魔戦姫伝説異聞〜白兎之章〜
白い少女 第3話 パート2
Simon
理由はない
強いてあげるなら、見開かれた瞳があまりにも綺麗だったから
力を込めれば簡単に突き破ってしまえそうで
なのにそれをためらわせる、微妙な弾力
――くりゅっ……くちゅ……
「…………!! ……!!!」
滑らかな感触を楽しむように、舌先を滑らせる
声にならない悲鳴が、少女の喉を振るわせる
思い立って、ヴィンは喉にいっぱいにためた唾液を、舌を伝わせて少女の瞳に垂
らしこんだ
――グチュ……チュ…………ドロリ…
見えなくても、感覚で分かったのだろう
少女の目から涙が溢れ出した
穢れを祓う聖水のように
嬉々としてすすりこむと
――甘い!?
錯覚なのか、本当に甘いのか
もはやどうでもいいことだった
今まで味わったことのない甘露に、脳髄がとろけていく
ヴィンはただひたすら、心ゆくまで少女の瞳を汚し続けた
「……っ!」
――カクンッ
突然少女の身体から力が抜けた
呼吸器系がパニックを起こしていたのだろう
うずくまってふるえながら、浅い呼吸を繰り返す
ふわふわのプラチナブロンドから覗く細い首筋と華奢な肩
――負け犬が勝者に成り上がるために必要なのは、力でも知略
でもないのよ
息苦しいほどの濃密な空気
額を拭うその腕もまた脂汗に塗れ
どくどくと心臓が早鐘を打つ
――必要なのはただひとつ
まとわりつく温い風が耳元で囁く
――あなたに蹂躙され
――嬲られ
――貪られる為の え、も、の、よ
――俺が、この化け物を……?
――ちがうわ かわいいウサギちゃんよ
――できるのだろうか
――簡単よ
――もしこの弱さが擬態なら……コイツの肩に手を置いた途端に、腕を食いちぎ
られるかも
無意識煮に右手が腰の後ろを探る
指先に触れる鞣革の感触
――これが俺の牙
血錆の微かに浮いた、両刃のナイ……
――だめよヴィン
――クスクスクス
――とんだ臆病者
「ぅ……ウルセェッ! お、俺はコイツを狩るんだぁ!」
絶叫とともに抜き放たれたナイフが鈍く光る
――あらあら、大変
――もう、壊れかけてるじゃない
――大丈夫よ ほら
バンッ!!!
「ヴィン! てめえ何してやがる!!!」
ラムズを先頭に、6人の男たちが入ってきたのは
まさにそのときだった
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