鞭と髑髏
Peitsche und Totenkopf /隷姫姦禁指令

Female Trouble

5・汚穢の地獄 Die Hoelle der Rueckstaende(一)
 
 夜が更けた。

 国賓専用の客間は、この城で最も美麗な部屋が当てられている。その豪華な調度は、お
そらくは長年にわたってこの国を訪れた王侯貴賓の目を驚かせ、深い満足を与えて迎え入
れてきたのだろう。
 とはいえ、中世以来、時代の変遷に伴って室内もさまざまな手が加えられ続けてはきた。
中世の素朴を基礎に、ルネサンスやバロックの息吹、ロココの華麗さが分厚く積み重ねら
れ、年月の重みをも加わって、実に意趣卓越した壮麗な一室となっている。さらに、近代
の人間が生活するための改装もまた、きちんと加えられているのは言うまでもない。

 その套室を、今はこの国を占領する帝国軍司令官が個室として私用している。

 部屋の一隅には、近年に新しく設えられた浴室があった。現在のこの部屋の主は、そこ
でシャワーを浴びていた。石油ボイラーでいつでも温かな湯を浴びることができる最新型
の設備であったが、しかし、彼女が浴びていたのは冷水のままのシャワーだった。

 身体が異常なほどに火照っていたせいである。

 山脈の雪解け水が貯えた地下水を湖の底からそのまま汲み上げているせいで、シャワー
の水は初夏だというのに身を切るように冷たい。しかし、ヘルガ少佐の裸身からは湯気す
ら立ちのぼっていた。

 あの可憐で無垢な、そして高貴なクラリス姫を、己が欲望のままに弄び、悪魔の快楽を
その青い肉体に刻みつけることができたことに、ヘルガは有頂天になっていた。顔には出
さないものの、神聖な遺物を教会から盗み出して肥溜めに投げ捨てるような、至高の贅沢
に浸る背徳者の悦楽に、この親衛隊美女は身体の奥底から地獄の業炎のごとき昂ぶりを沸
き立たせていたのだ。

 大公の息女、純粋培養された無垢な魂、そして長き歴史の陰影が刻み込まれた血の系統。
 単なる美少女ではない、その身に生まれながらにして高貴の翳を湛えた存在。
 それが今や…。

 辺塞の田舎郷士の家柄に過ぎぬフォーゲルヴェヒター家に生まれながら、自らの才覚を
唯一の手綱として、鉄の掟が支配する苛酷な帝国の底辺から這い上がってきたヘルガ少佐
にとって、本来ならば近づくこともままならない存在を欲望のままに弄ぶ快感は、何にも
例えようもなかった。

 冷たいシャワーを全身に浴びれば浴びるほど、下腹部から胸の奥にこみ上げてくる溶岩
のような欲望は、冷めるどころかますますかき立てられていくばかりだった。いつの間に
か、ヘルガはその真っ赤な唇を歪ませるように、含み笑いを漏らしていた。

 だが、ヘルガは自分の情欲の炎の奥に、あたかも燃えさかる竈の中に潜むサラマンドラ
の如く、何か奇妙な低温の領域が蟠っていることにも気がついていた。
 それが何によるものなのか…。
 笑みは消え、氷のような水流の中で、ヘルガは両手を漆喰の壁について俯いた。

 あの、初めての顔合わせで、鞭の嵐で公女をさんざんに嬲り、愛用の鞭で処女を奪った
時。
 そう、あの時のクラリス姫の、まるで極地のように冷たい、青く深い瞳の視線…。

 あの視線に不覚にも一瞬たじろいだのを、ヘルガは忌々しく思いだした。自分が無意識
に位負けしていたなどと、栄えある帝国親衛隊特務少佐たる身として、プライドに賭けて
も思いたくはなかった。
 だが、考えてみれば、綿々と続く大公の系譜に連なる姫君と、新興の帝国軍の、それも
組織の歯車に過ぎない将校の身分が、そもそも比較の対象になるはずがないのだ…。

 急に鬱々とした気分になって、ヘルガ少佐は俯いた後頭部に水流の直撃を浴びせ、豊か
なブロンドのストレートヘアを練りたての絹の束のように垂らした。貯水槽の水が切れか
かっているのか、水の勢いがだんだん弱まってきた感じがして、ヘルガは水栓を閉めた。
 水流の反響音がいきなり消え、寒々とした浴室に滴の音だけが響いた。俯いた顔を上げ、
金色の髪の房を後ろにかき上げたヘルガは、やはり水滴に濡れていた側面の大きな鏡に目
をやった。
 洗面台の前に据えられていた大型の鏡は、華麗なロココ様式の彫刻が施され金銀で飾ら
れた木枠に嵌められている。その鏡に、美貌の女将校の裸身が映し出されていた。

 山脈の清水に濡れ滴る北方系の白い裸身は、確かに美しかった。その豊満な乳房も、適
度にシェイプアップされた全身も、彫りの深い顔立ちも、帝国の理想とする女性美の極致
であった。実際に戦場に出て功績を挙げたことが今の地位をつかんだ源泉ではあったが、
その一方では自らの美貌に対して総統や親衛隊長の覚えめでたかったことも確かだった。
 北方の神話の女神のごとき端正と調和は、ヘルガ自身も自ら誇りとし、自負もあった。
この身体を出世の道具に使ったつもりはなかったが、同性の少女を誘惑し隷従させること
に利用したことは無数にある。自らの視点を絶対とするならば、己の美貌に自信を持って
当然でもあった。

 だが、あのクラリス姫を見て、この傲岸不遜な親衛隊美女の自尊心に、何か不確かな影
がさしていた。

 大公女クラリス姫のことはその可憐な美しさがつとに有名で、近年出版されてきた写真
をふんだんに使った雑誌においても、その花のような肖像写真が掲載され、各国の人々か
ら慕われていた。そんな写真をヘルガも目にした。その時からヘルガは、この聖少女に焦
がれていたのかもしれない。

 しかしヘルガは生来の倨傲な性格から、大公の血筋という「虚飾」を剥いだ小娘がどん
な痴態を見せるのかという加虐的な妄想を抱いた。王侯将相あに種あらんや、と古の反逆
者は嘯いたものだが、実力で成り上がってきたヘルガもまた、似た感慨を抱いていた。身
を飾るべき一切を失ってしまえば、王侯貴族もただの人間に過ぎない、その転落を嘲笑い
ながら、己の欲望を満たす生贄にしてやろう…。

 親衛隊のエリート将校でもある美女は、こうしてこの国の占領を司り、目論んでいたよ
こしまな野望を実現させることが出来たのである。そして哀れな姫君を、狙い通り、苛烈
な拷問の洗礼を経て、被虐の悦楽という恥辱の泥濘の中に叩き込むことに成功したはずだ
った。

 禁断の情欲によがり狂う肉奴隷となった姫君を、ヘルガは征服者の満悦とともに味わい
尽くしてやる…そのつもりだった。

 だが…。
 あの時、得意の鞭捌きで身につけたもの全てを剥ぎ取って、眼前に曝し出したクラリス
姫の裸身は、意外なほどに豊かな乳房を見せていたものの、全体にはまだ青い蕾のように
生硬なフォルムであった。単純に比較をすれば、女性としての成熟も、美のモチーフとし
てのヌードの艶麗も、どう見たところでヘルガに敵うはずもない。
 それにもかかわらず、ヘルガの目には、今のクラリスはいささかもその輝きを失うこと
のない神性を纏い続けているようにしか見えなかった。肉の快感に溺れている時ですら、
その青い瞳は濁ることはなく、輝きを放ち続けていた。

 今、鏡に映し出されている自分の裸身も、あの公女の哀れな、しかし神々しい姿に比べ
ては、ただの肉塊にしか、ヘルガには思えなくなっていた。

 純白のバスタオルでそそくさと身体を拭き、何かから逃げるようにバスローブをはおっ
て、まだ髪が湿ったままの顔にいつもの眼鏡をかけ、ヘルガ少佐はバスルームを出た。
 寝室の中はランプが明るく照らし、赤銅色の光に染まった調度品の彫刻の影がより深ま
って、豪華さを強調している。重たげに壁を飾る天鵞絨の幔幕にランプの灯が揺れること
で、重厚な空気の存在がより鮮明になった。月明かりもほとんど無く星の瞬きが窓を通じ
て室内からも見てとれた。

 その薄暗い室内に、こちらは純白のレースで彩られたカーテンを天蓋から垂らした、豪
華な寝台が設えてある。王侯貴族の用品らしい豪華なベッドには金銀で象嵌が施され、絹
織りのタペストリが縫われたシーツがその上を覆っていた。

 そのベッドの向こう、入口の扉のそばに、小さな人影が控えていた。
 薄闇の中、ブロンズの彫刻にも見えたシルエットは、ラナだった。

 哀れな少女はやはり首輪一つ嵌められただけの全裸のまま、俯いて目を閉じ、直立不動
で寝台に侍していた。その足元は、明らかに震えているのがわかるほどだった。

 ヘルガ少佐がこの城に来てすぐに行なったのは、メイドの品定めだった。そしてその目
に止まったのが、まだ見習いとしてこの城に入ったばかりの、この幼い少女だった。
 まだ12歳にもならない、何も知らない無垢な少女を、親衛隊美女はいきなりベッドの
中で毒牙にかけ、同性愛の秘術の限りを尽くして弄んだ。十代の頃から女子青年団の閨房
で鍛え上げられてきたテクニックに、ラナは為すすべもなく悶絶し、強制的に性の玩弄物
へと堕とされてしまった。

 わずか数時間で完全に性奴隷に調教されたラナは、そのままクラリス姫の世話係の任務
を受けた。敵の奴隷にされた身とはいえ、憧れの姫君に対しては心からの献身を尽くした
いという気持ちに偽りはなかったラナだが、もちろんそこにはヘルガ少佐の別の狙いが隠
されていた。
 屈辱を加えるばかりでは、おそらくあのクラリス姫であれば、すぐにでも名誉と尊厳を
守るために自ら死を選ぶに決まっていた。高貴な公女を嬲る楽しみをずっと続けていくた
めには、クラリスをこの世に縛る執着を持たせることが必要だった。
 そのくびきとしてラナは利用されたのである。慈愛深き聖女のごときクラリスが、自分
よりも悲惨の境遇に置かれている年下の少女の献身を受けて、それを無にして見捨てるこ
となどありえない、という奸計だったのだ。

 今も、ラナはクラリスへの夜の奉仕を終えてきたところだった。そしてその後は、即座
にこの部屋に戻り、主人である親衛隊特務将校に報告を行わなければならないのだった。

 頭を垂れる奴隷少女の姿に、ヘルガ少佐は安堵のようなものを感じながら、いつもの傲
然とした表情を取り戻した。

「来たわね」
 素っ気ないその声に、ラナの肩がピクッと動いた。
 ヘルガはバスローブ姿のまま、めくりあげられていたカーテンを抜けて、巨大なベッド
に横たわった。
「…こっちにおいで」

 少佐の声がまるで突き刺さったかのようにビクッと全身を震わせて、ラナはおどおどと
ベッドの傍に近づいた。その顔は紅潮し、唇の端も震えていた。

「さあ、今日の仕事を報告なさい」
 しどけなく横たわり、左手で頬杖を付いた姿勢になって、ヘルガが促した。

「は、はい…」
 口ごもったラナだったが、主人の逆鱗に触れる恐怖から逃れるために、必死で言葉を紡
ぎ始めた。

「わ…わたしは…いつものように、バスケットにタオルとポットを入れて地下牢に行きま
した。…中に入ると、…く、クラリスさまのようすがおかしくて…」
 途切れ途切れに説明する少女の言葉に、ヘルガ少佐は無表情に聞き入る。
「…わたしが来たのにも気がつかないごようすで、…ずっと上を見あげたまま、なにかつ
ぶやいておいででした…」

 三角木馬と蝋燭の責めを受けて、苦痛の中でエクスタシーを迎えてしまった恥辱。愛犬
に犯されかけた恐怖。そしてその愛犬を目の前で殺され、全身を腥い血で染めた絶望。
 わずか半日にして、生きながらにして地獄の深淵を覗かされたに等しい経験を強いられ
たのだ。無垢な姫君が虚脱茫然としてしまうのも無理はない。
 
「…わたし、濡れタオルでおからだをおふきしました。…姫さまのおからだが、熱をもっ
ているのがわかりました。白いおハダに、いくつも赤いあとがのこってて…、やけどみた
いに熱くなっていて…。わたしはなんども水をかえて、タオルをぬらして…。でも、姫さ
まはわたしがいることにもお気づきになっていないようでした…」

 痛みと共に火照る熱蝋を浴びた肌に苦しむクラリスの姿を脳裏に浮かべ、ヘルガ少佐は
身悶えしたいほどの喜びが湧き上がってくるのを隠そうともせず、うっとりと聞き入って
いた。

「…姫さまのおからだをふきおわって、わたしはバスケットからパンとミルクをさしあげ
ましたが、クラリスさまは食べようともなさらずに、どこか遠くを見てるみたいでした…。
くるしそうに、大きく息をして…」

 露わな胸や股間を隠すこともせず、不自然なほどに両手をまっすぐ伸ばして直立したま
ま、ラナは自分の仕事を報告し続けた。もちろん、そのように命令されているのである。
ただ、わずかに伏し目がちにうなだれ、膝を震わせているのは、残った羞恥心のせいなの
か、冷酷な主人への恐怖感なのか、…それとも無意識に被虐の快感に襲われているのか、
それはラナ自身にも判然としない。

「そ…それで……」
 元から訥々と話していたラナの声が、さらに途切れがちになった。
「それで、わ、…わたし…、昨日と同じように…その…」
 ラナの顔が周知でさらに真っ赤に染まり、目を伏せる。
「…姫さまの、あ……あそこに…」

「ちゃんと言いなさいっ」
 静かだが、逆らえない厳しさで親衛隊美女将校の叱咤の声が飛んだ。

 雷に打たれたように全身をビクッと震わせたラナは、一瞬息を詰め、そして再び唇を震
わせながら口を開いた。
「…ひ、姫さまの…お…お……」
 口ごもる少女の姿に、ヘルガの残酷な加虐の目が光る。

「…おまんこに…っ」

 ついにその単語を口にしたラナが、また顔を伏せた。幼い子供ですらはばからねばなら
ないことがわかっている淫語を、あえてハッキリ言うよう強制することで、ヘルガ少佐の
支配欲が満たされるとともに、淫靡な欲望にもさらに油を注ぐ効果をもたらす。

 ヘルガが内心でほくそ笑んでいるのも知らず、ラナはなおも必死で自分がクラリスに奉
仕した報告を続ける。

「…顔をちかづけてのぞきこむと、きのうよりもずっとまっ赤にはれていて…。わたしは
できるだけ痛くないようにと、舌をぬらしてそっとなめました…。はれあがった『くちび
る』が熱をもっていて、わたしは舌がやけどするかと思いました。…われめも、血がにじ
んだみたいにまっ赤で、…お豆にはナイフを押しあてられたみたいにすじがクッキリ…」

 敬愛する姫君の秘所を懸命に描写するラナのせつない口調に、ヘルガはうっとりとして、
剥き出しの脚を組み直した。バスローブの裾がめくれ、白い臀部までがあらわになる。
 その姿を目にしたラナが、さらに顔を赤く染めた。

「それで?…お前はどんなふうに奉仕したの?」
 さらに克明に表現させて少女の羞恥心を増幅させようと、妖艶な肢体をくねらせるよう
に見せつけながらヘルガが畳みかけた。

「…熱くなっているのをさまそうと、わたしは口をくっつけないで、つばを冷やしながら
舌の先でなめるようにしました。さいしょはまわりの方から、だんだんとわれめの中の方
に…。ひだをそっとめくるようにして、できるだけ熱をさまそうとしながら…」

 自分の舌先奉仕のさまを、つたない語彙で細かく説明することで、かえって淫靡な響き
が纏わりついてくる。

「…姫さまはっ…はじめのうちはなにも反応なさらなかったんですが、しばらくなめてい
るうちに、お顔が変わってきました。こおりついたような目が、だんだんとろんとうるん
できて、息づかいも甘くなってきました。ときどきビクンとおからだをふるわせたりして…」

 絶望の淵で虚脱した公女が、再び欲望に目覚めつつある報告に、ヘルガの股間がきゅっ
と絞られる感覚がしたと同時に、濡れてきたのが自分でもわかった。

「わたしの舌先がとうとうお豆にそっとさわって、それと同時に、クラリスさまはのどの
奥から『ひっ』と声をもらして、せなかをグンッとのけぞらせました。わたしは思わず、
口いっぱいに姫さまのお…おまんこをほおばっていました…」

 矢も楯もたまらず、ヘルガは目の前にいるラナにもかまわずに、自分の秘所に自分の指
を当てて、報告の中のクラリスと同じように、クリトリスを弄りだした。ラナの奉仕にの
けぞる公女と自分を重ね合わせ、親衛隊美女は吐息を漏らしながら妖艶な自慰に耽った。

「そ…それから?」

 バスローブをあちこち乱れさせ、素肌を見せつける主人の姿に目の遣り場を失いながら
も、ラナはさらに核心部分を話し続けなくてはならなかった。

「姫さまが正気をとりもどそうとしていると思ったので、わたしはそのまま姫さまの…お
まんこをなめつづけました。くちびるをぴったり押しあてて、舌をのばして、姫さまの中
のひだひだをみぞにそって、それからお豆をつつむようにしてなめていきました…」

 クラリスの秘所の味を思いだしたのか、ラナも自分の恥辱を忘れて、幼い肉体の芯が熱
くなっていくのを感じていた。

「クラリスさまはほっぺを赤くして、息がだんだんあえぎ声になってきました。ずっと人
形みたいだったおからだにも、すこし汗がにじんできました。姫さまがお元気になってき
たのがうれしくて、わたしはますます舌でおまんこの内側をなめまわしていきました…」

 ラナも自分の言葉に興奮し、膝をがくがく震わせて、内股をもじもじさせだした。だが、
直立の姿勢を崩すことは許されないため、幼い少女は必死で自分の欲望と戦うことを強制
されていた。
 一方、支配者であるヘルガ少佐は、思うがままに己の欲望に浸りきっていた。バスロー
ブはすでに半分はだけ、豊満な美乳を露わにしてゆさゆさと重たげに揺らしながら、股間
に伸ばした両手を激しく蠢かせていた。
 いたいけな少女の口から発せられる淫語を触媒として、そのつたない語彙で描写される
公女の痴態を脳裏に鮮明に浮かべながら自涜に耽っていると、まるで自分がクラリスを責
めているようにも、また自分がクラリス姫と一体化して逆に責められているようにも感じ
られた。

「姫さまは…からだをくねらせて、気持ちよさそうな声をあげて、…白いお肌がピンク色
になって、ひとつぶ、ふたつぶと汗が上から流れてきて、…下から見あげると、きれいな
おっぱいがぷるぷる揺れてて…、く、うんっ…」

 ラナが声を時折詰まらせるのは、興奮が自分でも抑えられなくなってきたせいだった。
顔どころか胸元まで紅潮させ、全身に汗が滲み、目にはうっすら喜悦の涙まで浮かんでい
た。だが、手を動かすことすら許されない奴隷の少女は、幼い子宮の奥から湧き上がるむ
ず痒いほどの性的興奮を必死でこらえた。
 その姿に嗜虐心をかき立てられ、ヘルガはさらに喜悦に溺れて悶えながら、目をギラギ
ラさせてラナの報告をさらに促す。

「…あうっ…はあ…、ひ、姫さまが、わ、わたしの名前を呼んで…、ラナちゃん、もっと
…って、言ってくださってっ!」

 恍惚のヘルガの目に、一筋、氷の光がよぎった。

「姫さまの、おまんこの奥から、熱い蜜がじゅくじゅくあふれてきて…。あたしっ…は…、
舌を、おまんこの奥に、思いっきりのばして…あたしのつばと、姫さまの蜜で、つるっと
…びっくりするくらい奥までとどいて…。クラリスさまもかん高い悲鳴をあげて、からだ
じゅうブルッとふるわせて、ピンとひきつって…」

 もうラナも目を開けていられなくなり、全身を震わせていた。

「姫さまの…蜜が…どんどん奥からあふれてきて…、あまずっぱくて、いいにおいが口い
っぱいにひろがって…、わたしもあたまがぼうっとしてきて…」

 ヘルガも再び目を閉じ、自慰に没頭して白い裸身をくねらせる。

「…熱いお肉がいきなりわたしの舌をぎゅっとしめつけたとたんに…姫さまが悲鳴をあげ
て…、奥からぴゅって蜜がふきだして…。姫さまのおまんこがわたしの舌をはなしてくだ
さらなくて…しばたくしてからやっと舌がはずれて、クラリスさまはがくんと力がぬけた
ようになって、吊られた両手がぐったりして…姫さまはイッてしまわれたんです…」

 ラナが語る公女クラリスの絶頂の描写とともに、寝台の上の親衛隊美女もまた、同時に
オルガスムを迎えてひきつったように痙攣していた。ラナもまた言葉を途絶えさせ、こみ
上げてきた幼い欲望に直立不動のまま全身を貫かれ、そして股間から内太股にたらりと濡
れたものがこぼれていくのを感じていた。

「はあっ…はあ……はあっ…」
 まだ息も荒いまま、ヘルガ少佐は突っ伏していたシーツから身を起こした。そしてその
ままベッドの端に腰を掛けるようにして、まだ身体を火照らせたまま気をつけの姿勢のま
まのラナの正面に向かい合った。

「…」
 無言のまま、呼吸で肩を上下させつつ、妖艶な女主人は片手を伸ばすと、立ちすくむ少
女奴隷の脇腹を上に撫で上げた。

「…!」

 息を詰まらせたラナの肩をつかむと、女将校はそのまま少女を抱き寄せた。
 面食らったラナをじっと見下ろす氷の瞳。

 そのままヘルガ少佐はその真っ赤な唇で、少女の桜貝の唇に押しつけた。まるで鮫が獲
物に食らいつくかのように激しく、ラナの口を吸い、舌を口腔内に突っ込んでまさぐった。
自分の全てをしゃぶり尽くされるような恐怖と同時に、これが自分の主人の褒美なのだと
思うと、どこかで喜びのようなものも少女は感じていた。

 しかし、聡明な幼女は気づいていた。
 自分の主人の心がどこにあるのかを。

 自分に口づけしているヘルガだが、これが愛情なんかではないことは触れ合わせた肌か
らも酷薄なほどに伝わっていた。
 ヘルガ少佐が求めているのは自分などではなく、自分が奉仕してきたクラリス姫の温も
りであることを。
 まさぐる舌が求めているのは、自分の口にまだ残っているクラリス姫の愛液の残り香で
あることを。

 残酷なほどに切ない女主人の想いをその身で理解する少女は、同時に公女への献身の悦
びに心を引き裂かれ、気が遠くなっていった。


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第5章・汚穢の地獄 Die Hoelle der Rueckstaende(二)

 
 茫然としたラナから顔を離し、ヘルガ少佐は氷の微笑を浮かべて囁いた。
「…さあ、今度は私にも、クラリス姫にしたのと同じ奉仕をしなさい…」
 そう言うと、金髪碧眼の美女はすでにはだけていた純白のバスローブを脱ぎ去って、古
代の大理石の彫像の女神のような全裸の姿になった。そして、幼い少女の目の前に淫猥に
両脚を広げて見せつけた。

 夢心地のまま、ラナは憑かれたかのように酔い痴れたような笑みを顔によぎらせ、美貌
の主人の足元にひざまづくと、目の前に開かれた大輪の花卉に顔を寄せた。そして、今し
がた説明させられた公女への奉仕と同じ、口唇愛撫を始めた。

「…うふうっ…そ、そうなの……こうやって、お前はお姫さまに…はあああうっ!」
 淫語を聞きながらの自慰によってすでにじっとりと愛液に濡れそぼっていたヘルガ少佐
の秘所に、ラナは忠実にクラリス姫への奉仕を再現していった。

 陰唇をゆっくり舌でなぞり、わざと焦らすように周辺から攻めていく。そしておもむろ
にスリットを刺激しながら、内側の肉襞を舌先で一枚ずつめくるように愛撫していく。

「いいわ…いい……あうっ、うう…!」
 のけぞったヘルガの豊かな乳房が重たく揺れ、えびぞった上半身を支える両腕に体重が
かかり、ベッドにめり込んだ両手がシーツを握って渦のような皺を深めた。浮き上がった
腰が幼女奴隷の顔にさらに押しつけられると、少女はそれにひるむどころか、ますます舌
を伸ばして女主人の淫裂の奥をまさぐる。

 クラリスの、まだ初々しさを残した青い橄欖の実のような秘所に比べると、美貌の女将
校の淫部は瑞々しく熟した紅葡萄の実を思わせ、その蜜の味もさらに芳醇な美酒にも似て、
立ちのぼる香りもより強く鼻をついた。

「くちゅ…くちゅ……ぺちょ………はうっ……くちゅ…」

 敬愛と服従と、異なる形で同時に二人の女性に仕える身となった哀れな少女ではあった
が、しかしそれと共に、こうして二通りの奉仕をすることで二種類の美酒を味わうことが
できることに、ラナはある意味で至福すら感じていた。

「いいわ…そうよ、そう……はうっ、…もっと奥までしっかり舐めなさいっ」

 少女の舌の動きが激しさを増してくると、ついにヘルガ少佐は肘を折り、ベッドのシー
ツに背を付けて悶えた。仰向けになった女主人に遅れまいと、ラナも美女の陰唇を頬張っ
たまま、身を乗り出すようにして追いかけた。だがその瞬間、いきなり身体を反転させな
がら身を起こしたヘルガ少佐は、自分の秘所から離れようとしないラナをそのまま引きず
るようにして、体勢を入れ替えてしまった。
 逆に仰向けになってベッドに横たわったラナの顔に、ヘルガ少佐が上からまたがる姿勢
になった。そして上半身を起こすと、美女はその柔らかな臀部を幼い少女の顔面を押し潰
すかのように体重をかけた。

「ひぐうっ、…ううう…うぐ………っ!」
 窒息しそうになりながらも、ラナは女主人の臀肉の割れ目をかき分けるようにして顔を
埋め、下をさらに秘所の奥に向かって突き立てた。鼻先がヘルガ少佐の真っ赤な真珠のよ
うな陰核に何度も当たり、その度に騎乗位の美女が全身をビクンとくねらせる。
 薄目を開けて見あげると、その動きに合わせて豊満な乳房が激しく揺れるのがよくわか
った。

『きれい…』
 顔に押しつけられる金色のヘア越しに見える、揺れる乳房の美しさにうっとりと見とれ
ながら、口唇愛撫を続けるラナに、ヘルガ少佐はさらに腰を使って陰唇を少女の口にこす
りつけた。

 真下からの秘所への奉仕を強制し、背筋に電流が走るのを何度も感じて身悶えする親衛
隊将校は、そのままわずかに上半身をのけぞらせると、左手をぐっと伸ばし、ラナの股間
にもぐりこませた。そして一瞥もしないまま、幼い未発達な、しかしすでにぐっしょりと
濡れている蕾の淫部をなぶり始めた。

 性の喜びをつい先日教え込まれたばかりで、絶対的な時間としてはろくに自慰をしたこ
ともまだ数えるほどしかない少女の秘部は、まだ半分痛みと感じられるほどに敏感だった。
ヘルガの細く滑らかな指が無毛の小丘をまさぐり、そして固い割れ目をめくるようにこす
りつけると、ラナは電気ショックの拷問を受けたかのように全身をひきつらせた。

「ひあっ!!くうう…ぅんん!ああ、はああああ…あんっ…!」
 思わずラナはヘルガの陰唇から口を離し、魚のように口をパクパクさせながら喘ぎだし
た。そして背中をえびぞらせて、背中をねじって悶えた。

「舌がお留守よ!休ませないで!」
 鋭い叱咤の声が、上になったヘルガ少佐の口から飛んできた。

「!…は、はい……」
 びくっと一瞬身を凍らせた少女は、股間をまさぐられる痛がゆい感覚に耐えながら、再
び舌を突き出すと、支配の女神の神殿への奉仕を再開した。

「うふうっ、はあっ、はあ、はあっ…、うううぐっ……!」
 従順な少女奴隷の仕事ぶりに満足しながら、ヘルガは自分自身の快楽にひたすら埋没し
た。自分の指捌きに過剰なほどに反応する下僕の悶絶が、とりわけ腰掛けた尻の下に押し
潰されたラナの愛らしい乳房の先が突き刺さるほどに固くしこっとくるのが、臀肉に直接
伝わってくる。そしてその悶絶にも耐えながら、舌を使って奉仕する少女のけなげな姿は、
さすがに冷酷無情の女将校の目にもいじらしく見えた。

 その舌の動きがますます激しくなり、少女の身体のねじれも大きくなった。それに合わ
せるように、ヘルガ少佐の上半身を振る動きもさらに荒々しくなっていく。華麗な金髪を
嵐雲のように激しく振り乱し、かけたままの眼鏡の背後から、汗とも涙ともつかない液体
が流れ落ちた。
 ラナもまた女主人の尻に顔を埋めたまま、全身を貫く快感に幼い肉体を燃え上がらせて
いた。上から降り注がれてくるヘルガ少佐の汗の滴が、あたかも欲望の炎に注がれる油の
ように、悶える少女の額にいくつも落ちた。

「ああ、はあああううんんんっ!!…、……う、くはああああっ…!」
 バネ仕掛けの人形のように、ヘルガ少佐の上半身が跳ね、そして固まったまま痙攣する。

「んんんっ、んぐう、ふは、は、はああああああっ…!!はああ……っ!」
 主人の陰神殿に舌を差し入れたまま、ラナも耐えきれずに口を大きく開け、自分の唇と
ヘルガ少佐の陰唇の間から喜悦の叫びをあげた。

 ラナの顔に上から押しつけられていた秘所がひくひくと痙攣しながら、どっと蜜があふ
れ、少女の舌を潤し、口腔を満たした。むせ返るような大人の女性の味と香りに、少女は
窒息しそうになりながらも、必死で喉を鳴らし、蜜を呑み込んでいった。
 同時に、ラナのまだ幼い淫部をまさぐっていたヘルガ少佐の指先は、そこに熱いものが
湧くのを感じとっていた。

 力が抜けて前のめりに両手をついたヘルガ少佐は、そのまま左脚をあげてラナの顔から
股間を離し、ベッドに仰向けに横たわると、やはり仰向けのまま新鮮な空気を久しぶりに
顔に受けてぜいぜいと呼吸しているラナと並ぶようにして、息を切らしながら全身に広が
る快感の余韻に浸った。

 しばらく寝台の上で呆けていたラナだったが、ふと我に返ると、ハッとして起きあがり、
ベッドから下りようとした。ご主人様の尊い寝台の上で召使いの自分が寝転がっては、ヘ
ルガ少佐の逆鱗に触れる無礼だと思ったからである。

「し、失礼いたし…きゃっ!」
 慌てて転がり降りようとしたラナの右のおさげ髪が、いきなり掴まれて引き止められた。
そしてそのまま引きずられるように、少女はベッドの上に再び仰向けにさせられた。
 何が起こったのかとっさにわからなかったラナの顔に上に、再び美女の秘部が上からの
しかかってきた。しかし、今度は方向が違う。さっき自分の鼻先に触れていたルビーの秘
芯は、今度はあごの先あたりに位置している。そして少女の視線の先には、豊満な双肉の
合間の、蜜の余韻を浴びてつややかに輝く赤紫色のアメジストにすら思える美しい肛門が
見えていた。

 上半身の差を解決するべく、ヘルガ少佐は自分の背中を丸め、少女の股間に顔が届くよ
うにすると、そのまま体重をかけて覆い被さった。
 成人女性の豊満な、そして絹のように滑らかな肌触りの肉蒲団で全身を包まれ、ラナは
再び煩悶と恍惚の二つを同時に味わった。

 しかし次の瞬間、女主人の言葉にラナは戦慄した。

「いいこと?私と同時にイキなさいっ。これは命令よ。一秒でもずれたら、お前には厳し
い罰を与えるわ」

「あう、そ、そんな…ああっ!」

 すでにヘルガ少佐の舌は、ラナの幼い秘所をくまなくまさぐり始めていた。まだまだ生
硬な小娘とはいえ、たったいま女主人の巧緻な指技で絶頂に導かれたばかりである。敏感
になったいる上に、それを覆い守るヘアも全く生えていない剥き身である。
 明らかに出遅れてしまったレースに、しかしラナはけなげにも舌を伸ばして、さっき奉
仕したのとは逆方向の動きでヘルガ少佐の陰部を舐め始めた。

 純白のレースに覆われた豪奢な寝台の上に、ぺちゃ、ぺちゃと蜜を舐める淫猥な舌の音
がデュエットで鳴り響く中、幼いジプシーの少女と、帝国の理想体型を誇る美女の肉体は
卍巴に絡みあい、シックスナインの快感に縺れ続けた。

 だが、そもそもの彼我のテクニックに格段の差がある上に、スタートでも出遅れてしま
っていたラナに、女主人の命令を遵守する可能性はほとんど残されてはいなかった。手加
減もなく少女の秘所を窮極の舌戯でなぶり尽くしていくヘルガ少佐の攻撃に、ラナはたち
どころに絶壁にまで追いつめられた。

「いや、いっちゃう、いっちゃうぅ…っ」
 冷酷な親衛隊将校の命令に従えなければ、どのような処罰が下されるかもわからない。
その恐怖にラナはすくみ上がったが、それでも自分の肉体の昂ぶりを抑えることは、非力
な少女には無理だった。
 狭い秘裂の奥にまで少佐の蛇のような舌が滑り込んで、今までわざと触れずにとってお
いた敏感な場所をまさぐり、同時に前歯の先でしごくように幼いクリトリスを刺激すると、
もうラナは落下していくしかなかった。

「あ…あああう、ひいん、ひああああああああああっ……っっっっ!!!」



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