*A week・第3日目(7)

T.MIYAKAWA




 時間はしばらく経過したも、王子の両手はまだスカーレットの両胸を掴んでいた。
 そんな状態でも、スカーレットは何も言わず王子の方を見つめていた。
「私をベッドから追い出そう追い出そうとしたいでしょうけど、そんな事させないよ。」
「……。」
 スカーレットに図星をつかれて、王子は何も言えなかった。
「手に力が入らなかったのに不思議だと思ったでしょ?
 さっき飲ませた薬の効き目が出たんだからね。」

「薬だって?」
 薬と聞いて、王子はさっきの口づけの際に飲まされた事を思い出した。
「私もここに入る前に飲んだけど、体が興奮してきたでしょ?
 それに、体が熱く火照ってくるでしょ?」
 スカーレットに言われて、王子は自分の体の異常にようやく気が付いた。
 両手に力が入らなかったのはすぐ分かっていたが、体中特に下半身が興奮状態に陥って
いることは今になって気が付いたのだ。

「この薬ね、イザベラからもらったの。
 王子様を喜ばせたいからって話したら、役に立つんじゃないかなって言ってこれを
くれたのよ。」
 イザベラの名前を聞いた王子は、顔をしかめてきた。
(…プラムの時と同じだ。)
 プラムとの一夜を思い出した王子は不安を隠せず、顔を青ざめていた。
 そんな王子に対して、スカーレットの方は興奮のためか顔を赤く染めていた。

「僕をどうしようというんだ?」
 スカーレットの顔を横で見ながら、王子は尋ねた。
 動揺する王子をスカーレットはまじまじとした目で見つめていた。
「私はね、君と一つになりたいのよ。
 プラムや天海は遠慮していたけど、私はもう我慢が出来ないのよ。
 いいでしょ?」
 スカーレットは王子の顔に近づきながら、真剣な目で言ってきた。


次のページへ MENUへ 前のページへ