*A week・第2日目(2)

T.MIYAKAWA


 長い下り階段を長い時間を費やして降りていった。
 やがて、1階と王子の部屋のある階のちょうど中間の階まで降りたときであった。
 「ここが私の部屋よ、さあ入って。」
 天海の言葉に王子は、言われるままにドアを開けて部屋の中に入った。
 部屋に入ると、王子は天海の部屋から感じる異国の雰囲気に心を奪われた。
 それは今まで王子が感じた事のないものだった。

 「どうぞ、ごゆっくりおくつろぎくださいね。
 今お茶とお菓子をご用意しますから。」
 天海はそう言って王子を部屋の座敷に座らせると、そのまま部屋の奥へと
入っていった。
 王子が座敷でしばらくくつろいでいると、天海がお茶とお菓子を入れたトレーを手に
戻ってきた。
 「用意が出来ました。
 待たせましたか?」
 そう言いながら天海はトレーを座敷に置いてそのまま座りはじめた。
 「そんなに待ってないから大丈夫だったよ。」
 「そう、じゃあすぐにお茶を入れますね。」
 王子の返事に安心した天海は手馴れた手つきでお茶の準備を始めた。
 「さあ、お茶が入りましたよ。」
 天海はそう言って王子にお茶を手渡した。
 「あ、ありがとう。」
 「お菓子も召し上がって下さいね。
 とてもおいしいですから。」
 お茶を受け取った王子に天海は自分が用意したお菓子も勧めた。
 天海はお茶を飲み始めながら話を始めた。
 話はしばらく尽きる事が無く、数時間ほどの時間が経過していった。
 「実はね、女王様もこのお茶を気に入ってくれたの。
 お茶が飲みたくてこの部屋にわざわざ来てくれたのよ。」
 「そうなんだ…。」
 天海のこの言葉に王子の声が少し沈んだ。
 というのも、王子は自分がその女王に引き渡される事をすっかり忘れていたからだ。
 この時、王子は自分が今おかれている現実を思い出したのだ。
 「そういえば、もうすぐお昼になりますね。」
 天海はそう言って話をいきなり中断した。
 さっきまで呆然していた王子は天海の今の言葉で我に返った。
 「それじゃ、僕はここで…。」
 そう言って王子が立ち上がろうとした時だった。
 「待って、せっかくだからここで召し上がりませんか?」
 「ええっ!?」
 天海の言葉に王子は驚いた。
 天海は王子を引き止めようとしているのだ。
 「いいでしょ?
 昼食ぐらい付き合ってくれるでしょ。」
 この天海の言葉はまるで王子を帰さないかのように聞こえた。
 「…わかった、じゃあここで…。」
 王子は天海に押されたのか、彼女の誘いに応じたのだ。
 しばらくすると、部屋からメイドがやって来て2人分の食事を運んできた。
 こうして王子は天海の部屋で昼食をとることとなった。

 「ご馳走様でした。」
 食事が終えり、王子は一息ついた。
 「おいしかったですか?」
 「ええ、食事を2度もご馳走してもらえるなんて思っていなかったよ。」
 天海の質問に王子は満足そうな顔で答えた。
 「それでは、僕はもうこの辺で…。」
 王子はそう言って、部屋を出ようと立ち上がった時だった。
 廊下側から足音が近づいてきたのだ。
 「天海様、いらっしゃいますか?」
 ノックと共に声が聞こえた。
 天海がドアを開けると、彼女の部下と思しき兵士がドアの外に立っていた。
 王子が見たところ、その兵士は見慣れない容姿であった。
 「あら、どうしたの?」
 「お休みのところ申し訳ありません。
 スカーレット様が急用があるとおっしゃっていましたので…。」
 兵士の言葉を聞いた天海は立ち上がると、部屋の奥で衣服の着替えを始めた。
 「王子様、急用が出来てしまいました。
 すぐ戻ってきますのでここで待っててくださいね。」
 「ええ、ちょっと…。」
 王子は天海を呼び止めようとしたが、天海はそのまま部下と共に部屋を
出て行ったのだ。
 「一人だけになったな…。」
 部屋の中一人だけになった王子はポツリとこう呟いた。

 天海はすぐ戻ると言っていたが、多少はかかるであろうということは王子には
分かっていた。
 それでも、天海が部屋を出てからそれほど時間がかかっていないにもかかわらず、
その経過時間が倍にかかっていると感じている王子の気持ちは落ち着かなかった。
 本来ならここから逃げるチャンスなのだが、王子はその事は考えに入って
いなかった。
 というのは、王子は勃起している自分の股間が気になっていたのだ。
 天海がいた最初の時は気付かなかったが、股間が膨らみズボンを突き出して
いたのだ。
 「…こ、これは。」
 王子はズボンとパンツを下ろすと、大きくそそり立った自分の股間に驚いた。
 「あ、熱くなっている。」
 そう言いながら、王子は自分の股間を握り始めるとふと天海の姿が脳裏に映って
きた。
 天海の着物に隠れている大きな巨乳が王子の目に映ったのだ。
 「彼女の胸、大きかったな…。」
 王子はそんな事をつぶやきながら、股間を握った手を動かし始めた。
 手を擦るように動かすほど、股間がさらに大きく膨張してその先端から透明な液体が
出てきたのだ。
 そのまま手の動きが早くなろうとしたときだった。
「ただいま、待ったかしら?」
 ドアの向こうから声がしてきた。
 王子がドアの方を向くと、天海がすでに戻っている事に気が付いた。


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