魔戦姫伝説異聞〜白兎之章〜
白い少女 第37話
Simon
すべてがドロドロ
何回も気絶して――その都度、あまりの痒さに気がついた
喉が嗄れるまで叫んだ――涙は止まらなかった
痒すぎて何も分からなくなって――ピクリとも動けなくなると、男たちはほんの
少しだけあたしの足や脇を掻いた
一瞬の凪――その直後の嵐
あたしは、自分が死んだと思った
――…………
不思議――こうして考えるあたしがいる
あたし、まだ生きているの?
目の前を、何かがヒラヒラと横切る
――うるさい
でも払いのけられない――手が動かない
――ピク……
あ、手がある――でもなんにもうごかない……
「――まだ反応するぜ」
目の前に翳された手に、リンスの瞼が微かに動く
表情の消えた白い顔は、髪の先までぐっしょりと濡れていた
寝着も身体も――よく見れば、リンスの周りには、大きな水溜りができている
血も泥も山芋の汁も、粗方汗で洗い流されたようだ
「凄かったな――あんなに反り返っちゃって」
「俺、絶対途中で死ぬと思ったもんな」
発狂した時点で――それ以上の山芋責めは無意味だから――水をかけてやろうと
思ったのだが、結局少女は最後まで正気を保っていた
なんとなく、負けたような気がする
マスクの蓋を取り、甘くした乳を少しずつ流し込んでやる
少女に多少の敬意を表して――少しは体力を回復させてからでないと、これ以上
責められないというのもあるが、今は水責めをする気にはなれなかった
気がつけば――ラムズは少女の頭を少し擡げさせて、飲みやすいように支えてや
っていた
男たちも汗を拭いてやったり、ガチガチに強張った腕や脚を揉んでやっている
未だにリンスは縛られたままだし、さっきまでの責めの気配も色濃く残っている
のに、妙に場が和んでいるような気がする
「へへへ、やるじゃねぇか、お前よ」
つまりは、そういうことなのかもしれない
少しは気力も回復したのか、少女が不思議そうな目で見上げてくる
あどけない顔立ち――大きすぎるマスクも、無残さよりも愛嬌があるように見え
てくる
「俺たちも商売だからよ――調教はするけど、あんまり無茶はしないようにする
からな」
――お嬢ちゃんも頑張れよ
――それじゃあ、困るのよ
冷たい湿った風が吹いた――
和んでいた空気は吹き払われ、瘴気が立ち込める
――あんたなんか、グチャグチャにされちゃえばいいのよ
――あぁ、そうだよ――考えてみりゃあ、こいつ、ぶっ壊すつもりだったんだよ
な
「ラムズさん――もういいでしょう? オママゴトは終わりってことで――」
さっきのタライ――山芋はまだたっぷり残っている
「大丈夫! リンスちゃんなら、頑張れるさ」
「もう、こいつも邪魔だよなぁ!」
――ビビッ――ビイイィーーーッ!
「――んんっ!?――がぁぁ!」
汗で濡れた寝着を引き裂くと、まだ殆ど女を感じさせない裸身が露になる
「引きずり出してやるよ――てめぇの中の『牝』をよ!」
「――んごご!――ぶごぉぉぉ!!」
――狂っちゃいなさい!! 牝豚ちゃん!
――きゃははははは!!!
「――んぁ!……がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
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