎上位の格好になると、女の尻をつかみ、左右に広
げた。小太りの前に、ひくひくと収縮する女のアヌスが映る。
「いやぁっ!!」
女は初めて拒絶を示し、尻を掴む男の手を解こうとする。女にとっては完璧を
誇る自分の肉体の中で、アヌスは唯一の「汚れた」場所だった。
「…そこは…あン…い、いや…ンっ…やめて…」
「いいじゃねぇか。…なぁ穴はまだあんだ、犯れよ」
「…やっ…やだってば…」
女は懸命に男の手を押さえつけ、アヌスを見られる恥ずかしさから逃れようと
する。
自ら裸体を晒し、相棒をくわえこんだ女が、今必死になって「抵抗」していた。
抵抗する美しい女を犯す─。小太りにとっては、このシチュエーションが理性の
スイッチをオフにした。
小太りは、吸い寄せられるようにアヌスに接近すると、女を尻を掴み、ペニス
の先を放射線を描くアヌスの中心部に挿入し始めた。
「い、いたいィィィィィっ!!」
女は苦痛に体を反せる。アヌスに沈んでくる狂気のペニスから逃れようと身体
をくねらせるが、二人の墓掘りは、女のか細い四肢を押え付けた。小太りは、薄
笑いを浮かべながら、ぐいぐいとペニスを入れていく。アヌスは、無数のしわを
最大限にのばし、筋肉を緊張させて、「出すところに入ってくるもの」に耐えた。
「お、お願い!抜いてぇぇぇっ!」
そう叫んだ女だったが、次第に「凄いことをされている」という認識が痛みと
ともに女の頭の中で心地よさも芽生えさせ始めていた。墓掘りたちのペニスは、
膣内と腸内をしきる薄い肉壁をはさんで、ごりごりと触れ合いながら、それぞれ
の穴を前後に突き立てる。
「あぁ…お願いだからぁ…抜いてぇ…くぅっン…」
「良くなってきたみたいだな。こっちもそろそろ…」
下になり本来の穴を責め立てる墓掘りが、ぐいっと奥までペニスを入れ、最後
に向かって一層力強い動きをし始めた。小太りの男もアヌスの持つ強烈な締め付
けのせいで早くも、そのペニスをびくびくと痙攣させ始めている。
「え、えぐられるぅぅぅっン!」
土だらけになった女の肌で汗が妖しい光沢を紡ぎ出している。─女の絶頂も近
かった。
蒼闇の中で蠢く三つの生き物は、その頂点に向かい、いよいよその動きを加速さ
せていった。
「いく!いっちゃうぅぅぅぅ!」
「俺もだぁ!」
「おいらもぅ!」
─墓掘りの精液は、どっぷりと二つの穴に注ぎ込まれた。長い射精を終え、ペ
ニスが抜かれた女のヴァギナとアヌスからこぽこぽと精液が地面へと零れ落ちた。
白い肌の至る処についた土を、墓掘りたちは拭い取ってやる降りをしながら、余
韻の残る女の肉体を触りまくった。
「ごちそうさん」
そういった墓掘りたちを残し、女はその場を去り、川へと急いだ。歩きながら
、どろりとした液体がヴァギナとアヌスから溢れ、太股を伝い落ちていくのが分
かった。拭い取ってもらったとはいえ、肌もまだ土で汚れている。汚された美体
─。
だが、女は満足だった。仮面で王女という「顔」を隠しても、この肉体は「価
値」あるものとして、男をとらえた。
「ふふふ」
川の冷たい水で、身体を洗い流しながら、女は笑みを零した。だが、水面にその
笑顔は映らない。水面に映るのはただ、無表情な仮面だけ。女は自分が再び銀仮
面を被り城下を全裸で歩く姿を思い浮かべた。─この身体に吸い寄せれ背た無数
の男たちに、取り囲まれ、輪姦される自分。その光景は身震いするほど、たまら
ない悦楽だった。
(つづく)