バラステア戦記

第十九話

009


リュウが目を覚ますと、どこか民家の中のようであった。
(ここはどこだ・・・・俺は一体?)
リュウはすぐに自分がおかれた状況を理解出来なかった。
(そうだ・・・・俺はソード・ロックに居て・・・・)
要塞崩壊の瞬間の記憶が序々に蘇ってくる。あの時巨大な暗黒竜が現れ、アリアが飛び込
んでいったのだ。そして・・・・
「お気づきになりましたか」
リュウの寝ている部屋に1人の少女が入ってきた。年の頃は14、5であろうか、目のぱっ
ちりとした可愛らしい少女である。カルム地方特有の民族衣装を身につけている。要塞近
くの民家の娘だろう。
「具合はいかがですか」
「あの・・・・俺は・・・・・」
「あなたは三日間眠り続けていたのですよ」
「・・・三日間!?」
「はい。要塞の近くで倒れていたのを家の者がかついできたのです」
「アイルランガ軍は・・・・・アリア将軍は・・・・・!?」
「要塞は崩れてアイルランガ兵はみんな捕まりました。アリア将軍はバラステアの将軍の
妻になったとか・・・・」
「・・・・そんな!!」
リュウは起きあがろうとしたが腰と脚に力が入らず、ベッドから落ちてしまった。
「まだ無理をなさってはいけません。あなたは脚を怪我しているのです」
(アリア将軍・・・まさかそんな)
リュウはパニックに陥っていた。要塞は崩れ落ちた・・・アリア将軍はあのクレファーの
妻となったのか・・・・?スーチェンやルルは・・・・・・そしてリンスは・・・・リン
ス姫はどうなったのだ?
「フォフォフォ・・・客人、お気づきですな」
大柄な老人が部屋へ入ってきた。顔には無数の傷がある。肩には農家の者が使うとは思え
ない大剣がかつがれている。
「ここは・・・一体・・・・・?」
「ここはカルムの山賊・ガルサン一家の隠れ家だよ」
「ガルサン一家だと!?」
ガルサン一家と言えばカルム山道に住みつく山賊集団で、以前アリアがカルム山道でバラ
ンの率いるバラステア軍を奇襲攻撃て打ち破った時に罠を作るのを協力した者達だった。
どちらかと言えば反バラステア側の者達だが金の為ならどちらの味方にでもなるのである。
「あの時はアリア様に世話になったが今回は負け戦だったようだな。お城は落ちたよ。あ
んた見たところアイルランガ兵だろ?あの美しいお姫様達もバラステアに連れて行かれち
まったみたいだ」
「くっ・・・・・・」
リュウは絶望した。自分の家族を殺した憎きバラステア軍に、あのリンスまでも捕まって
しまったのか・・・・リュウは自分の脚をさすってみたが全く感触がない。治るまでには
まだまだ時間がかかりそうだ。
(リンスを・・・・助けに行けないなんて)
あの美しい星の精霊が敵に捕らわれてしまった。どんな目に遭うかは想像がつく。
リュウは悔しくて涙が止まらなかった。自分の無力さを思い知らされていた。
「・・・・さあ、何か食べないと体に毒ですよ」
「メイ、放っておけ。今は1人にしてやるのだ」
ガルサンは娘を連れて部屋を出ていった。リュウのすすり泣く声だけが続いていた・・・・
・・。

「陛下、只今戻りました」
「おう、クレファーか。ご苦労であった」
バラシティへ帰還したクレファーとバランは皇帝カルノアに戦果を告げた。
「陛下のお望みの者を連れて参りました」
「くくく・・・・アイルランガの美姉妹だな。さっそく余の前へ引き出せ!」
(くくく・・・今夜は噂の美姉妹を散々に犯してくれるわ)
カルノアは待ちに待った絶世の美姉妹の到着に興奮を隠しきれない。
「さあ、こちらへきて陛下にご挨拶をせよ」
バラステアの美しいドレスを着せられたリンスとリリーが皇帝の間へ姿を現した。その美
しさに重臣一同、そしてカルノア取り巻きの属国の姫達も思わず感嘆の声をあげた。
「こ・・・・これは・・・・・!」
カルノアは予想以上のリンス達の美しさに一瞬声が出ない。精霊のような美しい顔立ち、
ながくしなやかなブロンドの髪・・・・・そして男を狂わすであろう整った体型に思わず
見とれてしまう・・・・
(なんと美しい姉妹なのだ)
カルノアは激しく勃起した。かつて属国の姫達を散々に貪ってきたカルノアだが、こんな
美しい女に会ったことはなかった。毎日何度も好きな女を抱いてきたが、ここにきて激し
い性欲がカルノアを包み込む。
(なんという欲に駆られた目なのでしょう・・・)
リンスとリリーを凝視するカルノアの目は血走り、大きく見開かれている。二人の美しい
得物を捕らえようとする獣の目である。
「よく来たな、アイルランガの美姉妹よ。ここに来たからには私の一切の言動に逆らうこ
とは許さぬ。逆らえばアイルランガの民はみな殺しとなるであろう」
「あなたは卑怯です」
リンスは毅然としてカルノアを睨みかえした。
「何とでも言うがいい。この世は所詮強き者が勝つのだ」
そう言うとカルノアはリンスに近づき、ドレスの下から手を入れると、リンスの豊かな胸
を直に揉んだ。
「何を・・・・・!」
「逆らえば民が死ぬぞ」
(ああ・・・・)
カルノアは被虐の笑みを浮かべてリンスの胸を揉みしだく。周りで大勢の重臣達が見守る
中、リンスは屈辱に耐えなければならなかった。
「くっくっく・・・なんという柔らかい乳房だ・・・・体も最高ではないか・・・・・」
「やめて・・・ください・・・・」
リンスは思わず涙を流す。今まで王国の姫君として周りから大事に扱われてきた身分から
は考えられない状況である。妹のリリーもその様を脅えながら見守るしかなかった。
カルノアは2本の指でリンスの可憐な乳首をつまむ。リンスは声が出そうになるのを必死
にこらえている。
(くっくっく・・・・陵辱に耐える表情も何とも魅力的ではないか・・・・・)
カルノアはリンスに顔を寄せると、その唇を奪った。
「ううんっ・・・・」
リンスの口の中に陵辱者の舌が侵入してくる。リンスはその汚辱感を必死に我慢する。涙
がとまらないその表情を見て、カルノアの被虐心はさらに高まっていく・・・・



次ページへ 前のページへ MENUへ