*A week・第2日目(1)

T.MIYAKAWA


 王子が目を覚ましたのは、夜明けの頃だった。
 王子は昨日より早く起きたと思ったので、少し寝直そうと思ったが、
プラムがまた起こしに来ると思ったのでそのまま起きる事にした。
 そう思って王子は枕元を見てみると、隣で添い寝していたプラムがいないことに
気が付いた。
 プラムは王子よりも早く起きてすぐ部屋を出て行ってしまったのだ。
 王子は昨夜プラムに飲まされた酒と母乳のせいか、尿意を感じたのでベッドから
出てトイレへと足を運んだ。

 「おはようございます、王子様。」
 トイレから戻ってきた王子を挨拶で迎えたのは天海だった。
 天海はエプロン姿で王子の朝食の準備をしていたのだ。
 「天海様が王子様の食事の準備をどうしても作りたいとおっしゃって
いましたので。」
 エスメラルダは天海の手伝いをしながらそう説明した。
 「驚いたよ、あなたが食事の準備をするなんて…。」
 「そうかしら?
 女の子が料理をするのは珍しくないと思いますけど。」
 王子の驚いた反応にたいして天海は笑顔で応じた。
 「さあもうすぐ出来上がりますから、席について待ってて下さいね。」
 天海に促されて王子は席に着くことにした。

 天海が作ってくれた料理を食べた王子の顔は、あまりのおいしさに思わず
笑顔がこぼれた。
 「おいしいですか?」
 天海に尋ねられた王子は何も言わず食べながらうなずいた。
 「喜んでくれてとても嬉しいです。
 私も作ったかいがありました。
 王子様には朝から栄養のある物を食べてもらいたかったのですから。」
 そう言って天海は自分の作った料理を夢中に食べている王子を見つめていた。

 「王子様、よろしかったら私の部屋に来ていただけませんか?」
 天海は食事を終えた王子にこんな話を持ち掛けてきた。
 「ええ、どうして?」
 王子は天海のこの突然な誘いに驚いた。
 「私の事、もっと王子様に知ってもらいたいからです。」
 「で、でも急に言われても…」
 驚きがまだ隠せないでいる王子を見た天海は立ち上がり、王子の手を取った。
 「さあ、行きましょう!」
 そう言って天海は王子の手を引いたまま、半強制の形で部屋を出て行った。
 王子は自分を見送るエスメラルダの姿を見ながら不安でいっぱいだった。
 と言うのも、この時の天海の笑顔に何かあると直感したからだ。
 (きっと何かありそうだ…。)
 そう思いながら王子は時折、天海の顔を見ながら足を運んだ。



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