荒ぶる欲望の果てに

第六話: 神光寺雅
ドアがあった。さっきの部屋はどうやら更衣室のようだ。
ぎい・・・
中を覗き込む。中にはセレナがいるはずだ。俺はできるだけ音を立てないようにドアを開けた。
水の音がはげしくなる。鼠の言ったとおりそこは泉のようだ。思ったより広い。

周りは切り立った崖で天然の要塞のようだ。外からではここに泉があることなど誰も知らないだろう。
俺は辺りをうかがう。切り立った崖はかなり高く、空はわずかに見えるだけ。
奥に滝がある。はげしい水音はこの滝の音だったのだ。
滝の中に人影が見える、・・・・・裸の女が二人で滝に打たれている。
一人はあの・・メイド・そしてもう一人は金髪の流れるような髪。白い肌。
間違いない。セレナだ。
二人は禊ぎに集中しているのだろう。俺が入り込んだことなど気が付かない。
あのメイドも、入り口を施錠して安心しているのだろう。当たりに注意を払ってはいない。
どんな大事な儀式だと言うんだ?

俺は気づかれないように岩陰を伝って接近する。
俺の心臓は高鳴り、一気に襲いかかりたい欲望にかられる。
姫が一人ならそうしていただろう。
だが山小屋での失態が忘れられない。
まさかと思った小娘に、痛手をくったのだから。
しかもその小娘も一緒だ。用心に越したことはない。
息を凝らして滝に近ずく、そこにはもう滝のしぶきがかかっている。
岩がせり出していて俺はうまく身を隠せた。ここなら気づかれることもない
俺はいらだちを押さえることができなくなっていた。
裸になり。さっきの部屋から持ってきた縄を握りしめると、一気に女達の前に出た。
「きゃあ!」
「お前さっきの!どうやって・・・・」
目の前に裸の男が突然現れたのだ。二人ともビックリして身動きできない。

まずはじゃまなミルを縛り上げて。大人しくさせる。
姫は縛る必要もない、身体をか細い手で覆い、身動き一つできない。
二人とも布でくちをふさぎ、大人しくさせた。
あっというまだ。
あのメイドもさすがに裸では抵抗もできなかったのだ。
俺は二人をかつぎ上げて泉から出た。

「ああやってるやってる!もうつかまえたのか!」
俺が出口までやってくると、まるで待っていたかのように
調子よく鼠が入って来た。俺の苦労など知らずに。
「よっしゃよっしゃかわいがってやるからな!」
ミルを受け取ると、更衣室に連れ込み押し倒した。
「けっ!調子のいい野郎だ」
確かにここまでは随分役に立ってくれたが。
姫の下着までやることはなかった。鼠の顔を見るだけで不愉快になった。

俺は姫を抱えたまま鍵のかかった部屋に戻った。
これからが俺の時間だ。

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