鞭と髑髏
Peitsche und Totenkopf /隷姫姦禁指令

Female Trouble





第5章・汚穢の地獄 Die Hoelle der Rueckstaende(四)



「アハハハハハハハハっっ!!」

 静寂と闇を引き裂くような驕慢な高笑いが、石床に倒れたまま腰を痙攣させて放心する
クラリス姫の耳に突き刺さった。随喜と屈辱の涙が、公女の視界を遮るように流れていた。

「…イッたわねっ!他人の目の前で、自分の手で!何て恥知らずな!犬だって交尾を見ら
れるのは嫌がるのにね!一国の公女ともあろう者が、人前で自慰に耽る姿を曝すなんて、
犬以下ね!」
 自分が命令したことにも関わらず、ヘルガはクラリスの恥辱をさらに抉るように責め立
てた。
「…それがお前の本性よ、クラリス姫。貞淑で無垢な美しい顔の下に、鞭に打たれて悦び、
痴態を見られて興奮する、ケダモノの本性を隠した淫乱女なのよ!」

「いやあ、言わないで、そんなの、違う…」
 弱々しく呻く公女。

「どこが違うの?自分の左手を見てごらんなさい、その指をべったり濡らしている愛液は
何なの?変態!淫乱公女!」

 公女どころか人間としての尊厳すら紙屑のように踏みにじられ、クラリスはもう、何も
かもがおしまいだと思った。絶望の淵に追いやられたクラリス姫を、しかし親衛隊将校の
サディズムはさらに深淵にまで突き落とそうとしていた。

 石畳に顔を伏せて屈辱にむせび泣く公女の耳に、ドボンッ…と水しぶきの音と、それに
続いて、水にむせるか弱い悲鳴が聞こえた。逆さ吊りにされていたラナの両脚を縛ってい
た鎖が解かれ、桶の水の中にそのまま落下したのだろう。
 顔を上げられないままのクラリスは見ていなかったが、ラナはどうやらのたうちながら
も桶から外に転がり出ることができたらしい。

 だが、それを確かめる間もなく、突っ伏していた公女はいきなり荒々しい衝撃と痛みと
ともに乱暴にひっくり返された。ヘルガ少佐が、その黒光りするごつい革のブーツで、ク
ラリス姫の脇腹を蹴り上げたのである。
 苦痛に喉を詰まらせたクラリスに、今度は息も継がせないほどの乗馬鞭の洗礼。

「恥知らず!人間のクズ!痛い目にあって、悔いなさいっ!」

「いやあ、許して、許してください…っ!!」
 またも柔肌に鞭の雨を受けて、クラリスは亀のように蹲るしかなかった。

「…許さないわ、許すもんですか」
 凍りつくような声は、奇妙に笑っていた。
「ラナ!」
 溺死の恐怖からやっと回復しかかっていた奴隷少女に、親衛隊美女が矢のような声を放
った。
「そこの缶と、バスケットを!」

 まだ時おり咳き込みながらも、ラナは命令に従い、部屋の片隅に置いてあった籠と、高
さ数十センチほどの牛乳用ブリキ缶を引きずるように運んだ。
 石畳に牛乳缶が当たる音に目を上げたクラリスを、ヘルガ少佐はいきなり両手で押さえ
つけた。もがく間もなく、公女は両手を同じ側の足首に手枷でつながれた。さらに、足首
の手枷には金具で1メートル近くの鉄棒までが固定された。クラリス姫が我に返ったとき
にはすでに、お尻を上に突き出して、しかも秘所も何もかも丸見えになるまで股を開いた
姿勢で、うつぶせに固定されてしまっていた。

「い、いや…ああ…」
 麻痺しかかった羞恥心がまた頭をもたげ、公女はもぞもぞと身をよじり、股間を隠そう
と空しいあがきを見せたが、何の役にも立たない。陰唇も、そしてその上の不浄の菊門も
露わにして、クラリス姫にはなすすべもなかった。
 ふと、昨夜のカールのことが、獣姦寸前の恐怖が公女の脳裏をよぎった。もし、この姿
勢で荒くれだった獣がのしかかって来たなら、何の抵抗もできずに凌辱されてしまうだろ
う。それを思うと、公女は恐怖と絶望が背筋を走るのを抑えられなかった。
 だが、クラリス姫はまだ知らなかった。それとは比較もできない絶望が待ち受けている
ことなど。

「汚らわしい、淫乱な、恥知らずの王女さまっ!」
 クラリスの後頭部の栗毛を乱暴に掴んで、その顔をえびぞるまで持ち上げたヘルガ少佐
は、こわばった顔の公女に向かって、この世のものとも思えない笑みを浮かべて言った。
真っ赤な唇が、邪悪な弧を描いた。
「艶やかな髪、青い瞳、白い肌…。この綺麗な外見の皮一枚下には、どんなきたならしい
汚物が詰まっているのかしらね」

 その言葉の意味が咄嗟にわからない公女をよそに、親衛隊美女がラナの運んできたもの
を一瞥した。
 バスケットの蓋を開けて、中から取りだしたものは、クリーム色の琺瑯をひいた洗面器
だった。いつもラナがこのバスケットに入れて、注いだ水にタオルをひたし、いたぶられ
た身体を優しく拭ってくれるのに使っていた、いつもの見覚えのある洗面器だった。

 だが、その次に出てきたものは、いつもの水差しでもタオルでもなかった。それは、闇
の中でもきらめく反射光も重厚な、ガラス製のシリンダーだった。1リットルは優に入る
容量のシリンダーは、しかし注射器ではない。注射針を着けるはずの先端は、滑らかに磨
かれた肉厚の管状になっていたのだ。
 女将校は、そのガラスシリンダーの先端を、横に立っていたミルク缶の中に入れた。そ
して、その中に真っ白に新鮮な牛乳を一気に充填した。
 
 クラリス姫も、ラナも、この親衛隊美女が何をしようとしているのか、はっきりとわか
った。
 だが、公女が拒絶の悲鳴をあげるよりも早く、ヘルガ少佐はシリンダーを突き上げられ
たクラリスの臀部の中心に向けて突き出した。そして、冷たいガラスの先端部分が何の躊
躇もなく、公女の恥辱の肛門にズブッと埋め込まれた。

「ひあああっ!」
 ガラスの冷たさと鉱物的な固さが、直腸粘膜に染み込み、経験したことのない異物感に
可憐な公女は引きつけのような悲鳴をあげた。そして次の瞬間、凄まじい勢いで凍てつく
ような液体が公女の胎内に注入されていった。

「いやあっ、やめて、やめてえっ!」
 排泄器官に逆流するように押し流れてくる牛乳の冷たさに、クラリスが感じたのは恐怖
だった。苦痛でも、もちろん快感でもない未分化の感触が、自分の身体の奥でじわじわと
脹らんでいく。内側から自分が侵略されている、その恐怖にとらわれ、公女は悲痛な叫び
をあげた。

 シリンダーを奥まで押し込み、一滴残らず牛乳を出し切ったのだろう。ヘルガ少佐がガ
ラスシリンダーを引き抜いた。1リットルものミルクを一気に注入されたせいで、クラリ
ス姫の下腹部は不自然にぽこんと膨らみ、そしてすでに牛乳の冷たさで過敏な腸が悲鳴を
あげだしていた。

「もう一本」
 ヘルガが振り向いた。
「お前がやりなさい、ラナ」
 眼前の光景にすっかりすくんでいたジプシーの少女に、その主人がきっぱりと命じなが
ら、ガラスのシリンダーを突きつけた。
「下賤な侍女ごときの奉仕に溺れるような淫乱公女のせいで、お前は今、罰を受けたのよ。
お前が溺死しかけたのは、このアバズレ女のきたならしい性根のせいなのよ。さあ、お前
の手で、この穢れたプリンセスを浄めてやりなさいっ」

 ずっしりと重量感のあるガラス製の浣腸器をその手に無理矢理持たされ、そのボリュー
ムの大きさにクラリス姫の受ける責めの厳しさを実感し、ラナは途方に暮れて震えた。こ
れ一本だけでもあの可憐で華奢な公女の肉体にはきつすぎる負担のはず。
 それが二本、しかも自分がやらなくてはならない…。
 本心では絶対にやりたくないことなのは当然ながら、それを拒絶するすべなどあるはず
もなく、ラナは震える手で重たい浣腸器の先端をミルク缶に入れて、ギリギリとシリンダ
ーを引くしかなかった。

 一方、石床に尻を突き出した姿勢でうつぶせに拘束されたままのクラリス姫は、すでに
顔を真っ赤にして顔をしかめ、下腹部に染み込む牛乳の冷たさと、それがもたらす便意に
耐えていた。
「う……ううう…、く、うあ…はあ、はあ、は…ああ……」
 唇を噛み、ぎゅっと閉じた目に涙を浮かべ、ぐるぐる…と鳴る腹部に耳を塞ぎたいと思
いながら、公女は押し寄せる生理現象の波に洗われている。

 その悲痛な姿に、ラナは目を伏せつつ、ためらいながらも、たっぷりミルクを充填した
ガラスシリンダーを手に、公女の背後に回った。
 もじもじと丸い二つの臀丘をくねらせ、その谷間を必死で閉めようとしているクラリス
姫は、すでに全身に不快な脂汗をにじませている。見えない反対側の顔の方からは、時お
り悲鳴のような呻きが漏れてくる。

「さあ、入れてあげなさい」
 冷酷な親衛隊美女の命令の声に、ラナはおずおずと左手をクラリス姫の尻肉に当てた。
その感触にビクッと震えたクラリスの、ヌメヌメした秘所の上にある、ルビー色に仄暗い
アナルを、ラナは初めて目にした。すでに汗と溢れたミルクで濡れている狭穴は、奥から
圧迫してくるものを抑え込もうとヒクヒクと痙攣している。

「いやあ…やめて、お願い…私、もう…ああううっ!」
 肛門をいとしい少女に見られる恥辱と、そして双臀を押し広げられて便意を刺激された
ことの苦しさに、クラリス姫は唸るように懇願した。

 しかしラナには他に選択肢はなかった。申し訳なさに俯きながら、忠実な幼い侍女は敬
愛のプリンセスの肛門に、ミルク浣腸の先端を差し込んだ。

「…いやああっ!!もうこれ以上は、だめ、ダメぇ!」
 再びガラスの感触を直腸の入口に感じて、クラリスは首を振って悲鳴をあげた。

 プリンセスの哀願に心の中で詫びながら、ラナは意を決してシリンダーを押した。また
も冷たい牛乳がクラリスの腸内に注入されていく。それが、先ほどの第一弾の引き起こし
た便意と正面衝突を起こし、内部で凄まじい混乱の渦を巻き起こした。

「あああ、いやああああああああああああっっ!!」

 絶叫する公女を、今度は不快な腹痛が直接襲った。膨れあがった腹部を埋め尽くす液体
が、行き場を失って美少女の腸壁を不自然に圧迫していく。
 浣腸器を突き立てられた高貴な肛華からは、あたかも紅薔薇の蜜が溢れるように、真っ
白いミルクが隙間ににじみ、双丘の谷間に沿ってつーっと流れて石畳に滴った。
 クラリスの苦痛を長引かせない方が良いと思い、ラナはあえてできるだけ早くミルク浣
腸を終わらせようと、力をこめてシリンダーを奥まで押した。こうして、クラリス姫の胎
内には2リットルもの浣腸液が、不浄の排泄の美孔から叩き込まれた。

 命令を遂行して、自分のその行為に耐えられないかのように、ラナが壁際にそそくさと
離れると、その一部始終を眺めていたヘルガ少佐が、最初に籠から取り出したあの洗面器
を手にして、再びクラリスの背後に立った。そして、洗面器を公女の尻の下に置いた。そ
して、怖ろしいほどの静かな声で、苦悶する美しい姫君に宣告した。

「さあ、クラリス姫、お前の淫乱などす黒い汚物を、ここにぶちまけなさい」

「いやあ、こんな、こんなあっ!わたくし、耐えられないいっ!お慈悲を、お願い、おね
がいいっ!」

 だが、その哀願の悲鳴がこの地下室に反響し終わらないうちに、クラリス姫の肛門から
は、その意志に反して、激しい勢いで白い牛乳が噴出し始めた。恥辱と同じ、いや、それ
よりもはるかに強烈な、骨盤の奥まで砕けるような排泄の快感が爆発するのを感じながら、
クラリスは悲鳴をあげることも忘れて硬直した。

 吹き出てくる牛乳の奔流が、異様なほどに長く続き、それが一瞬勢いを緩めた刹那、可
憐な公女の肛門から、褐色の塊がいくつか、ミルクで白く包まれながら、むりむりっと押
し出されて、濃厚な牛乳が溜まった洗面器の中に落ちた。クラリス姫の恥辱の排泄物が、
ミルククラウンを弾けさせながら、洗面器の底に重なっていった。
 やっと便意から解放されて、クラリスは苦痛と引き替えに、今度は今までに感じたこと
もないほどの絶望感に沈むしかなかった。人間の尊厳を欠片残らず全て粉々に打ち砕かれ
たことが、排泄してしまった大便の匂いとともに否応なく突きつけられた。
 涙があふれて頬を濡らす公女は、なおも胎内に残っていた牛乳浣腸液と、そして内容物
を肛門から排出し続けていた。

 屈辱の浣腸調教がやっと終わっても、クラリスは泣き続けていた。洗面器の中には、褐
色の固形物が数個、これも腸液でうっすらと茶色に濁ったミルクの中に浮いていた。

 その時、ヘルガ少佐がつかつかと壁際に向かうと、悲惨さに倒れそうになっていたラナ
の髪をむずと掴んだ。そして、無造作に引っぱってクラリスの側に押し倒した。しなだれ
るように倒れ込んだラナの目の前に、突き上げられたままのクラリスの尻と、その下の洗
面器があった。

「ラナ、お前も悪い娘ね。クラリスに誠心誠意で奉仕しているような顔をしながら、こう
して辱めを与えるなんて」
 邪悪な唇をニヤリと歪ませて言い放つヘルガ少佐の言葉に、ラナは真っ青になって硬直
した。
「あんなに酷い勢いで浣腸液を入れるなんて、私もできなかったわ。侍女のくせに、ある
じに苦痛をより激しく与えるなんて、面従腹背とはこのことねっ!」

「そ、そんな、あたしは…」
 泣きそうな顔になって、ラナが否定しようとした。

「違うと言うの?」
 親衛隊美女の目がぎらりと光った。
 頷くラナに、ヘルガは言った。
「ならば、お前の奉仕がどれほどのものか、私にもクラリス姫にも証明なさい」

「…え?」
 とまどう少女に、絶対の支配者として再びヘルガ少佐が鞭を突きつけて命じた。

「その、汚らわしい、人間以下の存在になった公女の大便を、お前が食べてやりなさい」

 含み笑いすら漏らして言い放った女将校の言葉に、地下室の空気が凍った。
「お前が浣腸したんですもの。お前自身で片付けるのよ」

 有無を言わせぬ、その命令に、ラナは従うしかなかった。

 ラナは前屈みになって洗面器に顔を近づけた。
 ミルクで覆われているとはいえ、すでにそこには普通なら耐え難い臭気が漂っていた。

「っ!!ラナちゃんっ、だめ、だめええっ!」
 拘束されたまま顔を必死で回し、自分の排泄物を強制的に食わされそうになっている少
女を何とか止めようとするクラリスだった。が、ラナはすでに意を決したように目を閉じ、
震えながらも洗面器にさらに顔を寄せていた。

 そして、ついにラナの小さな唇が、ミルクに浮いていた塊の一つをくわえた。汚穢の塊
である大便を、ラナはそのまま口の中に含んだ。鼻が曲がりそうな悪臭を放つ排泄物を、
ラナはむせながらも思い切って歯で噛み切った。新たな臭気と、そして凄まじい苦みが溢
れるのもかまわず、少女は大便を必死で咀嚼し始めた。

「そうよ、もっとよく味わいなさい。憧れの姫君の、大好きなプリンセスのウンチですも
の、きっとこれ以上ないほどのごちそうなのよね、お前にとっては」

 ヘルガ少佐のなぶるような言葉を耳にしながら、ラナは涙を流しながらも、スカトロジ
ーの拷問に耐え続け、少しずつ汚物を喉の奥に押し込んだ。腸液と大便で濁ったミルクす
らもすすり、ラナは必死でクラリスの大便を犬のように口だけで喰らい続けた。

「…汚らわしいっ、大便食いの変態小娘!」
 いきなりヘルガが叫んだ。
「お前ももう人間じゃないわ。人前で自慰に耽り、排泄までやって人間以下に堕ちたクラ
リスの、さらにその糞まで食ったお前は、人間以下のさらにその以下になったのよ!糞虫!」

 ヘルガの罵りも耳に入らないかのように、ラナはひたすら敬愛する公女の大便を食い続
ける。

「いいこと、ラナ、お前にはもう人間の食べ物は与えないわ!お前はこれからずっと、こ
の淫乱公女がひり出す大便だけを食って生きるのよ!人間便器!」
 そしてヘルガは、ヒステリックにクラリスにも怒鳴るように言い放った。
「クラリス姫、せいぜい毎日せっせと与えられたものを食べて、長生きすることね。死の
うなんて思うんじゃないわ。忠実な侍女が飢えないように、たっぷりうんこを出してやり
なさいなっ…。ふ、ふふ…きゃはははははははははははははははははは……!」

 親衛隊将校の神経質な哄笑が響き渡る地下室に、別の声が混じりだした。

「…あ”あ”…あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っっっっ!!!」

 肺を絞り出すような濁音の悲鳴が、クラリスの喉から溢れた。恥辱と屈辱と、絶望と悲
哀が、哀れな公女の全身を貫いていた。
 

続く

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