ロゼッタ姫と白雪姫の大活躍♪

(1) それ行け神風剣士ロゼッタ姫!! 原作:神光寺雅
ムーンライズ

 世界各地の商人が集う国、パンパリア公国。
 小さいながらも活気あふれるこの国に、天使のように可愛く、女神の如く美しく・・・
そして、とってもお転婆で脳天気なお姫様がいる。
 その名はロゼッタ姫。
 可愛い彼女には、もう一つ隠された別の顔があった。それは弱きを助け、悪に戦いを挑
む神風剣士。
 ・・・でも本当は・・・毎回悪党にイジメられてるのである。
 しかし、悪党にイジメられても全く懲りないロゼッタちゃん、周囲を巻き添えに今日も
大爆走する!!
 それ行け、がんばれ神風剣士ロゼッタ姫!!

 今日もパンパリア公国は、朝から天気が良い。
 そんな陽気な日和の中、町外れを馬に乗って駆ける1人のお姫様と、ドタバタ後を追う
侍女らしい女剣士の姿があった。
 赤色のかっこいいコスチュームに身を包み、声も高らかに進むはおてんばロゼッタ姫。
 「さあ〜っ、悪党退治ですわよっ。いざ進め〜っ!!」
 「お、お待ちください姫さま〜っ。無茶な事はやめて城にお戻りを・・・ちょっと聞い
てるんですか〜っ!!」
 女剣士の声も全然耳に入ってない彼女は、これから3匹の家来を連れて鬼退治・・・で
わなく、悪党退治に向う途中である。。
 お姫様が悪党退治とはただならぬ事だが、これには以下のような訳があるのだった・・・
(^^;)
 
 ロゼッタ姫が悪党退治に向う少し前、パンパリア公国と交友のあるミヤビノ国のアヤノ
コージ伯爵が国王の元に訪れていた。
 しかしアヤノコージ伯爵の様子は只ならない、かなりコーフンしているのだ。
 彼は訪問の理由を国王に告白し始めた。
 「こ、国王殿〜。是非とも我が国を助けて欲しいでおじゃる〜。」
 「どうなされた伯爵どの。話を聞きますから落ち着いて。」
 「実は・・・ミヤビノ国に賊が攻めてきて、メイド達を誘拐したうえ国の宝を強奪した
のでおじゃるよ。そ、その宝を奪い返して欲しいのでおじゃる。」
 顔面どアップで頼み込まれ、国王は気弱な表情で答える。
 「そ、それは難儀な事でしたな。微力ながら助力いたしますぞ。」
 「それを聞いて安心しましたでおじゃるっ!!奪還してほしい物はこれでおじゃるよ。」
 そう言うなり、一枚の絵を取り出す。
 絵には、なにやら骨董品の絵が描かれており、国王は首を傾げて尋ねた。
 「なんですかな、そのブサイクなお鍋は?」
 「こ、これはお鍋ではないでおじゃる〜っ!!あ、絵が上下逆になってたでおじゃるな
(汗)。これは我が国の国宝、ゼウスの鉄カブト!!それも世紀の大芸術家、ミケニャン
ジェロが造った芸術品なのでおじゃるぞ〜っ。」
 「う〜ん、どー見てもお鍋にしか見えんのじゃが・・・」
 でもって伯爵は、国王をとっても驚かせる事を言い出した。
 「パンパリア公国には神風剣士なる(美少女)剣士がおられるとか。是非とも神風剣士
殿に国宝の奪還を依頼したいでおじゃるっ。」
 「な、な、なんですと〜っ!?なぜそれを知ってるのっ!!」
 その驚きようは只事でない。それを無視した伯爵は、他力本願な頼みを続けた。
 「国宝を下賤な賊に奪われたとなっては、ミヤビノ国の面子は丸潰れでおじゃる。それ
に軍勢を動かして大騒ぎになれば諸国に恥が露顕するので、神風剣士殿に助力を願いたい
わけでおじゃるよ。」
 しかし、国王は神風剣士と聞いて返答を渋ってしまう。
 なぜなら・・・神風剣士の正体が実の娘、パンパリアのおてんば姫だったからである
(笑)
 しかも、どこでどう間違ったか、神風剣士の噂が誇大評価されてるのだ。
 「ま、まあそのぉ〜。神風剣士は多忙だし、先日から生理休暇・・・でわなくって、い
や、あの〜(大汗)。」
 オドオドした返答を聞き、ますます激憤するアヤノコージ伯爵。
 「絶対に宝を取り返して欲しいでおじゃる〜っ!!神風剣士に頼んでくれなきゃ、今後
パンパリア公国との取引は無しにするでおじゃるよ〜っ!?」
 押しの一手で迫られ、国王は小さくなる。
 商業を重んじるパンパリア公国にとって、お得意先の国から取引を断られる事は大変な
問題なのだ。
 困ってしまった国王は、となりに控えていたお妃様に泣きついた。
 「わーん、一体どーしたらいいの〜。」
 するとお妃様、うろたえず事態を解決する。
 「はいはい、あなた安心なさって、ここは私にお任せくださいませ。」
 お妃様の堂々たる姿勢・・・彼女は国王に代わって、実質的にパンパリア公国を仕切っ
ている偉い人なのだ。
 迫るアヤノコージ伯爵を明朗に説得する。
 「伯爵殿、火急なる願いはごもっともですが、神風剣士に登場してもらうには準備が必
要ですわ。どうか今暫くお待ち願えますか、国宝は神風剣士が必ずや取り返してくれます
でしょう。」
 お妃様の言葉に、アヤノコージ伯爵は大喜び。
 「おお、それはありがたき幸せ☆神風剣士殿にヨロシクお伝えくだされでおじゃる、で
わ♪」
 無責任に去って行く伯爵を見ながら、国王もお妃様も大きな溜め息をついている。
 「はああ・・・神風剣士の事が他国に知られていたなんて・・・正体がロゼッタだなん
て、とても言えないし〜(悩)」
 「仕方ありませんわ。軍隊を内密に派遣して、賊から国宝を奪還するしかないですわね。
国宝は神風剣士が取り返したとの事にすれば、きっと伯爵殿も納得して頂けると・・・」
 お妃様が話していると、家臣が血相を変えて飛び込んできた。
 「た、大変です〜っ。姫様が、こんな書き置きをなさっております〜っ。」
 その家臣が持ってきた手紙を読んで、国王とお妃様はボーゼンとする。
 「こ、これわ・・・」
 「まあっ、あの子ったら〜っ!!」
 なんと・・・その置き手紙には・・・
 
 ---パパ、ママ。国宝は(美少女)神風剣士が奪還してまいりますわ。ロゼッタちゃん
より♪
 
 ・・・と書かれていた。
 どーやら、アヤノコージ伯爵との会話をロゼッタ姫は立ち聞きしていたらしい。
 しかも(美少女)剣士と言われ、すっかりその気になってしまった様子。こーなっては
誰もロゼッタ姫を止められない!!
 大慌てのお妃様は、家臣に向って声を上げる。
 「なにをしているのですかっ、今すぐロゼッタを探しなさいっ。まだ遠くには行ってい
ないはずですわっ。」
 「そ、それがその〜。姫様はどこにもおられません、すでに馬で城外に出られたかと〜
(汗)」
 「即刻追いかけなさーいっ!!それと侍女頭のアンリエッタをここにっ。」
 「わかりました〜っ。」
 お妃様の呼び出しで現れたのは、城の侍女頭アンリエッタであった。 お妃様の前に跪
き、一礼するアンリエッタ。 
 「お呼びでしょうか、お妃様。」
 「ええ、他ならないロゼッタの事ですが・・・」
 ロゼッタと聞いてギクッとするアンリエッタ。凛々しい顔に、(またか)との表情が浮
かぶ。
 彼女はパンパリアの有能な美女剣士であり、女親衛隊長とも呼ばれている人物だ。だが
ある理由から、宮廷の侍女として国王に仕えている。その理由は・・・おてんば姫のお守
りなのだ。
 「あ、あの〜。まさか、また姫様が・・・」
 「そのまさかですわ。実はミヤビノ国の伯爵殿がこられまして・・・(中略)・・・と、
ゆー訳でロゼッタが、また神風剣士として悪党退治に向ったのです。このままでは悪党退
治どころか悪党に返り討ちにされてしまいますわ。アンリエッタ、あなたがロゼッタに成
り代わり、悪党を退治して国宝を奪還なさい。良いですね?」
 「は、は〜い。あ、あのおてんば姫さま〜、またやってくれましたわね〜。」
 思いっきりイヤな顔をしているアンリエッタ。おてんばロゼッタ姫のせいで毎回苦労を
させられてるのだ。しかも国王まで悪ノリしてるから始末が悪い。
 「ヨロシク頼むぞアンリエッタ。ほれ、お前のコスチュームだぞ♪」
 そう言いながら青色の神風剣士コスチュームを差し出す国王さま。
 「あう〜、その衣装、露出度が高過ぎます〜(涙)。」
 そして、泣く泣く着替えているアンリエッタに、お妃様から問答無用の命が下された。
 「国宝の奪還も大事ですが、ロゼッタの安全を最優先になさい。もしロゼッタに何かあ
れば・・・」
 「何かあれば・・・私はクビでしょうか〜?」
 「ええ、もちろん。ただしギロチンでですわ。」
 「きゃーっ!!それだけは勘弁してくださ〜いっ!!」
 こーしてアンリエッタは今回も、ロゼッタ姫のおてんば旋風に巻き込まれてしまうので
あった・・・(^^;)


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