クレール光の伝説(第2話)1
クレールが北の森に着いたころ、すでに日は落ち、あたりは真っ暗になっていた。
「この森は何度となく調べたんだけどな」
クレールは独り言のように呟きながらも、意を決して森の中に入った。
何百年と茂った樹木は月の光さえ遮って、真っ暗闇である。唯一たいまつだけを頼りに、クレールは森の奥へと入っていった。
「!あれは!」
幾度となく、木々の根に足を取られそうになりながら進んでいくと、やがてぼうっとあやしげな青白い光が目に入った。近づくと、その明かりはますます強くなっていく。
「・・・もしかして」
クレールは、たいまつを消して、足音を忍ばせてその光に近づいていく。
そこは森の中心部、小高い山がある。それは昼間何度となくここを探索したクレールが一番良く知っていた。しかし、うっそうと茂った木々に遮られ、洞穴の一つさえ発見できなかったハズなのだが。
と、その時。
「ひいいい・・!お、おたすけ下さい!」
「ケケケケ・・!ニゲルンジャネエ!」
「オレタチニ、ヤットマワッテキタオコボレダ!ニガスモンカ!」
「ひいっ!」
突然、光の中から一人の女が飛び出してきた。さらにソレを追いかける妙に小さな子鬼のようなものが2匹。やがてやたらにすばしこい子鬼に、女は苦もなく取り押さえられ、かつぎ上げられてどこかへ運ばれていく。
クレールは思わず飛び出して女を助けようとするが、思いとどまった。
「つけてみよう・・・」
なにか中の情報が掴めるかもしれない。そう考えたクレールは子鬼達の後をつけることにした。
時を置かず、子鬼達の目的地は発見された。かっては狩猟小屋にでも使われたものだろう、茂った木々に覆われ、朽ち果てたその小屋に子鬼達は女をかつぎ込んでいた。クレールは音を忍ばせて近づくと、中をのぞき込んだ。
「ひいいい!やめて!やめてください!」
「ウルセエ!オトナシクシロ!」
「ヒヒヒ!ニンゲンノオトコヨリキモチヨクシテヤル!」
中にかつぎ込まれた女達は、子鬼達二人がかりで押さえ込まれ、スカートをめくり上げられ、脚を大きく開かれていた。その股間では子鬼がうれしそうに腰を振っている。もう一人の子鬼は胸をはだけて乳房を揉み、自分のものをくわえさせていた。
「たああっ!」
クレールが剣を振るった。子鬼達は女たちとの行為に夢中になるあまり、続々クレールの手に掛かって絶命した。
「・・・あああひ、姫様・・・」
女はクレールに抱き上げられると、驚いたようにクレールの顔を見上げた。クレールは乱れた着衣をなおしてやる。フローラの侍女の一人のようだ、顔を躯もまだ幼く、まだ13〜4のようだ。
「どうしたというんだ!みんなは!姉様はどこに?」
「わ、わかりません・・・。とにかく、鬼のような化け物にみんな姫様も連れ去られて、私は他の侍女達と一緒に牢屋へ入れられていたのでなにも・・・」
「そうか!みんなあの洞窟の中なのだな?」
少女はこくりと頷くだけだった。