荒ぶる欲望の果てに

第12話: 神光寺雅
鼠とミルは脱衣所をでると姫を捜し始めた
「どこに連れ込んだ?・・・」
鼠は辺りをきょろきょろと見回す
「この奥が・・姫様の寝室のはず・・」
ミルは服だけはつけて、鼠のあとに続いている。
姫の寝室を指し示す。
近づいてみるが、ドアは鍵がかかっているようだ。
「さっきまでは鍵などかけていないはず・・・」
ミルが不安そうに鼠の腕をつかみ、寄り添う。
鼠はミルの体温と鼓動を感じてどきっとする。
「鍵ならあります・・・」
ミルは胸元から鍵の束を取り出し、鼠に見せた。

「よし・・鍵をよこしな、鍵を開けたら俺が踏み込んで姫様を助け出せばいいんだな」
だが、大事そうに握ってはなさない。
「なんだ?」
ミルは唇に指を立てて鼠を黙らせた。
「あなた様が踏みいったとしても、姫様を簡単に手放すとは思えません。あの男の姫様へのこだわりは並大抵ではないと思われます」
「よくしってるじゃねえか・・・」
鼠はミルのかしこさに舌を巻いた。一体なにをさせようというのか
「ここは・・・」
そういって・・鼠の耳に策をつげていく。それは鼠をうならせる名案であった
「わかった・・・俺の名演技に期待しておけ・・」
鼠は大きくうなずいて扉の前に立った

そのころ俺は見事に取り乱していた。
姫様の中に入り込みそのきつい感触に興奮しているうちに、偉いことになっていたのだ。
姫様の・・あそこからの出血があまりにも多くて。
シーツが真っ赤になるほどだった。
おれはうろたえてしまい、どうしたらよいか分らなくなっていたのだ。

何度か女を抱いたもののこんなことは初めてだった。

むろん、姫が生理の真っ最中だなどと思うはずもなく。
恥ずかしながら・・そういう知識はからっきしだったのだ。

姫は気を失ったまま・・俺はおろおろとうろたえるだけという時間が続いていた

「おい中にいるんだろ!!やばいことになったぞ!!」
外から鼠の声が聞こえてくる。聞くのもいやなだみ声だったが。
今は手助けが必要だった。あわてて着る物をなおしてドアをふさぐ物を片づけ始める。
もう一度ベッドの上の姫を見つめる。
気を失ったままで身動き一つしない。
「まさか死んだわけじゃないよな・・・」
もちろん姫をおいて逃げるのはためらったが

「はやくしろ!城の兵隊が屋敷を取り囲んでる!すぐにでも入ってくるぞ!!さっさとでてこい!!」
俺はその言葉にぞっとした!!今はもう逃げるしかないのだ。
「あばよ・・」
姫の体に乱暴にシーツを掛けると。
・・部屋の鍵を開け飛び出した。
部屋の中には鼠だけだ。鼠もあの侍女をおいてきたようだ。
「はやくしろ!すぐにでも入ってくるぞ!!」
鼠がせかせる。
「どこに逃げるんだ!!とりかこまれてるんだろ?」
俺はまっさおになって・・鼠をいつめた・
「心配するな・・・抜け道があるんだと・・・ぬかりないさ」

入ったときには気づかなかったが、四隅の三面がドアに面した部屋の家具の後ろに、
これもまた隠し戸がぽっかりと空いていた。
廊下からの入り口、滝のある池に入る入り口、そして隠し戸になった姫様の寝室への入り口。
これだけ秘密だらけの部屋ならばそれもあり得る。なんといっても・・姫の居室への入り口なのだから。こんな絡繰りがあっても不思議はないと思わせた。
「なにをぼーっとしてるんだ・・・いくぞ」
鼠はいつの間にか灯りまで持っているなるほど、地下の通路に違いないと思わせられた。
鼠の先導で中に入っていく。
中は真っ暗で下に降りる階段がある。
俺と鼠はゆっくりと入っていった。

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