魔戦姫伝説(アンジェラ・閃光の魔戦姫5)


  第11話 晒し者にされたアリエル
原作者えのきさん

 ガルアはアリエルを担ぐと、庭のほぼ中央、貴族達の視線が一番集まる場所に歩んで来
た。
 そこで、最も凶悪なるショーを演じようとしているのだった。
 そう・・・アリエルを、辱めるショーなのだ。
 ガラシャに痛めつけられ、ガルアの強烈な蹴りを食らっているアリエルは、まともに身
体を動かせないほど弱っている。
 「ううう・・・離しなさいっ、はなしてっ、このっ・・・」
力なくガルアを叩くが、然したる抵抗にもならない。庭の中央の芝生に投げ出されたアリ
エルに、ガルアの手下達が群がって来る。
 全員手に縄を持っており、それでアリエルの手足首を縛った。
 「おらっ、大人しくしなっ。」
 声を荒げる手下達は、縄の一方を杭に縛りつけ、その杭を地面に打ち付けた。
 強引に引っ張られたアリエルの手足は大きく広げられ、アリエルは大の字状態で地面に
拘束される。
 ダメージの大きいアリエルは戒めから逃れられず、身動きできないまま晒し者にされて
しまった。
 「なによこんな縄・・・むうっ、くっ!!」
 いくら引っ張っても縄を切る事はできない。今やまな板の上の鯉であった・・・
 アリエルを動けなくしたガルアは、貴族達に向き直って口上を述べた。
 「レディース、アンド、ジェントルメ〜ンッ。これより敗国の将アリエル姫の陵辱ショ
ーを御見せ致しましょう〜。どなた様も心行くまでじっくりと御覧くださいっ。」
 その声に、貴族一同は大きな拍手と歓声をあげた。
 ガルアは上半身の服を脱ぎ、刀傷の跡も厳つい屈強な肉体を披露する。
 余裕のガルアは、義手につけられた鉄の爪をヤスリで磨ぎながら、アリエルの顔を足で
グリグリ踏みつけた。
 「ククク・・・どうだ、敗北者の気分ってのはよお〜。俺はてめえみたいな小娘に負け
て悔しかったぜ・・・腕を切られて痛かったぜ・・・この悔しさが判るか?どれだけ痛て
ぇか判るか?ええっ、判るかって聞いてンだよっ!!」
 踏み付ける足に力が篭り、アリエルの美しい顔が地面に押し付けられる。
 アリエルは恐怖を跳ね除け、ガルアを睨んだ。
 「・・・判りたくもないわ・・・私を殺したいのでしょう?憎い私を殺して気が晴れる
なら・・・さっさと私を殺しなさいっ!!」
 しかし、そんなアリエルの虚勢をガルアは一笑する。
 「フッ、てめえは殺すくらいじゃ気は晴れねえ・・・てめえに切り落とされた腕が泣く
んだよお〜、アリエルをズタズタにしてくれってよおお〜っ。骨の髄までしゃぶり尽くし
て、地獄の底で永遠にのた打ち回らせてやるぜっ!!」
 鉄の爪が一閃し、アリエルの戦装束を切り裂いたっ。
 胸部を守る装甲が飛ばされ、その下からおわんを伏せたような形の良い乳房が露になっ
た。
 大き過ぎず小さ過ぎず、そして絹の様に艶やかな白い乳房・・・まさに女神の乳房と呼
ぶに相応しいものだった・・・
 その乳房に貴族達の嬉々たる視線が集中し、アリエルは思わず目をつぶった。
 「くっ・・・こんなことで・・・」
 辱めの悔し涙が頬を伝う。しかし、悔しいなどと言う感情すら消し飛ぶ責めが待ってい
るのだ・・・
 アリエルの服を引き裂いて弄ぶガルアの後ろから、ガラシャが歩み寄って来た。
 「ねえガルア。私もこいつに借りがあるのよ、あんた1人だけで愉しもうなんてずるい
じゃない。」
 その声に、ガルアは鉄の爪を外してガラシャに渡した。
 「おお、そーだったな。壊さねえ程度に遊んでやれや。」
 鉄の爪を受け取ったガラシャは、鋭く磨がれた刃をアリエルの顔に突き付ける。
 「私とガルアはねぇ、あんたのせいでとことん悲惨な目にあったのさ。あんたが勝者と
してふんぞり返っている間、ノクターンの連中にチヤホヤされてる間、地下室で毎日毎日・
・・ドブネズミみたいにゴミを漁って過ごしてきたのよ・・・そしてあんたのカワイイお
顔を切り刻んでやる夢を毎日見てたのさ・・・私もガルアも・・・クックック・・・」
 鋭利な刃が白く美しい乳房の上をツツーと走る。首筋に赤い線を走らせ、そして恐怖に
怯えるアリエルの顔にまで移動した。
 「は、ああ・・・やめて・・・ああ・・・」
 小さくて可憐な唇がプルプル震えている。その口に、刃が入れられる。
 「あふあ・・・はひ・・・ひいっ!?」
 「んん〜、恐いの?そうでしょう?これから顔を切り刻まれるのは恐いわよねぇ〜♪こ
のカワイイ口を耳まで切り裂いて、鼻と耳を切り落として目を抉って・・・でもって顔中
の皮を残らず剥いで・・・そうそう、目を抉るのは最後にするわ。ズタズタになったあん
たの顔を鑑で見せてから抉り取ってあ・げ・る♪」
 サディスティックに呟き、顔を押さえつけて鼻の下に刃を押しつけた。
 「さあ、お鼻とお別れよアリエルちゃん・・・」
 「い、いやっ!!やめてーっ!!」
 本当に鼻を切り落とさんばかりのガラシャをガルアが止めた。
 「おい、いい加減にしろ。帝様は簡単に壊すなって言ってただろーが。」
 「チッ、うっさいわね、わかってるわよ。」
 鬱陶しそうにボヤいたガラシャが鉄の爪を離した。顔を切られそうになっていたアリエ
ルは冷や汗を流してため息をついた。
 「は、はあ・・・た、たすかった・・・はうっ!?」
 助かったと思ったのは一瞬だった。憎々しげにガラシャはアリエルの腹を蹴り飛ばす。
 「何勘違いしてンのさ、あんたの顔を刻むのは最後に取っておくだけなのよっ。」
 ガラシャにもガルアにも、アリエルに容赦する気など一切ない。徹底的に辱め、苦しめ、
絶望のドン底に叩き落すつもりなのだ。
 それも時間をかけてじっくりと・・・それはグリードル帝の願望でもあった。
 
 アリエルを弄んでいるガルア達を、残忍な暴君はニヤニヤと見ている。
 「フフフ・・・戦女神などど言われているが、所詮は小娘だな。カワイイ声で泣いてる
じゃねえか、ええアルタクスよお〜。」
 拘束されて動けないアルタクスを踏み躙り、グリードルは下品に笑う。
蔑まれるアルタクスは、凄まじい怒りを目に宿し、卑劣なグリードルを睨んでいる。それ
を疎ましく思ったグリードルは、召使いにアルタクスの猿轡を外させた。
 口が自由になったアルタクスは、口に溜まった唾を吐き出し、声の限りに叫んだ。
「この腐れ外道めっ!!苦しめたいのは私だけだろうがっ、娘を・・・アリエルを辱める
のはやめろーっ!!」
 絶叫するアルタクスを見て、グリードルはゲラゲラと嘲笑った。
 「ギャ〜ハッハ!!お前も人の親ってわけか〜、娘の事になると目の色変えやがる。リ
スカーのアホと同類だぜ、ギャハハ♪」
友への侮辱に激怒したアルタクスが、怒りを込めて口を開く。
 「貴様にはわかるまい・・・親子の愛情など知らぬ貴様には・・・わが娘、アリエルの
苦しみを背負えるなら、私は地獄に落ちてもいいっ!!アリエルの変わりに、この私を痛
めつけろっ、私を八つ裂きにしろっ!!」
 娘を庇う父親の叫びに、嘲笑っていたグリードルは残忍な表情を浮べてアルタクスを殴
りつけた。
 「ああ〜ン?てめえみたいなむさ苦しい野郎を嬲って何が面白いンだよお〜、嬲るなら
若い女に限るだろうがぁ〜。それに親子の愛情なんぞ知った事か、俺は怠け者のクソ親父
と能無しのアホ兄弟どもを屋敷から叩き出して全財産を奪った成り上がり者よ〜。ついで
に淫乱女だったお袋と、腹違いの妹どもも嬲ってやった・・・最高だったぜ、近親相姦っ
てのはよおお〜。お前もアリエルとヤリたいんじゃねえのか?いいぜ、ここでノクターン
一族の父娘淫乱ショーを眺めてやるさ、ワ〜ッハッハッハ!!」
「き、きさま・・・貴様は人間じゃないっ!!この人の皮を被った鬼めーっ!!」
 血を分けた肉親をも餌食にする狂気の男グリードル・・・
 もはやこの男に告げる言葉などなかった・・・この最悪の暴君は・・・産まれながらの
悪魔だったのだ!!
 その悪魔は、邪悪にもアルタクスの髪を鷲掴みにし、ガルア達に嬲られんとするアリエ
ルの悲惨な姿を見させた。
 「ほーれ、良く見ろ。お前の可愛いアリエルが淫乱なメス犬に成果てるさまをなあ。」
 「うう・・・アリエル・・・」
 もはやアルタクスにアリエルを救う術はない。絶望と悲しみだけがアルタクスにもたら
されていた。


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