*A week・第4日目(1)
T.MIYAKAWA
その日の朝、ベッドの側で何かが動く気配に王子は目を覚ました。
王子は昨夜、スカーレットに寝入っているところを襲われた事を思い出した。
その時に王子は童貞を奪われてしまったのだ。
しかし、一緒に寝ていたスカーレットは起きてもうここにはいないはずだった。
自分の隣にいる気配が気になって目を開けると、その正体を知って王子は驚いた。
王子の隣にいたのはイザベラだった。
「おはようございます、王子様。」
王子と目が合ったイザベラは笑顔で朝の挨拶をした。
「どうして僕のベッドにいたの?」
「ええ、起こそうとしたけど、あなたの寝顔が可愛かったので、つい添い寝したく
なったんですよ。」
王子の質問にイザベラは優しく答えた。
イザベラの話によると、スカーレットが部屋を出るのと同時に彼女が入れ替わるように
入ってきたという事だった。
「スカーレットさんはここに来る途中に会いましたよ。」
イザベラはこんなセリフを付け加えた。
間もなくしてエスメラルダがタオルと水の入った洗面器を手にやって来た。
「さぁ王子様、起きたら顔をきれいにしましょうね。
誰からも恥ずかしくないように、身支度はきちんとしてくださいね。」
エスメラルダから受け取ったタオルを搾りながら、王子にこう言ってきた。
濡らしたタオルを手にイザベラは王子の顔を拭き始めた。
タオルの程良い温かさとイザベラの優しい手つきのためか、王子は特にこれといった
抵抗はしなかった。
顔を拭き終えた時だった。
イザベラはいきなり王子の寝間着を脱がし、そのまま体を押し倒してしまったのだ。
「えっ、何をするんだ!?」
「あら、逃げちゃダメでしょ。
寝汗をかいてたから、今度は体を拭いてあげますよ。」
驚く王子にイザベラは耳元で小さく囁いた。
王子の体に密着しながら、イザベラは体を拭き始めた。
イザベラの衣装は裸に近いもので、体を包む布はボディラインが分かるくらい薄く、
胸と腰の部分には別に皮と布が包まれていた。
王子の視線はそんな彼女の姿を体を拭き終わるまで離れないでいた。
「さぁ、これできれいになりました。
早くお食事にしましょう。」
イザベラにいわれた王子は、着替えを終えて食事を始める事にした。
エスメラルダが用意した料理を食べ終えた王子は食後のお茶を飲んでいた。
「ねぇ、王子様。
お食事がお済みになられた事ですし、これから私の部屋に来ていただけませんか?」
お茶を飲んでいる王子に、イザベラはこんな話を持ち掛けてきた。
「どうして?」
「…あなたに私の事をもっと知ってもらいたいからです。」
イザベラのこの言葉を聞いた王子はカップをテーブルに置いて、彼女の方に視線を
向けた。
王子はこれは何かあると思い、すぐに返事をせずにしばらく黙っていた。
「さぁ、早く行きましょう。」
待ちきれなくなったのか、イザベラは王子の手を引いたまま部屋を出た。
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