バラステア戦記

第十話
(ソード・ロック)

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 カルム山道の戦いから数週間の後、リュウ達は再び出陣することになった。再び来るで
あろうバラステア軍に備えてのことである。アイルランガとバラステアの国境・カルム山
道の西に「ソード・ロック」と呼ばれるアイルランガ軍の要塞がある。剣のように天へ向
かって突き出た大きな岩があり、その周辺を要塞地帯として改造したところからついた名
である。数百年前の戦国期に改造された要塞だが、今も国境の監視基地として利用されて
いる。アイルランガの大将軍となったアリア=レンハルトは、王軍を率いてソード・ロッ
クに入った。レイラ・リュウ・スーチェンらはそれぞれ小隊長に任命された。孤児院での
幼なじみであったルルも救護班として同行していた。
 ソード・ロックにはバラステア軍に敗れた周辺の国々からも兵士が集まって来ていた。
皆バラステアによって国を奪われ、家族を殺され、妻や娘を慰み者にされた者達だった。
バラステアに復讐するため、そして国を取り戻すために、今や反バラステアの旗印となっ
たアリアのもとへ集結したのだった。
 
 リュウはまたあの夢を見ていた。
(やめろ・・・やめてくれ・・・!)
(いやあああ!あなたぁ・・・・・)
(父上!母上!)
美しく聡明だった姉が、バラステア兵に後ろから犯されている。
(いやあああ・・・痛い・・・!)
(ひへへへ・・・ううう・・・最高の締まりだぜ・・・・)
美しいブロンドの髪を掴まれ、むき出しにされた乳房は他の兵に吸い付かれている。兵士
たちは下半身裸になって順番待ちをしている。優しかった母、美しい姉が何人もの兵士た
ちに陵辱されている。やがて姉の目はうつろになり、何も見ていない。もはや抵抗する気
力もなくなった姉は、ひたすらその激しい陵辱に身をまかせている。
(はああ・・久しぶりの女だったぜ・・・それにしてもこんないい女とは今までしたこと
がねえ。まだ若いしあそこの締まりも最高だったぜ・・・)
(母親の方もなかなかだったぜ。母娘同時に犯ったのは初めてだ・・・)
そしてリュウの見ている前で3人は・・・・
「はっ!」
いつもそこで目が覚める。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
子供の頃から何度も見た夢。リュウの心に植え付けられた地獄の記憶である。
(バラステアを倒すまでこの夢は消えない)
リュウはソード・ロックで剣の修行に明け暮れた。
(今の俺には守るべきものもある)
アイルランガの美しき妖精・リンス。リュウはバラステアと戦い、命を賭してリンスを守
る覚悟だった。


「陛下、アリアは所詮はよそ者にございます。王軍を全てアリアにまかせるのはいかがな
ものかと存じます」
アイルランガの宰相・ゼルは、アリアが王軍の指揮権をもち、王宮に対して大きな発言力
をもつことに強い不満を抱いていた。
「もしアリアが心変わりをし、バラステアと結んでアイルランガ王宮を攻め立てたならい
かがなさいますか」
「むう・・・しかし今バラステア軍と戦えるのは大陸でアリアのみであろう。カルム山道
では見事な作戦で敵を破った。ソードロックには各国からも兵士が集まっていると聞く。
アリアは有能な将軍だ。今はアリアに任せるしかない。」
王のランガは、アリアに絶大な信頼をおいている。ゼルの言うことに耳を貸そうとはしな
かった。
(おのれアリアめ・・・・この国の本当のトップはこのわしだということを思いしらせて
やるわ)
バラステアから降伏勧告の使者が送られてきた時、ゼルは王に降伏するようにと強く勧め
た。バラステア皇帝はアイルランガの宝である二人の美姫を所望してきたが、ゼルは二人
の人間を差し出すだけで国が無事ならば、この時勢では仕方がないと感じていた。国が無
事なら、ゼルは今まで通りアイルランガで絶大な権力を持ち続けることが出来る。しかし
王はアリアの進言にのせられて、開戦に踏み切ってしまった。たかが二人の姫のために。
(愚か者の王め・・・後で後悔しても遅いのだ。こうなれば今のうちに何か手をうたねば
ならない)

アリア=レンハルトは、ソード・ロックで日々軍の訓練を行っていた。バラステア軍は必
ずや再びこのアイルランガに攻めてくる。
(負けることは死ぬことだ)
アリアは何故自分は女として生まれてきたのだろうと考える。もし自分が男として生まれ
てきたなら、今まで以上に剣を操り、剛力で敵をなぎ倒しただろうに。アリアはもし自分
が戦場で捕らえられるようなことになったら、その時どんな目に合わされるかは充分理解
していた。これまでバラステア軍と戦ってきたなかで、女たちが卑しい男たちに激しい陵
辱を受けるのを何度も見てきた。男達はいやがる女の衣服を剥ぎ取り、全裸にして好き放
題の陵辱をあたえる。もし自分が捕らえられたなら、たくさんの兵士たちが群がってきて、
鎧を剥ぎ取られ、凄惨な陵辱を受けるであろう。そして殺される。
(男は獣だ。私には覚悟はできている)
アリアは別にアイルランガという国家に忠誠を誓っているわけではない。アリアは自由の
為に、そして自分の為に戦っているのだ。これまで各地を流れてバラステア軍と転戦して
きた。しかし大陸のほとんどはバラステアに制圧された。アリアはこのアイルランガが自
分の戦いの最後の砦だと考えている。もしこの国が敗れたなら、その時は自分も最後だと
覚悟を決めていた。
(所詮は戦いの人生だ。私には戦をすること以外に何の能もない)
アリアがカルム山道でバラン率いるバラステア軍を破ってから、その話をききつけて各地
から兵が集まってきていた。アリアはソードロックに集結した軍でバラステア軍の主力を
破り、帝都バラ・シティへ進軍する算段である。
(これまで散々女を弄び、好き放題自分のものにしてきた皇帝・カルノアを帝都の広場へ
引きずりだして女のあたしが殺してやる)


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