ダーナ氷の女王 1話 1
地球によく似た星TIA。
この星の南の局には『静かなる島』と呼ばれる巨大な氷山に包まれた島があり、そこには、かって古代文明の悪霊と戦った、聖龍(フルメタルドラゴン)が眠っていた。
『静かなる島』に隣接する小さな島国グリンウエルズは、人口1万人ほどの小国であったが、豊富な海洋資源よって潤っていた。
グリンウエルズの人々は、聖龍をあがめ、聖龍と心を通わす巫女を送り出していた。
聖龍の巫女は18歳となった乙女が務めるが、この国においては名誉ある役目であり、少女達の憧れでもあった。
次期の巫女に予定されているこの国の王女ダーナは、来春の使役を心待ちにしていた。
グリンウエルズの短い夏が終わり、冬を迎えようとしていた頃。この国にめずらしく来訪者があった。他の大陸の漁師であった。長い間の漂流の末、この地に流れ着いたという漁師達を、快く迎え入れる。
特に、他国の人間を初めてみるダーナ姫は興味津々で何度と無く彼等の話を聞き、やがて彼等に与えられた納屋をも訪れるようになる。
しかし、男達はただの漁師ではなかった。この世界を再び悪霊の物とするために暗躍する『砂漠の魔女』の手下達だった。
やがて、冬があけ、ダーナ姫が巫女の洗礼を受ける日がちかづいた。