*A week・第1日目(7)
T.MIYAKAWA
「ねぇ、君は私の胸を見てどう思う?」
プラムは突然こんな事をたずねた。
「そんな事、いきなり言われても…。」
王子はその質問に答えられないでいた。
「大きいでしょ?
でも、ちょっと前までは少し小さいんだ。」
プラムが突然話題を変えたので、王子は驚いた顔をした。
「私は失恋した後、イザベラに相談したの。
自分はどうしたらいいのかってね。」
プラムは話を続けた。
(イザベラ…?)
王子は「イザベラ」という名前を聞いて、一人の女魔法使いの顔を思い浮かべた。
「そうしたら、彼女は私に薬をくれたの。
コレを飲めば、何か変われるかもしれないって言われてね。」
プラムの顔の表情は少し明るくなっていた。
「私は何のためらいもなく飲んだのは覚えている。
そうしたら、次の日から私の胸が今くらいに大きくなったの。
まぁ、隊長のと比べたら負ける方だけど、それでも前よりは自分に自身が持てるように
なったのよ。」
その話を聞いた王子は、プラムにそんな過去があったんだと考えていた。
「…だからさ、王子様には1日でいいから私の彼氏になってほしかったんだ。
少し強引だと思うかもしれないけど、私は精一杯努力しているの。
それだけはわかってほしかったの…。」
そう言い終わると、プラムはボトルを片手に立ち上がり、そのまま王子の方に
近寄ってきた。
「…えっ!?」
突然の出来事に驚く王子だが、プラムはそんな事はお構いなしだった。
プラムは手に持っていたボトルの酒を口に含み、そのまま王子の顔に
近づきそのまま口づけをしたのだ。
「…!!」
王子はプラムの突然の行動に動揺した。
しかも彼女は単にキスをしただけでなく、ついさっき口に含んだ酒を彼の
口の中に注いだのだった。
「う、うぅ…。」
王子は顔を離そうとしたが、プラムは彼の顔を両手でガッチリと
押さえていたので、それを引き離すことは出来なかった。
そうしている間にも酒が次々と口移しで注がれていたのだ。
飲み切れなかった酒は口からポタポタと床にこぼれ落ちていった。
プラムは口の中の酒がもうなくなったことを見計らって、王子の口からようやく顔を
離した。
「フフ、君のファーストキスもらっちゃった…。
どう、初めてのお酒はおいしかった?」
プラムは満足そうな顔でたずねた。
王子の方はいきなりキスをさせられ、しかもその際に酒を飲まされたという
動揺を隠せないでいた。
「いきなり何をするんだ。
…酒なんて…まだ飲めないのに…。」
王子はせきこみながら言った。
「今は飲めなくても、大きくなれば飲めるようになるじゃない。」
プラムはそんな事を気にしないという顔で話していた。
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