*A week・第1日目(1)(改訂版)

T.MIYAKAWA

この投稿小説は女騎士の城様と共同掲載です。

 「ホラ、いつまで寝ているの。
 さっさと起きなさいよ!」
 突然の大声が、早朝の部屋中に響いた。
 目を覚ました王子は半分寝ぼけた顔をしながら上体を起こすと、ベッドの側には
プラムが立っていた。
 さっきの声の大声の主は彼女であった。
 「な、何をするんですか?」
 「何って、起こしにきたに決まっているでしょ。
 他のみんなはもう起きてるよ。」
 無理やり起こされた王子は文句を言おうとしたが、プラムの言葉に反論する事が
出来なかった。

 「もうご飯出来ているから、早く食べなさいよね。」
 王子はプラムにせかされるように着替えを済ませると、急いでテーブルの
方へと向かった。
 王子が席につくと同時に、メイドが食事を運んできてくれた。
 食事はパンとサラダ、そしてスープの三品のいたってシンプルな献立だが、
見映えの良さと食欲のそそるにおいは王子を満足させるのには十分過ぎるものだった。
 「ねえ、どうしてそんなに急いで食べてるの?
 別にせかしていないけど?」
 「え?」
 プラムが王子の食べる様子を見てこう言ってきた。
 その言葉に王子は思わず手の動きを止めた。
 「それだけおいしかったってわけね。」
 「…う、うん。」
 プラムの問いに王子は少し間を置いて答えた。
 彼女の言う通り、王子はこの食事が気に入っていたのだ。
 「照れなくていいよ。
 恥ずかしい事じゃないから、気にしないで食べてね。」
 プラムはそう言いながらグラスを王子に差し出した。
 「?」
 「はい、コレも飲んでね。」
 グラスに目を向ける王子にプラムは飲むように促せた。
 王子はプラムに言われるまま、中の飲み物を飲み始めた。
 やがてそれを飲み終えると、プラムは大瓶からグラスに注ぎ足して
お代わりを用意した。
 「まだお代わりがあるから、もっと飲んでね。」
 そう言って、プラムは王子にもっと飲ませようとした。
 「う、うん。」
 プラムに言われて王子は何度も飲み続けた。
 王子がお代わりを何杯か繰り返すうちに大瓶は空になった。
 あまりの量を飲まされた為、王子は息を切らしていた。
 「フフ、全部飲んでくれたのね…。」
 プラムはそんな王子の姿を見て、何やら意味ありげな笑みを浮かば
せていた。
 この時の王子には、それを知る由もなかった。



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