『魔戦姫伝説』


 魔戦姫伝説〜鬘物「ふぶき」より〜第1幕.13
恋思川 幹

「うふ……うふふふふ……」
 姉は笑っていた。
 悲痛な叫び声はいつしか、笑い声に変っていた。
(姉上さまが笑ってる? 父上さまや兄上さまたちが助けにきたの?)
 ずっと目を閉じて、耳をふさいでいたふぶきは、姉の笑い声を聞いて父や兄が助けに来
たものだと勘違いした。
 そっと目を開けて、戸の隙間から外の様子をのぞいた。
 だが、そこでふぶきが見たものは……。
 幼いふぶきも憧れた、あの美しい黒髪は精液がまとわりついてガビガビになっていた。
 形のよい乳房には乱暴に握られた跡がくっきりと残っていた。
 細く繊細な指が図太く無骨な肉棒をしごき、さくらんぼのように可愛らしい唇が悪臭さ
え発する不潔な肉棒を飲み込んでいた。
 おま○こからは止め処なく、精液が零れ落ちていた。破瓜の血など、とうの昔に精液に
押し流されてしまった。
 性の知識のない幼いふぶきにも、それがどんなに無残な姿であるのか、容易に想像でき
た。
 にも拘らず……
「うふふふ……あははは……」
 姉の……涙や鼻水、涎や精液でぐちょぐちょになった……顔は笑っていた。
(姉上さま……どうしてなのですか?)
 ふぶきには、その姉の笑みが薄気味の悪い……いや、世にも恐ろしい姿に思えた。
「へっへっへ、ついに気がふれちまったか? こうなっちまったらお姫様だろうが、村娘
だろうが、どんな女も変わらねーな。みんな同じになっちまう」
 雑兵の一人が笑いながら言った。
(どんな女も? ……ふぶきも……ふぶきも姉上さまのようになってしまうの? いや…
…そんなのはいや……。……怖い……怖いです……)
 幼いふぶきは恐怖した。自分も姉のようになってしまうことを何よりも恐れた。
『さぁて、最後にもう一度おま○こに突っ込んでやるか』
 雑兵がそういって肉棒をおま○こにあてがった。
 雑兵? 違う、おま○こに肉棒をあてがっているのは僧兵だ。
 違う、姉を犯しているのは雑兵で……
 僧兵が犯しているのは?
 これは忘れていたはずの過去の記憶の再生。
 犯されているのは姉の小春のはずだ。
 だが、僧兵が……僧兵が犯しているのは……
 小春ではない。
 今、僧兵に犯されているのは……
ずぷり
 おま○こに肉棒が挿入される。
『名残惜しいが、貴様の亡骸を届けなくてはならんところがあるのでな』
 刀を抜いた僧兵が立っている。
『喜べ、貴様の亡骸は故郷に送ってやるさ。貴様の首を一番欲しているのは、平居ではな
いからな』
 僧兵が刀を構える。
 その刃に一人の女の姿が映し出される。
 全身が血と汗と精液にまみれた薄汚い女が、おま○こに肉棒をくわえ込んでいる。
そして、涙や鼻水、涎、精液まみれの顔に笑みを浮かべている。
 あの笑みは姉の小春と同じものであった。
 ふぶきがもっとも恐れた、あの笑みであった。
 そして、その笑みを浮かべている女は……

ふ ぶ き じ し ん で あ る。

「お前の首を望んでいるのは、北大路の頼基さまよ!」
「いややややああああああぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」
 ふぶきの叫びは何に対する叫びであったのか?
 しかし、その叫びはふぶきの断末魔となったのである。





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