魔戦姫伝説(アンジェラ・閃光の魔戦姫6)


  第13話 マリエル王子を狙う侵略者の追手
原作者えのきさん

 
 囚われとなったアリエル姫は、卑劣な策略により宿敵ガルアとガラシャに敗北を喫し、
そして父アルタクスの眼前で辱められた・・・
 だが、これで終わった訳ではなかった。
 邪悪な暴君グリードルは、さらなる陵辱と拷問でアリエルを堕とそうと、狂気の手段を
画策していた・・・
 同じ頃、侵略されたノクターン王国でもガルダーン軍の執拗な略奪が横行していた。
 金品も物資も、そして人ですらも・・・あらゆるものが奪われ、壊されてゆく。
 それは逃亡中のノクターン王国王位継承者マリエル王子にも及ぼうとしている・・・


 壊滅したノクターンの首都フォルテでは、ガルダーン軍兵士が餓鬼の大群のように大規
模な破壊と略奪を行っている。
 グリードル帝の政により、弱肉強食と修羅の地獄になっているガルダーンでは、その兵
士もまた、ならず者などの悪党で占められており、彼等にとって敗戦国ノクターンは巨大
な獲物以外何者でもなかった。
 強さのみを重んじるガルダーンゆえの成り行きであろう、敗者に対する扱いも卑劣にし
て非情極まりない。
 その兵士どもに食い荒らされた首都は、美しく誇り高かった様相が見る影もなくなって
いた。
 その中で一際騒々しく建物を物色している兵達があった。それはゲバルド将軍率いる一
個師団であった。
 彼等はグリードルの勅命を受けてマリエル王子の身柄を捜索していた。
 フォルテ城の中は元より、街の家々も破壊してマリエルの行方を探していたが、その行
方は掴めなかった。
 指揮官であるゲバルド将軍は、酷く苛立った様子で手下に怒声を浴びせている。
 「いないですむかアホどもめっ!!フォルテは完全に包囲してるンだっ、小僧1人が逃
げられる筈はねえ・・・さがせーっ!!草の根分けても探し出せ〜っ!!」
 そんなゲバルドに、手下の1人が声をかける。
 「恐れながら将軍、これだけ探してもいないと言う事は、先にレッカード将軍の攻撃が
あった時に、マリエル王子は配下の手引きで脱出したんじゃねえですか?」
 その言葉にゲバルドは考え込む。
 「う〜ん、確かにそーかもしれねえ・・・レッカードのマヌケがドジったとなりゃあ、
マリエルはとっくの昔にトンズラしてるって事だよな、うん。」
 1人納得して頷くゲバルドを見て、呆れた顔で囁きあう手下達。
 「そーゆー事は無駄骨折る前に気がつけよな。」
 「まったく。うちの大将、強気なのはいいけど、どっか抜けてるンだよね〜。」
 手下の小声を耳にしてジロリと睨むゲバルド。
 「あン?なんか言ったか?」
 「い、いいえ。なーんにも。」
 そして踵を返したゲバルドは、捕えたノクターン兵やフォルテ城の使用人達を連れてこ
させ、マリエルの行方を尋問し始めた。
 「おうっ、テメエら。大人しくマリエルがどこに逃げたか言いな。とぼけやがったら只
じゃすまねえぞコラッ。」
 自慢の槍を突き付け大声で喚く敵の大将に、ノクターン兵も使用人も顔を背ける。
 「・・・誰が言うか、ド外道めっ!!」
 悪態をついた兵の1人が、ゲバルドの顔に唾を吐き掛ける。
 その途端、ゲバルドの顔が凄まじい形相になり、手下達が一斉に引いた。キレたゲバル
ドが凶悪な本性を露にしたからだ。
 「お、おい・・・逃げたほうがいいんじゃねーの?」
 「あ、ああ・・・血の雨が降るぜ・・・」
 手にした槍を翳し、ユラリと立ち上がるゲバルド。
 「ド外道だとっ!?ナメやがってクソがーっ!!」
 唾を吐いた兵士の頭を槍で叩き割ったゲバルドは、立続けに数人の兵士を串刺しにする。
 「オラオラオラ〜ッ!!俺をコケにした奴は地獄行きだゴルァ〜ッ!!」
 狂ったように槍を振り回すゲバルドを、手下達はガタガタ震えて見ている。もはや手が
付けられない状態なのだ。
 そしてノクターン兵士や使用人が全員血祭りに上げられ、残ったメイド達に血染めの槍
が向けられる。
 「グフフ〜、次はテメエらの番だ〜。さっさと吐けや〜。」
 あまりにも凶悪な眼光に、メイド達が悲鳴を上げて泣き出した。
 「や、やめて・・・お願い・・・殺さないで・・・」
 そんなメイド達を見て、ニヤリと笑うゲバルド。
 「ウザイ野郎を締め上げるよりおもしろそうだな・・・おい女ども、テメエらには(こ
っちの槍)で聞いてやるぜっ。」
 ズボンを脱ぎ捨てたゲバルドは、泣き叫ぶメイド達の服を引き破り、槍で脅して這いつ
くばらせる。
 「さあっ、俺さまの(槍)で串刺しだあ〜っ!!」
 ゲバルドの(下半身の槍)が次々メイド達の股間に突き刺さり、絶叫が辺りに響く。
 「いやあっ、あひっ!?やめてえーっ!!」
 「ほーれほれ、早く言わねーとオダブツだぜ〜。」
 そして凶悪な責め苦に耐えかねたメイドが、口を割った。
 「あ、あ・・・お、王子さまは・・・へインズ提督と地下の下水道に逃げました・・・」
 「あン?下水道だあ?そいつはどこに通じてるんだ、言えっ!!」
 「そ、それは、はうっ!?い、言います・・・街の南側の川に通じています・・・そこ
からどこに逃げたかは知りません・・・もう・・・許して・・・」
 メイドの悲痛な返答にゲバルドは歓喜する。
 「ふふん、そこまでわかりゃこっちのもんよ。聞いたか野郎どもっ、今すぐ外の兵ども
を召集して追撃の準備をしろっ。川下を徹底的に探すんだ、モタモタすんじゃねーぞっ!!
」
 ゲバルドはメイドを蹴り飛ばし、手下達に激を飛ばしてマリエルの捜索を開始した。


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