*A week・第4日目(2)

T.MIYAKAWA



 王子はイザベラに手を引かれながら、塔の1階まで降りていき、二人はそのまま
地下室の入り口へと足を運んだ。
イザベラの部屋はこの地下室の奥深くにあるのだ。
「足元が暗いですから転ばないように気をつけて下さいね、王子様。」
 イザベラはぎこちのない歩き方で暗い階段を歩く王子に囁き掛けると、手を握って
地下に続く階段を降りていった。
階段を下ると、その先には通路が続いていた。
 その通路を進んだ王子はその先にあるイザベラの部屋に辿り着いた。
「ここが私の部屋です。
 さぁ、どうぞお入り下さいませ。」
 こう言いながらイザベラは扉を開けると、王子の手を掴んでまま部屋の中に入って
いった。

イザベラの部屋はやや薄暗い雰囲気だった。
 棚には本の他に、実験に使う薬品や器材が並べられていた。
 部屋の真ん中にあるテーブルに王子を案内させると、イザベラは部屋の奥へと入って
いった。
 王子が椅子に腰掛けると、棚側の隣の壁の方に目を向けた。
 壁にはイザベラがこれまで作ったものと思われる薬等も材料や作り方が書かれた
メモが何枚も貼られていた。
「お待たせしました。」
 間もなくしてイザベラがティーセットを手に姿を見せた。

ティーセットをテーブルに置くと、それぞれのカップにお茶を注いでいった。
「さぁ、どうぞ。
 このお茶、私のお気に入りなんですよ。」
お茶を入れ終えたイザベラは王子の向かい側の椅子に腰掛けた。
 王子はカップのお茶をじっと見つめていた。
 お茶からは独特な香りが漂い、王子を心地よい気持ちにさせた。
「王子様、こちらのお菓子もいかがですか?
 これも私のお気に入りなんですよ。」
 そう言って、イザベラはお茶と一緒に持ってきたお菓子を王子に薦めた。
 イザベラに促された王子はお茶とお菓子を口に運んだ。
 それらはどちらもとてもおいしく、王子を十分に満足させた。
(確かに薦めてくれるくらいのおいしさだ。)
 食べながら王子は心の中でそう思った。
「王子様、天海さんのお茶もいいですけど、こちらのもいいでしょ?」
 イザベラの質問に王子の手は止まったが、何も言えないでいた。

「ところで、さっき部屋で言っていた事だけど…。」
 王子は部屋を出る前にイザベラが言っていた話を尋ねようとした時だった。
(ど、どうしたんだ?
 何だか急に意識が…)
 王子に突然目眩が襲ってきた。
 同時に王子はテーブルにうつ伏せで倒れ込んでしまった。
 意識が遠のく中、王子の目には妖しい笑顔を浮かべるイザベラの姿が映った。

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