廃墟の奴隷市(第5話)
目の前でまた競りが始まった。今まで落とせなかった男達が躍起になって声を張り上げる。 だが、どうあがいても、バレリーナの人数は決まっている。 落とせない男達がほとんどなのだ。 おやじも新しい娘に一瞬気を取られたが、ふたたび望に手をはわせて行く。 「ほんとにほそいよな・・。胸なんか無いじゃないか・・。ま、それがいいんだが・・。 こっちはどうかな・・・」 「・・ううっ・・・」 望は身をよじっておやじの手から逃れようとする。 だが、がっちりと掴まれ、身動きできない。 汗にまみれた手がチュチュの上から、そしてタイツの上から這い回る。 そのたび、望はおぞましい触感に身悶える。 「・・あ・・いや・・・・」 望の目が異物を捕らえた。大きく開いたおやじの脚。着物がはだけ、そこからは おやじの醜い肉の欲望が鎌首をもたげていた。 浅黒く、女の淫汁でただれた 初めて見る男の性器だ、それも、どこの誰ともしれぬ醜いおやじのものだ。 望はその姿にぶるぶると震えだした。 「・・・へへへ・・・どうだい俺様の息子は。 今晩こいつでお前を一晩中かわいがってやるからな・・」 おやじはひひひと、いやらしい笑い声をあげると。自分の肉棒をチュチュのスカートにこ すりつける。 半透明の生地にすっぽりと包んで、しごき始めた。 「こいつはいいぜ・・。なかなかに気持ちがいい。まずはこいつで抜いておくのもいいか もな」 「いやっ・・・」 望は自分の身体どころか、その着衣までもが男の性欲の対象になると知って震え上がった。 すべての競りが終わった。 望はおやじに連れられて専用にあてがわれた部屋へと向かった。 そこで何が行われるのか言うまでもないのだが。 へやは、客室の中でも高級な部屋のようだった。 廃墟のなかにあってもそこそこの作りである。あるいはここだけ改造されたのだろうか。 趣味の悪い赤い布団が目に付いた。 部屋にはいると、おやじが後ろ手で鍵を閉める。望に逃げ道はなくなった。 望はなすすべなく部屋の中を見つめた。 「あ・・・」 そこに見慣れたバッグを見付けた。それは舞台に行くとき持っていたバック。 そしてその中に入っているはずの着替えは、すべて布団の上に広げられていた。 望が攫われてきてまもなく、バレリーナ達の持ち物は先に競りにかけられた。 そして望のバッグもまたこのおやじに競り落とされていたのだ。 「いやっ!いや・・きゃあああ・・・」 着替えた着衣を覗かれた恥ずかしさに、望は悲鳴を上げ、バッグの中にしまおうとして びっくりした。 ブラジャー、パンテイ、そして練習の汗を吸ったレオタード、そして一番恥ずかしい プテッテイにまで。歪んだ欲望が放たれていたのだ。 いずれもが黄色い染みが付き、異臭を放っていた。 「ふふふ・・・まちどうしくてついせんずりをこいちまった。 お前の着てたものはいい匂いがしたぜ」 その声に望が振り返った。 おやじは、着物を脱いで素っ裸になっていた。 醜い中年腹と、年甲斐もなく膨らんだ肉棒が望の目に入ってきた。 「いやっ!いやあああ・・・・」 舞台の暗い中とは違う、その醜悪な姿は隠すことなく目の前にあった。 おやじが迫ってくる。望は、布団に脚をとられて転んだ。 クラシックチュチュのスカートが捲りあがり。食い込んだレオタードが目に入ってきた。 おやじの悪戯で更に食い込まされたレオタードからは、プテッテイが覗いている。 ああ・・いやいやあ・・・。