*A week・第3日目(6)

T.MIYAKAWA


 スカーレットの唇は王子の口の中の物が飲み込まれたと共に離れた。
 唇と共に押さえていた両手も離れた事により、王子の顔は解放された。
 王子はスカーレットをベッドから追い出そうと両手を動かそうとした時だった。
 王子の両腕はスカーレットの両胸に触れたところで、突如両手に力が入らなくなって
しまった。
 その為、王子はスカーレットの胸の中で手を動かす事しかできなかった。

「ねぇ、いつまで触っているの?」
 スカーレットのこの一言を聞いて、王子は両手の動きを止めた。
 王子はスカーレットをベッドから追い出すことを忘れて、いつの間にか彼女の胸を
触るのに夢中になっているのに気付いた。
「別にいいわよ。
 私のオッパイ、よほど気に入ってくれてるんでしょ?」
 スカーレットの言葉に王子は何も言えないでいた。
「昨日、天海のもそうやって触ってたんでしょ。」
「!?」
 この言葉を聞いて王子は驚いた。
 昨日の天海とのやり取りをスカーレットが知っていたというのだ。

「どうして、知っているの?」
「天海がね、私に教えてくれたのよ。」
 恐る恐る尋ねる王子に、スカーレットはこう答えた。
 それを聞いて、王子は自分のこれまでの行為が筒抜けにされている事を知って動揺を
隠せないでいた。
「彼女、喜んで話していたよ。
 お風呂の時体を上手に洗ってくれたんでしょ?
 君の体を洗う時はすっごく照れてたんでしょ?」
 王子が驚いているにも構わず、スカーレットは話を続けた。

「王子様、別に恥ずかしがる事はないんじゃないかな?
 君も楽しめばいいんじゃないのかな。」
「……。」
 スカーレットはこの言葉を聞いて、王子は思わず顔を背けた。
「こういう時は君も一緒に楽しまなきゃ損しちゃうよ。」
 スカーレットのこの言葉を聞いて、王子はしばらく黙り込んだ。
 スカーレットの「一緒に楽しむ」という言葉を考えていたからだ。



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