黄金の日輪*白銀の月2〜陰陽の寵賜〜
第2話/秘戯
Female Trouble
「…あっ、あああっ!お姉さま、もっと、もっとしてぇっっ…っ!!」
「クレアっ…ううん、はあっ、はああっ、…クレア、気持ちいいっ…!」
アーヴェンデールの街をはるか離れた極北の山脈。その地底に広がる超古代の地下迷宮。
異界の魔物が跳梁し、漆黒の闇が支配する、その最深層の一角。怪物たちも決して近寄
ることのない禁忌の牢獄。そこだけに微かな魔法の灯りが、あたかも結界のように仄暗く
灯っている。
その青白い灯りに照らされて蠢く、白い肉塊が二つ。
身を切るほどに冷たい地下水が滲む石畳の上にもかかわらず、「それ」は熱い欲情に煮
えたぎっていた。
「ああんっ、いい、いいの、お姉さまあ、お姉さまああっっ…ああ!」
「ふああっ…あんっ、ダメっ、クレア、そこは…ぁっ!んぐううっ…だめええっ!」
神聖にして冒すべからざる高貴な王女姉妹の、それは裏の、そして真の姿。
煌びやかな王家の盛装に包まれていた聖王女クレアは、今は白い裸身も露わにして地に
横たわり、全身を汗みどろに濡らしながら悦楽にのたうち回っている。昼の顔の気品に満
ちた端正さが嘘のように、快楽を貪るだけの獣のようになって、華奢な全身をよじってい
た。あの豊かな金髪も、今は床に溜まった湧き水と玉のように滴る汗にぐっしょり濡れて、
まるで練りたての絹のように王女の裸身に絡みついている。慎みを忘れた甘い嬌声をあげ
つつ身体をくねらせるたびに、そのほっそりした16歳のトルソのわりに豊かに育った二
つの乳房がふるふると揺れた。
その聖王女を肉食獣のように上からのしかかって蹂躙しているのが、同じくあの禁欲的
な軍装の下に隠していた引き締まった裸身を晒した姉の姫将軍アンヌだった。銀髪を振り
乱しながら一糸も纏わぬ全身を擦りつけ、妹の柔肉をしゃぶっている。すでに固くしこっ
た妹の両の乳首にむさぼりつく姉は、クールな昼の仮面をとうに捨て去り、禁断の甘い果
実を口に含みながら恍惚としていた。
クレアの純白の肌と対照的な、薄い小麦色の肌は熱く濡れ、冷たい空気に火照った汗か
ら湯気が浮かぶ。滑らかな皮膚の下に隠された引き締まった筋肉の動きが、荒々しく妹の
柔肌に吸収されていく。いつもは軍服に隠されている見事なほどにたわわな乳房を重く揺
らし、アンヌは妹の下腹部にその双球を押しつけるように擦りつけていた。
「ひいんっ、あそこに、お姉さまの胸が当たって…るうっ、はああんっ!!!」
「気持ちいい?クレア、ねえ、気持ちいいっ?」
「いいっ、気持ちいいですお姉さまあっ!!こんなの、もう…ひいっ!!」
そんな獣のようにまぐわる姉妹の姿を、そばで見つめる目があった。
大魔導師シーマがゆったりと籐椅子に腰掛けながら、頬杖をつき、酒杯を左手に回しな
がら、二つと得難いつがいのペットの交歓を満足げに見守っている。
全裸の姉妹は、しかし唯一、家畜であることのしるしにそれぞれ首輪をはめられていた。
痛々しい服従のあかしのはずの革の首輪も、しかし今は聖なる姉妹に人間であることを
捨てさせるための貴重なアリバイだった。
妹の乳首をそっとくわえてキュッとひっぱりあげ、口を離したとたん、クレアの乳房が
しなやかに弾みながら、キスマークにほんのりピンクに染まった乳輪を震わせる。その愛
らしさにゾクゾク刺激されたアンヌは再び、今度は反対側の乳房にも食らいついた。
クレアの甘い肌の味を味わい尽くそうとするかのように、実の妹の乳首を激しく吸う姉。
「とっても甘いわ、クレアってまるで砂糖でできてる天使みたい。ああ、こんなに固くな
って、おねだりしてるのね…」
「お姉さまぁ、…私もお姉さまのおっぱい吸いたいぃ…、ねえ、お姉さ、まぁぁ…!お願
いぃ…」
昼の顔しか知らない者なら想像もつかないほどの鼻にかかった甘え声で、クレアがアン
ヌに訴える。
「いいわ、さ、クレア…いっしょにね…」
そう言いながら、クレアの乳首から口を離さないまま身体を横に移動させ、アンヌは妹
の頭の方向からのしかかる体勢になった。そして自分の巨乳をクレアの顔の上で誘うよう
に揺らす。
瞳を潤ませながら、その先端の熟れた茱萸の実に唇を寄せる妹。そしてクレアが乳首を
口に含んだ瞬間、姉ははち切れそうなほどにたわわな二つのふくらみを、いきなり妹の顔
に押しつけた。重く柔軟な肉球に顔を埋ずめ、窒息しそうになって喘ぎながらも、クレア
は悦びの声をあげながらアンヌの乳房を味わうことを止めようとはしなかった。
2ヶ月前までは、このようなことになるとは王女姉妹自身も想像だにしてはいなかった。
光と影のような存在だった姉と妹。互いの心の中に許されざる想いが根を下ろしたのは
いったいいつのことだったのか、その自覚すら二人にはなかった。ただ、姉は妹のために
必死で戦い、妹は姉の献身を真摯に受け止めていた。
だが、その秘められた想いは予想もしない形で顕らかにされた。
姉将軍が命懸けで屠った邪竜の「飼い主」だった大魔導師シーマの手によって、王女姉
妹はこの地下迷宮に連れ去られてしまった。身に一糸も纏うことも許されず、全裸のまま
で地下牢に飼われる美しい家畜に堕とされてしまった姉妹は、しかしその中で互いの真の
心を見たのだった。
血の繋がった実の姉妹。
王国を統べる高貴なる血筋。
だが、許されざる禁忌にもかかわらず、抑えられていた想いは、妹にも、姉にも、否定
することはできなかった。
監禁飼育された牢獄の中、姉妹は究極の自由を得て、心のままに愛しあった。それは痛
々しくも、美しい愛のかたちだった。
そして、聖なる王女姉妹は、自ら魔導師シーマの愛玩動物であり続けることを願った。
寛容な飼い主の庇護のもと、こうして夜だけの間、神の戒律も人倫の制約も、王家の矜持
も全てを忘れ、こうして姉妹は二匹の雌となって愛しあうのだった。
永遠に等しい刻を生きてきたシーマにとって、クレアとアンヌはうたかたの慰みものに
過ぎない。そもそも、姉妹を拉致し辱めたのも、本気でペットの竜の敵討ちのつもりなど
ではなかった。この世で最も高貴な存在である王家の小娘を極限状態に突き落とし、その
仮面を剥いで醜悪な欲望の素顔を晒してやろう、という、気まぐれな加虐の遊びでしかな
かった。
だが、シーマ自身にとっても意外な結果が待っていた。確かに、この姉妹は隠された欲
望を秘めていた。それも実の姉妹同士という、どう見ても歪んだ禁断の欲望に身を焦がし
ていた。なのに、この姉妹が愛しあう姿は、あまりにも美しかったのだ。よこしまな欲望
に満ちた肉の交わりなのに、クレアとアンヌが獣に身を堕としてまでも愛しあう姿は、逆
説的に究極の愛の姿に見えたのだった。
シーマは、二人の飼い主であり続けることを了解したばかりでなく、アーヴェンデール
の政務に参与することまで引き受けた。世の俗事に関わるなどとうに忘れていたはずなの
に、それでもなお王女姉妹の嘆願を容れたのは、シーマ自身もただの暇つぶしだとしか考
えていない。
だが…。
シーマが何かを考え出したその頃、王女姉妹はさらに身体を重ね合い、互いの秘所に顔
を埋めて同時口唇愛撫の悦楽に浸っていた。
「クレア、こんなに溢れて…ああ、甘いわ、クレアの蜜、美味しい…」
ねっとりと湧く妹の愛蜜を、アンヌは蝶のようにちゅうちゅうと吸いながら、指で秘奥
をかき回した。
「お姉さま、もっと吸ってぇ、お姉さまを想ってこんなにはしたなくなってるクレアを虐
めてえっ!」
そう叫ぶクレアも、顔の上で止めどなく淫液を滴らせる姉の秘苑に舌を這わせ、両腕を
桃尻に回して必死に抱き寄せる。
「いっしょに、いっしょに堕ちましょうクレアっ!ずっとクレアといっしょだからっ!!」
「お姉さま、私から離れないで、ずっと、ずっとそばにいて、私を愛してっ!!」
聖姉妹はまもなく、その誓いの言葉に魂の悦びを添えて、同時に絶頂に達した。
その姿に、シーマは改めて、自分がはるか時間の彼方に捨て去ってしまった何かを思い
出そうとしていた。懐かしい、不思議な感覚が、この幼い肉体に老成した精神を住まわせ
た大魔導師の中に蘇っていた。
「いいことを思いついたわっ!」
絶頂の後の心地よい余韻に浸りながら、荒い息を整えていた姉妹が、いきなりの言葉に
はっと身を起こした。
二人の飼い主が立ち上がり、顔じゅうに何やら一物を秘めたような笑顔をたたえながら、
汗と愛液にまみれたクレアとアンヌに近づいた。
「二人とも、結婚しちゃいなさいっ!」
予想だにしなかった意外な言葉に、王女姉妹はあっけにとられてシーマを見上げるばか
りだった。