*A week・第3日目(4)
T.MIYAKAWA
スカーレットが勝った事で、ギャラリーからの歓声は一層高まっていた。
「残念だったけど、よく頑張ったよ。」
そう言いながら、プラムは王子に手を差し伸べた。
「それじゃあ、約束通り王子様には罰ゲームを受けてもらうからね!」
スカーレットはあたかも待ちわびた口調で呆然としている王子にこう告げた。
するとプラムは王子の体をいきなり取り押さえてきたのだ。
この突然といえる展開に動揺する王子を尻目に、プラムは次々と服を脱がしていった。
服はあっという間に全部脱がされて、王子は文字通り丸裸の状態となってしまった。
「な、何をするんだ!?」
「何って、決まっているでしょ。
これから始まる罰ゲームの準備をしているのよ。」
王子は自分が何故このような姿にならなければならないかという質問にプラムは
こう答えた。
二人のそんな会話をしていると、一人の少女が紐の付いた首輪を手にして近づいてきた。
そして少女は何も言わずに持っていた首輪を王子の首に取り付けた。
「フフフ、ありがとうユユ。」
ユユと言う少女はスカーレットの言葉に対しても、返事もせずにただ無言でうなずく
だけだった。
「さあ王子様、これで罰ゲームの準備は完了したわよ。
それじゃあ、始めましょうか。」
首輪をつけられた王子に向かって、スカーレットは楽しげな口調で話し掛けてきた。
スカーレットが提案したこの罰ゲームとは、訓練場の外周を王子が四つん這いの形で
一周させるというものだった。
その間、王子は全裸となっていて、しかもスカーレットに紐を引っ張られる状態と
なっていた。
「さあ、早く四つん這いになりなさい。」
スカーレットに促されて、彼女には逆らえないと判断した王子は言われるままになると
ユユが突如、王子の背中の上にまたがってきたのだ。
「ええっ!?」
「どう、面白いでしょ?
ただ四つん這いで歩かせるだけじゃつまらないと思ったのよ。」
この状況に驚く王子の側で、プラムは笑顔を浮かべながら説明した。
「さあ、早く歩きなさい!」
スカーレットはこの一声と共に、紐は引っ張って王子を促せた。
こうして王子の罰ゲームが始まった。
王子の今の姿は紐を繋いで歩く犬とまったく同じだった。
しかも王子の背にはユユがまたがっている為、一歩一歩進むのに時間が掛かり、
周りでは多くの人々の視線が注がれ、王子にとっては大きな精神的プレッシャーが
かかっていた。
「ハァ、ハァ…。」
背中にのしかかっている重さにこらえながら体を慎重に動かしていった。
途中、ユユを背中から落とすと初めからやり直しになるからだ。
日没の頃になって、王子は無事に一周を終わらせ、罰ゲームが終了した。
疲れて仰向けになって倒れた王子の目には、そんな彼を見下ろすスカーレットの姿が
映っていた。
「…ご苦労様。」
意識の薄れる王子の耳からスカーレットのこの一言が微かに聞こえた。
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