アルセイク神伝


第二話その2.突然の襲撃

 「おい、なんだあの雲は?」
 男の指差した方向に、黒い雲が出現し、瞬く間に快晴だった首都上空を覆い尽くした。
そして暗黒に包まれた首都の各所から、おびただしい数の魔族が出現したのだった。
 至福の絶頂から恐怖の地獄に落とされた人々は、迫り来る魔族達に抵抗する手段すらな
いまま、蹂躙されていった。
 「これは一体・・・」
 突然の魔族達の襲撃に呆然とするカルロスとフィオーネ。
 「・・・ああ、みんなが・・・」
 「フィオーネ、君は僕が守る。決して僕のそばから離れないでっ。」
 「は、はい。」
 怯えるフィオーネの肩を抱き、なだめるカルロス。
 「うわっ!!」
 教会の周囲にいた人々の間から悲鳴が上がった。教会の前に突然、竜巻が発生したのだ。
竜巻は人々を巻き込み、テラスにいたカルロスとフィオーネに迫ってきた。
 「きゃああーっ!!へ、陛下ー!!」
 悲鳴と共にフィオーネの身体が宙に浮いた。
 「フィオーネー!!」
 猛烈な突風に負けまいと互いの手を必死に掴む2人。だがそんな抵抗も空しく、2人は
引き離され、激しい竜巻の中に巻き込まれて行った。
 「たすけてぇっ、へいかぁぁぁっー!!」
 「フィオーネー!!」
 2人の叫び声が激しい竜巻にかき消され、2人の意識は次第に薄れていった。
 
 「フィオーネ様、姫様!!」
 暗く閉ざされた意識の中、フィオーネの耳に自分を呼ぶ声が響き目を覚ました。
 「うーん・・・ここは・・・?」
 意識を失っていたフィオーネが目を覚ましたのは薄暗い牢獄の中だった。10m四方の
無機質な石壁に囲まれた牢獄の中に
30人程の若い女性が閉じ込められている。その女性達がフィオーネを取り囲むように集
まっていた。
 「気がつかれましたか、よかった・・・」
 傍にいた女性が安堵の溜息をついた。その女性はフィオーネの侍女であるエルダであっ
た。その傍らには同じく侍女のメリーがいた。
 エルダはフィオーネより5歳年上で、長年フィオーネに仕えて来た忠実なる侍女であっ
た。年配で才覚に恵まれたエルダは侍女達のリーダー的存在であり、フィオーネの高い信
頼を得ていた。一方、メリーはフィオーネより2つ年下で、今年侍女として採用されたば
かりの新参者であったが、フィオーネを想う気持ちは他の侍女達に負けないものがある。
 「エルダ、メリー・・・ここはどこなんです?私達は一体・・・」
 「信じられないかもしれませんが、どうやらアルセイクの神都らしいのです。私達は恐
ろしい魔族に拉致されてしまったのです。」
 「魔族ですって・・・」
 「ええ、あれを見てください。」
 侍女のエルダが指差した鉄格子の先には、異形の魔族達が槍を構えて監視していた。
 「あ、陛下は・・・カルロス王は何処にいるのですか!?」
 血相を変えたフィオーネはエルダ達に問い詰めた。だが2人とも無言のまま首を横に振
った。
 「申し訳ありません。私達も目が覚めたときは、すでにここに囚われていましたから国
王陛下が何処に居られるか皆目わかりません。」
 「そんな・・・ああ陛下、どうかご無事で・・・」
 涙に暮れるフィオーネを慰めるように声をかけるエルダ。
 「陛下はきっとご無事です。陛下が姫様を助けに来て下さいますでしょう。それまで、
お気をしっかりとお持ち下さい。」
 フィオーネの肩を撫でているエルダにメリーが心配げに声をかけてきた。
 「どうして若い女の人ばかりここに閉じ込めているのでしょうか・・・」
 「それは・・・姫様の手前、大きな声では言えないけど、おそらく・・・」
 エルダは神妙な面持ちで外の魔族をチラッと見た。女達を見る彼等の目は欲望によって
ギラギラと燃えている。彼等が女達に何を求めているか一目瞭然であった。
 「エルダさん、まさか・・・私達は・・・」
 「信じたくは無いけど、そのまさかよ。」
 メリーの顔から見る見るうちに血の気が引いて行った。自分達は魔族の餌食にされるの
だ、血に飢えた魔族の・・・
 「おい、フィオーネ姫を捕らえているのはここか。」
 不意に鉄格子の外から声が聞こえてきた。黒い服を着た不気味な風体の男が衛兵を伴っ
て現れたのだ。
 「あ、これはヒルカス様。こんなむさ苦しい所へわざわざお越し下さるとは。」
 男を見た監視役の魔族が慌てて頭を下げた。男はアルセイクを襲撃した張本人であるヒ
ルカスだ。
 「要らぬ世辞はいい。で、どいつがフィオーネだ?」
 「はあ、適当に若い女を連れてきたもんで誰がフィオーネか判らねぇんです。姫様がど
うのとか言っているので、この中にいるのは確かなんスが。」
 「手間をかけさせやがって、全員牢獄から出せ。」
 ヒルカスの命令に、監視役達は扉を空けて中の女達を外に出した。
 女達はフィオーネをかばう様にして固まっている。
 「お前達は、これから何をされるか大体察しはついてるだろう。欲の皮が張った魔族ど
もの餌食になりたくなかったらフィオーネを前に出せ。フィオーネを差し出した奴には褒
美として自由をくれてやる。さあ、早くしろ。」
 威圧的なヒルカスの声に身震いしている女達。だが、誰一人としてフィオーネをヒルカ
スに差し出そうとする者はいなかった。
 「強情な奴等だ。こうなったら1人ずつ拷問にかけて口を割らせてやろう。」
 ヒルカスがそう言った時である。
 「待ちなさい、私がフィオーネです!!」
 女達の中から凛とした声が響いた。そして女達を掻き分けるようにしてエルダが前に出
てきた。その頭にフィオーネが着けていた金の冠をかぶっている。
 「ほう、お前がフィオーネか。」
 「いかにも、フィル王国王妃、フィオーネ・ランスフィールドです。この私に何用です
か!?」
 「お前がフィオーネだと?フン。」
 ジロジロとエルダを見ながら、こわばった表情のエルダの頭に手を持っていくヒルカス。
 「確かにフィオーネの冠だな、この冠だけはな。」
 ハッとするエルダ。
 「ふざけた真似しやがって!!」
 ヒルカスは平手打ちでエルダの頬を殴った。
 「きゃっ!!」
 倒れたエルダを忌々しそうに見るヒルカス。
 「他の魔族どもをごまかせてもこの俺はごまかせんぞ。見せしめに、お前から先に魔族
の餌食にしてやる。」
 ヒルカスはエルダの髪の毛を鷲づかみにすると、監視役の魔族達の前に投げ出した。
 「遠慮はいらん、思う存分可愛がってやれ。」
 「へい!!」
 嬉々とした声を上げた魔族達は、猛り狂ったようにエルダに襲いかかった。
 「グハハーッ、覚悟しろぉー!!」
 エルダの両手足を押さえ込んだ魔族達は、着ている服をビリビリと破り、あっという間
にエルダを丸裸にした。
 「やめてっ、いや、きゃあー!!」
 「へへっ、なかなか大きなオッパイじゃねーか。」
 悲鳴を上げるエルダの両手を膝で押さえ込んだ魔族が、エルダの胸を力任せに揉んだ。
 「ひいっ。」
 逃げようと激しく抵抗するエルダ。しかし屈強な魔族に押さえつけられているため、逃
げ出す事は出来なかった。
 足を掴んでいる魔族はエルダの股を広げて股間の匂いを嗅いでいる。
 「ん〜、いいにおいがするぜ〜。ニセ者だなんて信じられねぇ。」
 股間を嗅いでいた魔族は、長い舌を出してふとももを舐め始めた。
 「あう、ひぃ・・・いや、いやあああ!!」
 「感じてるじゃねえか。もっと気持ち良くしてやるぜ。」
 長い舌は秘部の茂みを掻き分け、愛液が溢れてきた性器を弄った。ハアハアと荒い息を
立てて性器を舐めつづける魔族。
 「丁度いい具合に濡れてきたな。さあいくぜぇ!!」
 怒張したイチモツがエルダの中に挿入された。巨大な魔族のイチモツをねじ込まれたエ
ルダの全身に、激しい痛みが走った。
 「ひぃああっ、い、いたいいっ!!」
 「おお、そんなに気持ちいいかぁ〜。俺も気持ちいいぜ。」
 激しく腰を動かす魔族。エルダの全身が波打つように揺れた。
 「見ろよ感じまくってるぜ、ニセ姫様がよ〜!!」
 両手を膝で押さえていた魔族が、興奮の余り、大きくなったイチモツを手でしごき始め
た。
 「お、おいっ早くしろォ。俺もうガマンできねえ・・・もうだめだぁ〜うおお!!」
 しごいていたイチモツから大量の精液がエルダの顔にぶちまけられた。
 「うあああ・・・」
 すえた臭いのする精液にまみれ、哀れな声を出すエルダ。
 「オラオラッ、この程度で参ってんじゃねーよ。」
 魔族達は更にエルダを犯し続けた。
 「いやぁ、もうやめてぇ・・・たすけてええ!!」
 辺りにエルダの悲鳴が響いた。
 「メリー離してっ、エルダが、エルダが・・・」
 自分の身代わりになって魔族の餌食となったエルダを助けようと、女達の囲みから飛び
出そうとするフィオーネ。そのフィオーネをメリーが必死になって押さえていた。
 「いけません姫様っ、もうだめです、エルダさんの事は諦めてください。」
 魔族に犯されているエルダは、抵抗する気力さえ失って気絶していた。身体中を精液で
汚され、恥辱の限りを尽くされたエルダには、かつて美貌と才覚に恵まれた姿は無かった。
 身を呈してフィオーネを助けようとしたエルダの目論みは、邪悪なヒルカスの前に脆く
も潰え去った。
 「さあ、次に餌食になりたい奴は前に出て来い。」
 蹂躙されたエルダを前にして、恐怖のあまり声も出せなくなっている女達。
 「めんどうだ、これでも食らえ!!」
 ヒルカスの手から、固まっている女達に目掛けて雷撃が放たれた。
 「ぎゃああ!!」
 「あ、ひいいい!!」
 フィオーネを守っていた女達は雷撃を受けて次々に倒れて行った。そして女達の後ろに
隠れていたフィオーネとメリーが、ヒルカスの眼前に晒されてしまった。
 「見つけたぞ。お前がフィオーネだな!?」
 フィオーネを見たヒルカスは、本物である事を確信して歩み寄ってきた。
 「近寄らないでっ、姫様に無礼を働く事は許しません!!」 
 フィオーネを庇ってヒルカスの前に立ち塞がるメリー。
 「バカめが。」
 ヒルカスがそう言った瞬間、フィオーネとメリーの後ろから、巨大な触手が出現し、2
人に巻きついた。
 「きゃあ!?」
 「ひ、姫様!!」
 2人は逃げ出す事も出来ず、触手に持ち上げられた。
 「お前達2人は魔王ラス様の生贄となるのだ。光栄に思うがいい。」
 背を向けて歩き出すヒルカスの背後を、フィオーネとメリーを捕らえた触手がついて行
った。




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