ローザ姫の悲運第二部:白百合美少女親衛隊
第一話:白百合挺身隊
神光寺雅
「姫様をお捜ししなければ」
「いえ私たちの身を挺してでもお助けせねば」
ローザ姫の失踪以来数限りなく行われた捜索はそのいずれもが不発、失敗に終わり、国の中にもあきらめと失望の色が漂っていた。母君は失望のあまり床に伏せり、国中がローザ姫の救出を願ったのだが。
だが・・攫われたのが姫と2人の侍女いずれも女の身、たとえ生きていても・・・無事ではすんではいないだろう。
時間がたつにつれて、その考えが姫様救出の妨げになっていった。
しかし、ここに決してあきらめていない一団があった。
ローザ姫の少女親衛隊白百合隊である。8人の年若い少女達は。姫のよき友人として、城の中では警護に当たった部隊である。だがそこは少女達のみの部隊。親衛隊とは名ばかりの貴族の娘達のお友達会はあったのだが。
すっかり伏せってしまった王妃の信頼を得て、捜索活動に当っていた。
ローザ姫が行方不明になった池。そこまでは分かっていた。岩場に姫のハンカチを発見したからだ。
親衛隊のリーダーでもある、ロゼットが謁見の間で国王に進言した。
ローザ姫と同じ年、背丈もほぼ同じで、金髪の美しい少女だ。
「私たちが囮となって、姫を攫った悪党どものアジトを見つけ出し必ずや姫をお救いして見せます」
「なにを無謀な、そのような策がうまく行くと思うのか」
国王はロゼットを一喝した。
たしかに。ローザ姫行方不明の唯一の手がかりがあの池にあることは分かっていた。
国王も女刺客を雇い、囮として池に行かせたことがある。それとは分からぬように周りを兵士で囲み罠をかけたのだ。だが、刺客の女のみが攫われ、誘拐犯を捕らえるどころか、アジトを見つけることも、証拠の一つも手に入れることはできなかったのだ。
犯罪者が山賊のたぐいであること、山の中の洞窟に隠れ住んでいることなど、推察はできるが、洞窟は無数にあり、特定することすら不可能な状態だった。
白百合隊は近隣貴族の娘の集まり。そんな娘達を危険な目に遭わすわけにはいかない。
国王はそう考えていたのだ。
娘のローザのことが心配でないはずもない。だからこそ同じ年頃の娘達に危険な目には遭わせられない。
「国王様が私どもと同じ策をとられたことは存じております。ですが・・」
ロゼットは身を乗り出して国王に進言した。
「生意気とかお考えになられるかと存じますが。兵士達がいたこと、気づかれたのではと考えております・・」
「なんと・・」
「敵は簡単にはだまされないでしょう。ですが、私どもであれば油断するのではと存じます。・・」
「うむ・・・・」
「国王様が私どものみの安全を一番に心配されていることはありがたく思います。ですが今は手段を選んでいる時ではないと思います。それに・・」
「私どもにも覚悟がございます。ユーリアあれを国王様にお見せして」
ロゼットのそばにかしずく黒髪の少女が、胸元から書状をだして。うやうやしく国王に渡す。国王が開くとそこには少女達の連名で決意が書かれていた。
ローザ姫少女親衛隊白百合隊は今日限り、すべての命と操を賭して、ローゼ姫救出にあたることを・・お誓い申し上げます
「ロゼット・・お前達は」
国王は認めざるを得なかった。
こうしてローザ姫少女親衛隊白百合隊はローゼ姫救出に向かうことになったのだ。
ロゼットは彼女たちなりの策を考えていた。
ローザ姫に背格好の似ているロゼットはローザ姫のドレスを借り。普段は後ろで縛っている髪を下げて、姫様になりすます。
池に行くとユーリアとリヒテが貴族の娘らしく姫にかしずく。他の5名は、親衛隊の制服のまま茂みに隠れるという配置だ。
「ここで姫様が・・・」
ロゼットは姫のハンカチが見つかった場所にたった。それはあの岩場だ。
「姫様はここでなにをしておられたのでしょう?」
リヒテが遠い目でローザ姫の笑顔をおもい出す。
「以外と水遊びかもしれない。気を遣う外交のお仕事のあとだったのだから・・」
ロゼットはそういうと、岩の上に乗り、ドレスの裾をめくって足を池の中に入れた・。
「ほら・・気持ちいいよ^^」
「ロゼッタ様」
ユーリアもリヒテもにっこりとほほえんだ。
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