ネイロスの3戦姫


第4話その2.非情なる闘技  

 ルナがヒムロに捕らえられていたその頃、黒獣兵団の団長ブルーザーとセルドックに強
姦されていたエリアスとエスメラルダは、黒獣兵団の兵達によって宮殿の闘技場に連行さ
れていた。
 宮殿内部にある闘技場は、元々デトレイドの戦士達が、お互いの技量を歴代皇帝の御前
で披露する為に設けられた神聖なる場所であったが、今は暴君ダルゴネオスが暇つぶしの
ために奴隷や捕虜を戦わせて楽しむ為の闘技場に成り果てていた。
 そして今回、闘技場で見世物として格闘させられる事となったのが、エリアスとエスメ
ラルダであった。
 半径10m程のアリーナの周囲には観客席が設けられ、多くの兵達が集まっている。
 「えー、只今よりネイロスのエリアス、エスメラルダ両戦姫と、わが黒獣兵団が誇る女
狂戦士、ギルベロ、ラーガとの試合を行いますっ!!」
 アリーナ中央に立っている司会進行役男が、大げさな声で試合の開始を告げた。
 「まずはネイロスの戦姫、エリアスとエスメラルダの入場であります。」
 司会の男がアリーナの右手を指差すと、鎧と手足の装備を身に着けただけのエリアスと
エスメラルダがヨロヨロとした足取りで姿を見せた。
 「姉様、大丈夫?」
 「ええ、なんとか・・・私達をこんな目に会わせて・・・これ以上何をさせる気なの。」
 ブルーザーとセルドックによる強姦の責め苦を受けている2人は、腰に力が入らず互い
の体を支えながら何とか立っている。心身ともに疲弊しきっており、とても戦えるような
状況ではない。
 しかし、そんな2人を好奇の目で見ている荒くれた兵達が、否応無しに戦わねばならな
い状況を作り出していた。
 「次に、狂乱のカマキリ女ギルベロ。そして怪力のムカデ女ラーガが入場致しますっ。」
 司会の紹介で現れたのは、両手に鞭を持つ、ギラギラした目付きの銀髪女と、褐色の屈
強な体にムカデの刺青をした大女であった。
 「イーッヒヒ〜ッ!!キャーッハハッ!!」
 2本の鞭を振り回しながら狂ったように笑うカマキリ女ギルベロ。
 「グフフ〜ッ・・・」
 指をポキポキ鳴らしながらエリアス達を睨むムカデ女ラーガ。
 「なにあの2人・・・あれでも女?」
 「一応そうみたいね。」
 眉をひそめて2人の女狂戦士をみるエリアス達。
 「お前達の武器だ、受け取れ。」
 エリアス達の前に木剣と棒術の棒が差し出された。
 テンションの上がる闘技場の観客席から、わあっと歓声が上がる。
 その声に答えるように、ロイヤルボックスからセルドックがメガホンを持って姿を見せ
た。
 「エリアス、エスメラルダ。お前達に助かる為のチャンスをくれてやろう。そこの2人
の女戦士を倒せばネイロスに身柄を返してやる。ただし、負けた時は・・・俺様と黒獣兵
団の荒くれどもの奴隷になってもらうからな。いいなっ!?」
 メガホン片手に非情な命令を下すセルドック。
 「なにが身柄を返してやるよ・・・始めから返す気なんか無いくせに。」
 「あのチビ助、舌ひっこぬいてやるっ。」
 苦々しくセルドックを見ている2人。
 「オラオラッ、どっち見てんだよっ、シカトしてんじゃねーよっ!!」
 バシーンと鞭で地面を叩く音が響く。
 「なにやってんだっ、さっさと始めろオラッ。」
 観客席から兵達の怒声が上がる。
 慌てた司会の男が半歩下がって両手を掲げた。
 「試合開始、レディー・ファイッ!!」
 司会の声と共に、兵達が声援を送る。もちろん、女狂戦士達にだ。
 「私はカマキリ女と戦うわ。あなたはムカデ女をお願い。」
 「わかった。」
 高速の鞭で攻撃してくるカマキリ女ことギルベロには、技とスピードを誇るエリアスが
相対する。
 「キヒヒッ、あんたのキレイな顔、ズッタズタにしてやるわよぉ〜。」
 「その前にあなたの顔をボコボコにしてあげる。」
 対峙するエリアスとギルベロ。
 隣のムカデ女ラーガは武器を持っておらず、両手の拳に皮のグロ−ブを装着しており、
肉弾戦を得意とするパワータイプの戦士だ。
 「グフッ、あたしの相手はあんたかい、赤毛のボーヤ。」
 ボーイッシュなエスメラルダを見たラーガが、タラコ唇を舐めながら太い声で笑った。
 筋肉モリモリの女傑であるラーガは、どう見ても女とは言えない。
 「ボクは立派な女の子だよ。あんたこそ付けてくる物間違えたんじゃない?筋肉オバさ
ん。」
 「ぬあにィ〜ッ!!、だれがオバさんだ〜っ!!」
 激怒したラーガが猛烈な勢いで突進してくる。
 「パワーなら負けないっ。」
 棒を振りかざしたエスメラルダは、ラーガの胸板目掛けて一撃を食らわせた。
 「ふんっ。」
 打ち下ろされる棒を左腕でガードする。
 「でやーっ!!」
 力任せにラーガを撃ちまくるエスメラルダだったが、ラーガの強じんな肉の鎧が打撃を
全て跳ね返す。
 「あたしの体は鋼鉄製だよ〜。あんたの攻撃なんか屁でもないよ小娘がっ!!」
 「うあっ。」
 ラーガの鉄拳がエスメラルダを襲い、腹部に一撃を食らったエスメラルダが宙に舞う。
 「エスメラルダ!?」
 一瞬目を逸らしたエリアスにギルベロの鞭が飛んできた。
 「きゃっ、あ!?」
 鞭の一撃がエリアスの胸を覆う鎧を弾き飛ばし、美しい巨乳が露になる。
 「ああっ・・・。」
 慌てて胸を隠すが、片手で胸を隠している体制では攻撃が出来ない。
 「ヒヒッ、そんな格好で戦えるのかい?」
 「くっ・・・」
 乳房が露になるのを覚悟で、両手で木剣を構えるエリアス。その上半身裸の体に、長い
鞭が絡みついた。
 「あうっ!?」
 「うりゃーっ、まわれーっ!!」
 ギルベロが鞭を強引に引っ張ると、エリアスの体が回転しながら地面に転げた。その勢
いで腰の鎧も弾け飛ぶ。
 「キャーッハハーッ!!」
 エリアスの露になった巨乳に、背中に、尻に、情け容赦無い鞭の連打が襲う。
 「あうっ、ひっ、いいっ。」
 「オラオラーッ、どうした、どうしたーっ、ウヒャヒャヒャヒャーッ。」
 奇声をあげ、巨大な鎌を振り回すカマキリの如く、丸裸のエリアスを打ちのめすギルベ
ロ。
 「あ、姉様・・・」
 腹部を殴られて倒れていたエスメラルダが、鞭で打ちのめされるエリアスを助けようと
気力を振り絞って立ちあがった。
 「さっさとネンネしなっ、ボーヤッ!!」
 強烈なラーガの蹴りが炸裂する。
 「あぐっ!!」
 再度地面に転がされるエスメラルダ。
 「さあて、仕上げだ。」
 凶悪に笑うラーガは、エスメラルダをうつ伏せに寝かすと、太ももに両足を乗せ、エス
メラルダの足首を自分の膝の裏に絡めた。
 「地獄を見なっ!!秘技、吊り天井固めっ!!」
 そして両手首を掴み、仰向けに転がった。
 「あう、あひいいっ!!」
 エスメラルダは両手足を後ろに回したまま、高く吊り上げられた。手足の関節が逆方向
にねじられ、悲鳴を上げる。
 「そらそらっ、ギブアップかいっ!?」
 「だ、だれが・・・ギブアップなんか・・・するもんか・・・」
 手足をねじられながら、気力だけで抵抗するエスメラルダ。
 「へーえ、がんばるねえ、ボーヤ。」
 吊り天井固めをうけるエスメラルダに、エリアスを倒したギルベロが歩み寄ってきた。
 「このカマキリ女・・・」
 「ヒャハハッ、こうされても強がっていられるかい?」
 そう言いながら、ギルベロは動けないエスメラルダの鎧を上下全て外した。
 「ああっ!?あ・・・やめてーっ!!」
 豊かな乳房と赤い陰毛に覆われた秘部が露になってしまった。
 「いいぞーっ、もっとねじ上げろっ!!」
 観客席の兵達が喝采を浴びせる。
 「あう・・・うう・・・あ。」
 痛みと恥辱によって力を失って行くエスメラルダ。
 「よーし、もういいだろう。」
 ラーガはそう言うと、吊り天井固めからエスメラルダを解いた。
 「はうっ・・・」
 地面に倒れ伏したエスメラルダは、関節の激痛の為、立ち上がれなくなっていた。
 「おいっ、どっちの勝利だっ!?」
 ラーガが司会の男に罵声を浴びせる。
 「あ・・・し、勝者、ギルベロとラーガっ。」
 「ヒャッホーッ!!」
 司会の声に、女狂戦士たちは勝ち鬨をあげた。
 「ま、待ちなさい・・・まだ負けてないわ・・・」
 エリアスの声に振り向く2人の女狂戦士。そこには木剣で体を支えながら歩いてくるエ
リアスがいた。
 「フン、往生際の悪い女だねぇ。」
 相棒に目配せをされたラーガは、コクッと頷いてエリアスに歩み寄り体を抱え上げた。
 「な、何をするのっ、離してっ!!」
 叫ぶエリアスを持ち上げたラーガは、観客席まで歩いて行くと、猛り狂った兵達の真っ
只中に全裸のエリアスを投げ入れた。
 「うひょ〜っ、待ってたぜエリアスちゃんっ!!」
 「きゃあああっ!!、いやーっ!!」
 ケダモノと化した兵達は、我先にエリアス目掛けて殺到した。
 「ああ・・・姉様ーっ!!」
 兵達の餌食にされるエリアスを見たエスメラルダが叫び声を上げて立とうとする。しか
し足元がよろけ、裸のまま空しく転げた。
 「お前の負けだなエスメラルダ。約束通り、お前は今日から俺様の奴隷だっ!!」
 エスメラルダが顔を上げると、そこには陰湿に笑うセルドックがいた。
 「だまれっ、ボクはお前の奴隷になんか・・・あぐ・・・」
 「いやでもなるさ、俺様の手に掛かればなぁ、イーッヒヒッ!!」
 「そんな・・・この・・・チビヤローッ!!」
 セルドックの笑い声と、悲痛なエリアスの叫び声がエスメラルダの耳に響く。
 絶体絶命の危機に立たされた2人の戦姫は、あがらう術も無いまま、狂ったケダモノ達
に蹂躙された。



次のページへ BACK 前のページへ