ダーナ氷の女王 第二部 第1話 1
獣人達の村
ダーナ姫が悪魔の手に落ちて、一年が過ぎようとしていた。
獣人達の村では相も変わらず貧しい生活が続いていた。
だが、そんな村にも二つの変化があった。
それは
「こらっ!マナ!」
「にゃあ〜ん!ここまでおいで!」
小さな港もこれまた小さな漁船が入ったときだけはにぎわう。
他になんの獲物も野菜も育たない砂漠の村であっても、豊富な漁獲量が獣人達の命綱だ。
男達が船からあげる獲物の中から、一番の大物を狙って奪い去った娘がいた。
猫族の特性である朱敏な動きで狩りをする。
「お、親方、すみません」
こんなときいつも謝るのはガインの役目だ。娘だから仕方がない。
「なあに、お前の取り分だ。娘が取りに来ただけだ。何も心配はいらねえよ」
「あとできつくしかっておきますから・・・」
ガインは頭を下げることしかできない。
獣人だけの小さな村、久々の子供は村中の宝だ。
とはいえ・・・。
「いいんだが、あの子の母親はどうしたんだ?」
「母親がいないとしつけも大変だろうが?」
「へ、へい・・・・」
その話になるとガインは決まって口を噤んでしまう。