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「お姫様作品のための「20ぐらいのお城用語・欧州編」」
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ヨーロッパのお城(城塞・城郭)に関連する用語を20点集めました。
(「お題」と言うよりも「用語集」的な物になってしまいましたが……)
このお題は、
という表記になっています。
- 堀
- 防御のために城を取り囲んで掘られた溝。
水を引き込んだ濠(水堀)と水のない壕(空堀)がある。
- 塁壁
- 上部を人馬が通れる厚みのある城壁。垣壁。
英語でランパート(rampart)
- 胸壁《ブルストヴェア》
- 城壁や塔の屋上部に巡らせた、胸ほどの高さの欄干状の壁。
戦争時には、城兵がこの陰に身を隠して砲弾や矢をかわしつつ戦う。
独語ブルストヴェア(Brustwehr)は「胸の壁(胸の高さまでの壁)」。 英語ではパラペット(parapet)。
射撃用のスリットによって上部が凹凸になっているものは狭間胸壁(英:バレットメント・Battlement)という。
- 狭間窓《さままど》
- 壁に開けられた穴のような小窓。
戦時にはここから城兵が銃や弓矢を撃ち、城外に攻撃する。
英語:クレネル(crenel) 独語:ツィンネ(zinne)
- 出し狭間
- 城壁の上部をせり出させ(持ち送り支持構造)、床面に穴を開けた物。
この穴から城壁に取り付いた敵兵を落下物(主に岩石)で攻撃する。
床狭間、突出し狭間、張出し狭間、刎出し狭間、石落とし、とも。
なお、落下物として用いられるのは岩石以外にも、煮え油・火を付けた歴青《ピッチ》・沸騰した粥・動物や敵兵の死体・汚物など。
英・仏語:マチコレーション(machicolation)、独語:Maschikuli
- 隅塔
- 城壁の角に作られた塔。側塔。
内側(城側)に胸壁がないタイプは、外殻塔と呼ぶ。 城壁の角以外(壁の途中)に作られた塔は「城壁塔」
- 小塔《タレット》
- 壁の途中から張り出すようにして作られた小さい塔。
下部に出し狭間がもうけられることもある。 戦時下では見張りや周囲の壁の援護射撃を行う。 平時においては軍事的意味が薄れ、壁面装飾として作られるようになる。 タレット(turret)は英語。
- 跳ね橋
- 壕と城門とを結ぶ橋で、通行の用のない時は綱・鎖などでつり上げることができる構造となっている。
敵・部外者が城内にはいるのを防ぐ・拒むための設備。
跳ね橋の外側(お堀の外側)に出先機関を持ち、通行を管理する場合もある。
- 出窓
- 城門近くの城壁や塔から付きだした形の窓。
平時は門番が詰め、訪問者の誰何などを行う。戦闘時は門を防衛する狭間として用いられる。 独語でぺヒナーゼ(Pechnase)と呼ばれるが、これはを直訳すると「歴青《ピッチ》の鼻」であり、「壁から鼻のように突き出ていて、有事にピッチを流し落として敵に攻撃する施設」を表す。
- 城門
- 城外と城内の通行口。城塞都市の場合は「市門」とも呼ばれる。
城内へ敵を入れないための防衛ラインでもあるので、厳重に警備される。
- 鬼戸
- 鎖やロープなどつり下げられ、上下に開閉する鉄または木製の格子戸。
落とし格子、吊るし門とも。 門扉そのものとして使われたり、門扉とは別に設けられたり。
英語:ポートカリス(Portcullis)
- 門塔
- 城門の両脇を固める塔。出窓、小塔と同様の役目を負う。内部に門番や兵士が詰めている。
城の規模によっては、作られないこともある。 また、小規模な城のでは主塔の機能を兼ね備える場合がある。
- 外郭
- 多重城壁を持つ大きな城における、最も外側の城壁と二番目の城壁の間の空間。
職人・使用人・下僕の住居、鍛冶場、作業所、燃料庫(薪・炭)、穀物庫、納屋、厩舎・家畜小屋などがある。 発展すると一寸した市街の様相となる。
外郭を持たない小城の場合、これらの設備は城内の一角に置かれる。
- 主塔
- 城壁の内側にある城内で最も高い塔。その城のシンボル。
最上階からは塔番が周囲を見張っている。 戦時に城壁を突破された際には、城内の人員の避難場所として使用される「最後の砦」であり、そのため特に堅固に作られる。
古城・小城の場合、平時には城主の居館としても機能した。
独語・ベルクフリート(Bergfried) 英語・キープ(Keep) 仏語・ドンジョン(Donjon)
なお、仏語のドンジョンはラテン語で君主を意味するドミヌス (Dominus)に由来する。
古くは主塔(ドンジョン)の地下に監獄や地下室を作ったことから、ダンジョン (dungeon)、すなわち地下牢・地下迷宮という言葉が派生した。
- 井戸
- 地面を深く掘り下げ、地下水を汲み上げる施設。あるいは城外の水源から導引される水資源をの取水設備(水道井戸)。
防護のために周囲を建物や塔で覆うことがある。
- 礼拝堂
- 宗教施設。城の精神的支柱。小城であれば城内の一室に祭壇が置かれるのみの場合もある。
専任の聖職者が常駐する。
- 城主の居館
- 城主の住まい。
居間や寝室といった城主や城主一家の個室、広間、職務室、客間、舞踏会場、宴会場、炊事場他の施設が備えられており、実質的な城の中心。
古城・小城であれば、主塔がその役目を負った。
資金的・土地面積的に余裕がある場合は、プライベートと執務の空間をそれぞれ別の棟に分けて建てる事もある。
英語・パレス(palace) 仏語・パレ(palais) 独語・パラスト/パラス(Palast)
- 城代の館
- 城主に代わって城の管理をする重臣(城代家老)の住居や執務のための棟。
家臣・騎士・兵士たちの住居・宿舎用の棟や、行政施設なども置かれる。
- 内庭(中庭)
- 城主の憩いの園であり、果樹・野菜・ハーブ(薬草)などを育てる菜園でもある。
水資源に乏しい城の場合、地下に雨水や外部の水源から引かれた水を蓄える水槽を備える。
巨大な城であれば練兵や馬上試合を行うかも知れない。
ただし地下に水槽がある場合は、糞尿が混入して飲用できなくなるおそれがあるので、中庭に馬や他の家畜を入れることは厳禁。
- 監獄塔
- 政治犯・政敵、捕虜などの「処刑できない犯罪者」を幽閉する場所。
牢獄のための建物が個別に内場合には、主塔の下層階・地下スペース等がその役目を負う。
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