バラステア戦記

第二十五話

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「はあっはっはっは!燃えろお!奴らもろとも燃えつくすのだ!!」
魔剣から放たれた地獄の業火は恐るべき速さで樹海を包み込もうとしていた。
部隊の一部が怒号が発した。
「敵です!奴らたまらず出てきたようです」
バランの目が赤く不気味に光る。
「よし、一人残らず捕らえてみな殺しにしろ!」

「全員突撃だ!!」
レッド達はひとかたまりとなって駒を走らせる。そして包囲するバラステア軍と衝突した。
「おおおおりゃ!」
レッドが大剣を振り回しながら敵軍ど真ん中に突撃していく。バラステア兵達は次々に首
を飛ばされ、レッドは海を割るように敵軍の中を突き進んだ。
「硝煙弾を投げ込め!!」
レイラ達が硝煙弾を敵の中へ投げ込む。バラステア軍は黒い煙に包まれた。
「今だ!突破しろ!!」
レッド達は混乱するバラステア軍の中駒を飛ばした。
(ゴオオオオオオオオ)
その時、紅蓮の炎がレッド達を取り囲むように地面から吹き上がった。
「くっくっく・・・・貴様らもここで終いよ」
立ち上がる火柱の中から姿を現したのは、炎の魔剣を構えたバランであった。
「敵将・バランか!」
「若造が・・・・名を名乗れ」
「カディス=ジークのレッド・サーキュイス!」
名乗るなりレッドはバラン目掛けて突進する。大剣を振りかぶり渾身の一撃を放つが、バ
ランはそれを魔剣で払いのけた。
「なかなかやるな・・・相手になってやろう」
レッドとバランは騎馬上で激しく打ちあった。吹き上がる炎の中、両軍もその様子を固唾
を呑んで見守っている。
「がああああああああああっ!!」
バランが渾身の一撃を放つ。
「くっ!!」
さしものレッドも受け止め切れずにはじき飛ばされて落馬した。
「とどめだあ!」
バランが剣を構えると、魔剣が赤く光を放って炎を噴出す。
「死ね!!」
バランの強烈な一撃がレッド目掛けて振り下ろされる。だがそれを味方が払いのけた。
リュウである。
「バラン!今度は俺が相手だ!」
「貴様は・・・・」
「アリア隊のリュウだ!カルム山道では討ちもらしたが今度は逃がさぬ!」
リュウは速い攻撃を繰り出す。バランはそれを防ぐので精一杯となる。
「アリア隊だとお・・・?笑わせるなっ!!」
バランの目が大きく見開かれる。魔剣の先から炎が噴出してリュウを攻撃する。リュウは
素早くかわすと、身を返してバランとの間合いを取る。
「アリアなら今頃クレファーに犯されてひいひい鳴いておるわ!!女将軍を気取っておき
ながらとんだ淫乱女だったというわけだ」
「だまれえっ!!」
レイラがバランにクロス・ボウを放つ。不意をつかれたバランはかわすことが出来ず、強
弓はその右肩に深く突き刺さった。
「ぐわああああっ!」
「アリア将軍のことを悪くいうことはこのあたしが許さない!」
レイラはバラン目掛けて突撃する。
「おのれえ・・・・・」
レイラは小刀を両手に構えてバランを攻撃する。
「貴様・・・誰かと思えばわしに処女を貫かれたアリア隊の女ではないか!あれだけ輪姦
されておきながらまだ生きておったか!」
「バラン!おまえを殺すまでは死んでも死に切れるものではない」
レイラは馬上から宙を舞い、バランの駒に飛び移った。そして甲冑の隙間から除くバラン
の頚動脈を掴むと激しく締め付けた。
「ぎゃあああああああっ・・・・おっ・・・おのれえええええ!!」
バランはもがきながらも魔剣の炎をレイラの体に燃え移らせる。地獄の業火が美しいレイ
ラの髪と体を焼く。
「レイラ !!」
「副長!!!」
だがレイラはバランの首から手を離そうとしなかった。その体は焼かれながらも、戦いの
の中に人生を送ってきた女戦士は最後の華を咲かせようとしていた。
やがてバランの体にも炎が燃え移る。
「女あああああ!!離せ!!燃える!!離せええええ!!」
レイラは最後の叫びを上げた。
「リュウ!!アリア様を頼むぞ!!」
「副長!!」
地獄の業火が巨大な火柱となりバランとレイラの体を包む。
レッドは騎馬にまたがると、全員に指示を出した。
「突破だ!この場を突破するんだ!!」
呆然と立ち尽くすリュウを殴りつける。
「リュウ!しっかりしろ!レイラの死を無駄にするな!」
バランを失ったバラステア兵たちもわが身を焼かれまいと炎の中を逃げまどっている。
その中をカディス=ジークのメンバー達は駆け抜ける。
「うおおおおおおお!!」
リュウも狂ったように奮戦した。バラステアとの戦いを運命づけられた者たちの悲しい戦
いであった。
そしてレッド達は血と埃にまみれながら地獄の樹海地帯を走りぬけ、混乱するバラステア
軍の包囲を突破した。百名ちかくいたメンバーは十数人にまで減っていた。
「休むな!作戦を実行するんだ。死んでいった者たちの為にも!バラシティへ!ゼキスー
ドまでこのまま走るんだ!!」
レッドやリュウたちは丸二日間休まずに帝都を目指した。バラステア軍の追撃も無くなっ
た。そしてゼキスードの巨大でおぞましいシルエットが彼らの前に姿を現す。
(リンス・・・・スーチェン、ルル・・・・・アリア将軍・・・・・!!)

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