バラステア戦記

第9話

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カルム山道の戦いに勝利したアイルランガ王ランガ=ハルは、王宮で戦勝パーティを開催
した。そしてたった2千の兵で奇襲を仕掛け、敵軍を大混乱に落とした将軍・アリアは一
躍国の英雄となり、ランガよりアイルランガの大将軍に任命された。
 これまでアリアをよそ者としか見ていなかったアイルランガの武官・文官達はそろって
アリアに取り入ろうとした。戦勝パーティでアリアは休む暇なく酒をつがれることとなっ
た。
(ふん・・・調子にのりおって。所詮一度戦に勝っただけではないか)
そのアリアの様子をおもしろくなさそうに見ているのは宰相のゼルである。野心家である
彼は自分以外の家臣達の台頭を許してこなかった。彼は策士で、国政を自分の思うように
動かす為に王宮内に独自の人脈を築いてきた。実際、国政に王のランガが関わることはあ
まり無く、ほとんどはゼルの思うがままになっている状態であった。
(わしをないがしろにしおって・・・このままでは捨て置かぬ)

リュウは、リンスのもとを訪れていた。
「この度の勝利、まことにおめでとうございます・・・リュウ、無事でなによりでした」
「姫・・・」
リンスの、そのとても涼やかな笑みがリュウの心をうつ。リュウは、思わずリンスを抱き
しめていた。
「リュウ・・・・」
「姫・・・戦はまだ続きますが、あなたは私が必ず守ります」
リンスのドレスを通して、その鼓動が伝わってくる。リンスのその透き通るような白い肌
に、リュウは目眩を起こしそうにすらなる。
「姫・・・・」
リュウが顔を近づけると、リンスは目を閉じた。そっと口づけると、リンスの体が一瞬震
えたような気がした。二人にとって初めてのキスであった。
(俺は必ずこの人を守る。そしてバラステアを破って父さん、母さん、姉さんの無念をは
らしてやる)

 「随分ひどい目にあったようだな」
「ははーっ。申し訳ありませぬ。卑怯な奇襲に合い・・・・・」
「戦に卑怯も糞もない」
カルム山道でアイルランガ軍に大敗を喫したバラステアの将・バランはカルノアの前に跪
いていた。
「陛下、どうかもう一度機会をお与えください、次は必ずや・・・」
その時、黒い装束を全身に纏った長身の男がカルノアの前に進みでた。
「敵にはかなりの策士がいるようですな」
ドラゴン・マスターのクレファー・ロロイである。
「バラン殿には荷が重いかもしれん」
「何と!?今回は確かに不覚をとったが同じ過ちを繰り返すわしではない」
クレファーは「ドラゴン・マスター」の異名をとる帝国随一の名将である。暗黒剣の達人
で、「ブラック・ソード」と呼ばれる黒い大剣を操り、その軍略は「神の計りしごとし」
と言われるほど深い。そして暗黒の召還魔法を使ってドラゴンを呼び出し、を意のままに
操って敵軍を攻撃させるのだ。
「確かに武勇でバラン殿にかなう者が敵にいるとは思えぬが、油断の出来る相手ではない
ようだ」
「クレファーの言うとおりだな」
「あん・・ああ・・ああ・・あう・・・」
カルノアはバランやクレファーがいる前で、その話をききながらも美しい少女を犯してい
る。バランがカルム山道で戦をしているときにクレファーがアイルランガとは別の国を攻
め滅ぼし、ゼキスードへ連行した王族の姫であった。
「ああ・・・うう・・・ああ・・ああああ・・」
やがてカルノアがその中に欲望を放出すると、いつものように口で後始末をさせる。
「よし、今度はクレファー、おまえにまかせよう。敵将は女だったと聞く。そやつも捕ら
えてわしの前に引きずりだせ」
「はっ。必ずや敵をうち破りアイルランガの美姉妹を陛下の前に連れて参ります」
クレファーは感情を表に出さない男である。無表情でカルノアの命令を受けると、皇帝の
部屋を後にする。
「バラン」
「・・・はっ」
「戦に勝ち負けはつきものだ。いくら武勇に秀いでたお前でも時には敗れることもあろう。
これはねぎらいだ。受け取れ」
そう言うとカルノアは今まで自分が犯していた少女をバランの方へ蹴飛ばした。
「これはありがたき幸せ!遠慮なく頂戴いたします」
そう言うとバランはさっそく鎧を脱ぎだす。
「ひっ!?いやああああ!」
バランは姫の体をつかんで尻をたかく上げた姿勢にさせると、熱くなったモノをいきなり
後ろから挿入した。
「いやああああああ!」
そだちのいい姫は、たとえ犯されたとはいえ複数の男性と交わることなど考えられないこ
とである。
「くう・・・いい締まりだぜ・・・」
大柄なバランが激しく腰をストロークさせる。
「ああ・・あう、あう・・・いやあああああ」
姫は泣き叫んで逃れようとするが力任せに押さえつけられる。小柄ながら揺れる乳房は後
ろからバランに揉みしだかれている。
「ああああ・・・ひどい・・・どうか・・・お許しを・・・」
「そりゃ!そりゃ!そりゃ!」
やがてバランも姫の中に白濁の毒を放出させた。
「ううう・・・・」
バランに激しく攻められた姫は気を失って倒れた。
「では陛下、いただいて帰ります」
バランは気を失った姫を肩に担ぎ上げると、皇帝の部屋を後にした。
カルノアは窓から見える魔砲台の大きな砲口を見た。
(間もなく魔砲台は出来上がり世界はこのカルノアの前に屈するだろう。しかしその先に
は何あるのか)
魔砲台は海を越え、大陸を越えたはるか彼方の国まで破壊して焼き尽くす威力を持ってい
る。富と権力、そして世界中の美しい女を自分のものにする為にカルノアは世界征服への
道を歩んできた。数々の国を滅ぼし、蹂躙してきた。
(世界の王をなったその先には・・・・)


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